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【最高のソリューション】メルセデス・ベンツE 300de EQパワー 最終回 長期テスト

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【最高のソリューション】メルセデス・ベンツE 300de EQパワー 最終回 長期テスト

積算2万1384km 筆者の知る限り最高のソリューション

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】ディーゼルのPHEV E 350de 全48枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


英国では唯一、ディーゼルエンジンを搭載したプラグイン・ハイブリッド・モデルとなる、メルセデス・ベンツE 300de EQパワー・エステート。長期テストは最終回となるが、とても有意義なものだった。

ディーゼルエンジンは環境負荷を理由に、英国では人気が下火傾向。だが、プラグイン・ハイブリッドとの組み合わせは、その考えを改めてくれる可能性がある。

都市部では、EVモードなら排気ガスを一切排出しないで走行できる。長距離なら、クリーンディーゼルのメリットを享受できる。

フォルクスワーゲンによる不正を端に、ディーゼルエンジンは不当と思えるほどに評判が悪い。欧州以外の市場では、ディーゼルに対する関心も薄い。そんな背景もあって、E 300de EQパワーの人気は高まらないのだろう。だが、筆者の知る限り、最高のソリューションだと思う。

一番関心を持っていたのが、カタログ値やイメージと、実際との差。クルマだから、必ず違いが生じる。それはスペック表の信じがたい燃費や、CO2の排出量だけではない。

例えば価格。E 300de EQパワー・エステートは、同じエンジンを搭載したPHEVではないE 200dエステートと比べて、英国では9230ポンド(121万円)高い。

この差を燃料代で稼ぐには、相当な距離を走る必要がある。一方で英国の場合、会社からの貸与車両として考えると、課税制度でかなりの訴求力が出てくる。

EQパワーの良い点と悪い点

車重はE 200dエステートと比べると、345kgもE 300de EQパワー・エステートの方が重い。しかし最高出力は193psに対して306kgと、重さ以上の違いがある。

パワー・ウエイト・レシオで見れば、その差は歴然。0-100km/h加速では、7秒以上を要するE 200dエステートに対し、E 300de EQパワー・エステートは6秒を切る。

もちろん、ディーゼルエンジンとプラグイン・ハイブリッドというコンセプト自体の、好みもあるだろう。筆者はこの組み合わせを高く評価する。

数字としては表れない魅力もある。都市部をEVモードで走らせている時の感心するほどの上質さが、筆頭としてある。ベルベットのように滑らかなサスペンションだけでなく、ほぼ完全な静けさに包まれる車内空間は素晴らしい。

多くの自動車ユーザーが1日のドライブを、その平穏な状態で終わらせることができる。充電さえしてあれば。

E 300de EQパワー・エステートのEVモードでのパフォーマンスも、日常的な条件であれば不足はない。メーターに表示される航続距離が、実際の距離よりわずかに短いという点も安心材料。筆者の場合、あまり都市部を走ることはなかったのだけれど。

日常の足としての短所は、削られる荷室の容量と変わった形状。充電量以上の長距離を走行する場合、大人4人分くらいの重さのバッテリーを常に背負うことにななる。

車内は平穏と静寂に包まれた別世界

自宅には充電器を設置した。ポッドポイント社の高速充電器で、3ピンの充電器と比べると充電時間は半分以下だ。純EVと違い、比較的小さなバッテリーを積むPHEVだから、分単位で充電が完了する。

しかもバッテリーを満たすために必要なコストも安い。英国でも、電気代は軽油の値段の半分以下。ディーゼルエンジンの燃費で考えれば、42.5km/L相当のコストだといえる。電気代で車両価格のモトを取るなら、かなりの距離を走らなければいけないが。

今回の長期テストでは、短期間に1万8000km弱を走った。天候を問わず、メルセデス・ベンツの車内は平穏と静寂に包まれた別世界だった。

ただし、特に寒い季節は例外。1時間弱は静かにEVモードで走れるが、バッテリーが切れると冷え切った4気筒のディーゼルエンジンが、明確なノイズを伴って始動する。夢のような空間から引き戻されてしまう。とはいえ、エンジンが温まってしまえば、かなり静かにはなる。

目立った不具合もなかった。ガレージへ持っていったのは、スタッドレスタイヤへの交換をお願いしたときくらい。

銘柄は、以前マクラーレン720Sにも履いていたピレリ・ソットゼロだったが、とても好印象なタイヤだった。前回も記したが、激しく冠水した道路でも、タイヤは申し分なくクルマを進めてくれた。

それでは、E 300de EQパワー・エステートを強く勧めるか。英国では一番人気のステーションワゴンではないものの、筆者としては一番毎日乗りたいと思えるモデルだ。

滑らかでリラックスできるワゴン

2.0Lのディーゼルエンジンは賢明なユニットだが、プラグイン・ハイブリッドを選ぶ税金面以外での価値はどうだろう。もし荷室を優先するなら、EQパワーではない方が良い。高速道路の走行が中心ならE220dを選んだ方が、ランニングコストの低さを喜べる。

一方で、最も滑らかでリラックスできるステーションワゴンをお探しで、市街地と郊外や高速道路を走る割合が混在し、充電する環境があるのなら、間違いなくオススメしたい。E 300de EQパワー・エステートは、ガソリンエンジンのPHEV以上の訴求力を持っていることは確かだ。

セカンドオピニオン

E 220dを大きく超える価格が、E 300de EQパワーの魅力を大きく減じていることは理解できる。だがPHEVの魅力は、燃料代を削減できることだけではない。

ディーゼルエンジンやガソリンエンジンだけのモデルと比較してより速く、リラックスした運転も楽しめる。6気筒ディーゼルエンジンと比較して考えれば、価格差もずっと小さく感じられるだろう。 Lawrence Allan(ローレンス・アラン)

テストデータ

気に入っているトコロ

シャシー:メルセデス・ベンツの技術者は、車重の重いクルマを快適に走らせるというタスクを、見事に成し遂げた。
プラグイン・ハイブリッド:ディーゼルエンジンと電気モーターとの組み合わせは、現状で最高のソリューション。ゼロ・エミッションの走りと、力強さを与えてくれる。
エステートボディ:筆者の場合、同等のクラスならSUVよりステーションワゴンの方が好み。効率にも優れるし、見た目も良いと思う。

気に入らないトコロ

荷室:荷室容量の30%ほどが削られていることは、褒めにくい。容量が小さくなるだけでなく、床面の巨大な段差が困りもの。
燃費:高速道路や長距離を走ると、ハイブリッド・システムなしのディーゼル版と比べて、燃費が悪いことがわかる。

走行距離

テスト開始時積算距離:2362km
テスト終了時積算距離:2万1384km

価格

モデル名:メルセデス・ベンツE300de EQパワー SEエステート(英国仕様)
新車価格:4万9700ポンド(656万円)
現行価格:4万9780ポンド(657万円)
テスト車の価格:5万8115ポンド(767万円)
ディーラー評価額:4万2000ポンド(554万円)
個人評価額:4万ポンド(528万円)
市場流通価格:3万8000ポンド(501万円)

オプション装備

カバンサイト・ブルーメタリック塗装:685ポンド(9万円)
プライバシー・ガラス:345ポンド(4万5000円)
プレミアム・エクイップメント・パッケージ:2395ポンド(31万6000円)
ドライビング・アシスタンス・プラス・パッケージ:1695ポンド(22万3000円)
コンフォート・パッケージ:3295ポンド(43万5000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:76.9km/L
タンク容量:66L
平均燃費:20.8km/L
最高燃費:22.7km/L
最低燃費:15.7km/L
航続可能距離:1094km

主要諸元

0-100km/h加速:5.9秒
最高速度:249km/h
エンジン:直列4気筒1950cc+電気モーター
最高出力:306ps/3500rpm
最大トルク:71.2kg-m/1600rpm
トランスミッション:9速デュアルクラッチ・オートマティック
トランク容量:400L
ホイールサイズ:9.0J・18インチ
タイヤ:245/45 R18(フロント)/275/40 R18(リア)
乾燥重量:2060kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:460ポンド(6万円/1カ月)
CO2 排出量:39g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1168ポンド(15万4000円/軽油)+117ポンド(1万5000円/電気)
燃料含めたランニングコスト:1285ポンド(16万9000円)
1マイル当りコスト:11ペンス(14円)
減価償却費:1万8115ポンド(239万円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:1.64ポンド(216円)
不具合:なし

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