2020年12月8日の都議会本会議で小池都知事が突如「都内で販売される新車について、2030年までに脱ガソリン車とする」という方針を表明。日本政府も2035年までに純ガソリン車の新車販売を禁止する方針を明らかにしている。
報道では純ガソリン車、脱ガソリン車という言葉が躍っているが、あまり話題に上がらない純ディーゼルエンジン車はどうなるのだろうか?
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かつてはCO2の排出量が少なく、ハイブリッド車と同じような扱いで、環境にやさしいクリーンディーゼル車としてもてはやされていたのにどうしたものか?
このままでは、純ガソリン車と同じように、純ディーゼルエンジン車も消えてしまうのだろうか?
また純ディーゼルエンジン車はどうすれば生き残れるのだろうか? モータージャーナリストの国沢光宏氏が解説する。
文/国沢光宏
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 トヨタ マツダ
【画像ギャラリー】もう買えなくなる? 今日本で販売されているクリーンディーゼル車
クリーンディーゼル車は今後どうなるのか?
2020年12月3日に行われたマイナーチェンジでCX-5、CX-8に搭載される2.2Lディーゼルターボは2000回転で発生する45.9kgmという最大トルクはそのままながら、最高出力は190ps/4500rpmから200ps/4000rpmと10psパワーアップ
電動化やカーボンフリーで自動車のパワーユニット論争が激しくなっているなか、ディーゼルについては全く議題に上がってこない。
二酸化炭素の排出量を減らすという意味でディーゼルエンジンも役に立ちそうながら、無視されている格好。今後ディーゼルエンジンはどうなってしまうのだろうか? 以下、じっくり検証してみたいと思う。
まず二酸化炭素の排出量から考える。欧州では走行1kmあたりに出す二酸化炭素排出量を表示するけれど、燃費の比較と考えても同じ。
ということで我が国を代表するディーゼル車、CX-5のWLTC燃費は、総合で17.4km/L。高速道路モードが19.8km/Lになる。
SUVのベストセラーモデルとなったRAV4。今やクリーンディーエル車よりも燃費がよくなっている
171ps/21.1kgmを発生する2LのガソリンNAと、ハイブリッドをラインナップする。ハイブリッドは2.5Lで、エンジン単体では179ps/22.5kgmだが、前後ふたつのモーターを合わせたシステム最高出力は222ps
電動化車両代表のRAV4ハイブリッドといえば、WLTCモード燃費は総合で21.4km/L、高速道路モードが21.1km/L。RAV4ハイブリッド優勢だ。
ただ日本の場合、軽油はレギュラーガソリンより20円くらい安価。お財布から出ていくエネルギーコストということで考えるなら、ハイブリッドもディーゼル車も大差なし。
ということで日本に住んでいるとハイブリッドがいいならディーゼル車だって優遇されるべきじゃないかと感じるんじゃなかろうか。しかし! 視点を欧州に移せば全く状況が違う。
欧州ではガソリンと軽油の価格、ほとんど同じ。というのもガソリンも軽油も原油から作る。精製コストで考えたらむしろ軽油のほうが高い。
日本だって同じなのだけれど、軽油は政府とのパイプを持つ運輸業界で使われるため、税金で優遇した。軽油の税金が32.1円に対し、ガソリン諸税は53.8円。ここから20円以上の差が出るという寸法。
ヨーロッパはほとんど同じ価格なのでディーゼルの金銭的なメリットなし。そもそも1Lあたりの二酸化炭素排出力はガソリンより軽油のほうが10%くらい多い。
したがって絶対的な二酸化炭素排出力ということで比べると25~35%程度ディーゼルのほうが多いということになる。ヨーロッパじゃディーゼルの意味なしということです。
そのうえでVWがやらかしたディーゼルの排気ガス不正発覚により大気汚染も引き起こすと認識されてしまう。
実際、ヨーロッパにおけるディーゼルの販売台数はディーゼルゲートの2015年以来右肩下がりで減少しており、2017年にガソリン車より販売台数が少なくなり、2020年9月以降、ハイブリッドを含む電動車より少なくなった。
メルセデスベンツなど一部のメーカーでディーゼルのマイルドハイブリッド車を作り販売しているものの、25~35%多い二酸化炭素排出量をカバーするまでの燃費改善効果は少なく、今のところ高い評価を得られていない。
少なくとも新規のディーゼルエンジンは今後出てこない。欧州を見ると今後4~5年すればディーゼル車は絶版になりそう。
日本のディーゼル車事情は?
日本では軽油がレギュラーガソリンよりも20円ほど安い
我が国はどうか? 前述の通り、リッターあたり20円くらい軽油が安いという決定的なアドバンテージを持つ。
しかも輸入車でいえば、ハイオク仕様のため30円差! 日本車のようにディーゼル車より燃費のよいハイブリッド車は存在せず、ディーゼル車のほうが明確に燃料コストが低い。欧州メーカーも日本でディーゼル車を売ろうとしている。
といったことからすれば、当面輸入車はディーゼル車が残ると思う。輸入車を見ると日本車のような燃費が圧倒的によいフルハイブリッドは存在せず。現在販売している輸入車のマイルドハイブリッド程度の燃費改善技術なら、輸入車のディーゼル車のほうが20%以上燃費がよい。
輸入車のディーゼル車は、輸入車の純ガソリン車は当然のこと、マイルドハイブリッドと比べたって、二酸化炭素排出量が少なく環境にやさしいということになります。
日本車だとどうか? 欧米でCX-5のライバル車となっているRAV4ハイブリッドは334万3000円。
装備が若干違うものの、CX-5のプロアクティブで322万8500円。燃費の差を考えたらほとんど同じか、若干RAV4ハイブリッド有利といったイメージ。しかも2021年からディーゼル車は環境自動車補助金(CEV補助金)の対象外になってしまう。税制の優遇だって今後はなくなる?
今までディーゼルエンジンのトルクフルな走りを評価する声も多かったが、RAV4やハリアー、ヤリスなど新しい世代のハイブリッドに乗ると十分パワフル! アクセル踏んだ時のレスポンスでディーゼルを凌ぐ。
しかもディーゼルはチョイ乗りするとススが溜まってトラブルになる。総合して考えれば非常に厳しいと考えていいだろう。
ディーゼル車に生き残る道はない?
ビッグマイナーチェンジでユーロ6に対応する2.2Lディーゼルターボエンジンに1本化し、高い人気を維持している三菱デリカD:5。日本国内のこうした魅力的なクリーンディーゼル車はなくなってしまうのか?
2015年にディーゼルエンジンが復活。それ以降ディーゼルの人気が高く、204ps/51.0kgmへのスペックアップでさらに魅力アップのランクルプラドだがディーゼルエンジン車は今後なくなるのか?
そうこうしているうちに、ハイブリッドはさらに燃費がよくなり、量産効果が一段と出て価格も下がっていくと思う。
ディーゼル車は複雑な排気ガス浄化装置のコストダウンが難しいし、今後さらに厳しい排気ガス規制も始まる。アメリカの規制を見ると、事実上ディーゼル車禁止といった感じ。マツダは北米市場へのCX-5ディーゼル投入をついに諦めた?
東京都が打ち出した2030年のガソリン車禁止も、菅義偉首相の構想である2050年カーボンニュートラルも、ディーゼルは念頭にない。
このまま消え去っていくと思っていいだろう。逆にディーゼル車に乗りたいのなら、直近の2~3年が最後のチャンスになる。輸入車なら燃料コスト面のメリットだって大きい。買うなら今でしょう。
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みんなのコメント
世間全般の圧倒的多数は、もともとディーゼルなんて、良いとも欲しいとも思ってなかったんだーっの。
アホか!