もくじ
どんなクルマ?
ー 「ほぼ」エントリーグレード
ー エントリーでも装備は充実
新型ジャガー9車種 E-PACEハイブリッド、F-タイプもハイブリッド
どんな感じ?
ー マニュアルならではの楽しみ
ー ハンドリングの印象は
ー インテリア よい点、残念な点
「買い」か?
ー E-PACE「ならでは」がわかりやすい
スペック
ー ジャガーE-PACE D150 FWD マニュアルのスペック
どんなクルマ?
「ほぼ」エントリーグレード
今回は「ほぼ」エントリーグレードのコンパクトSUV、ジャガーE-PACEを試乗する。
実はもうひとつ下のグレードも存在し、名目上は2万9000ポンド未満で購入できることになっているのだが、ジャガーには試乗車の用意がなかった。それゆえの「ほぼ」である。
このクルマには「インジニウム」2.0ℓターボディーゼルエンジンが搭載されているが、これはジャガーの他のより強力なエンジンとも血縁関係にある。150ps、38.6kg-mを6速マニュアルギアボックスで伝達し、前輪のみを駆動させる。
このグレードで他にマニュアルと組み合わせることができるエンジンはもう1種類だけで、他は4輪駆動との組み合わせだけだ。つまりこのE-PACEは最もシンプルな仕様だということだ。
そして最も軽量でもある。われわれはこれまでにE-PACEの少々度を過ぎた巨体を大いに批判してきたが、そのような意味ではこのモデルは評価するに値する。
エントリーレベルのE-PACEと言われると、装備は相当簡略化されていると思うだろう。しかし、見てみると案外充実していることに驚く。
エントリーでも装備は充実
手動のファブリックシートにはヒーターは付かないが、
・17インチのアロイホイール
・LEDヘッドライト
・10インチタッチスクリーン・インフォテインメント
・クルーズコントロール
・バックカメラ
・充実したアクティブ・セーフティ・システム
まで備わっている。
プラス4100ポンドでSまでグレードを上げることができ、アップグレードされたヘッドライトや18インチアロイホイール、電動レザーシート、ミラー・ヒーティング機能が追加される。
さらにインフォテインメント・システムはアップグレードされ、より高機能な純正のナビゲーションシステムへの変更やWiFiホットスポット機能が追加され、「イン・コントロール」というジャガー製のスマートフォンアプリも含まれる。
こんなに小さなクルマにしてはかなりプレミアムな装備だと思うかもしれない。しかし、ますますコネクティビティ機能が増強されることを考えると十分に需要があるはずだ。
どんな感じ?
マニュアルならではの楽しみ
この新しいジャガーのスモールSUVは、安価でシンプルなグレードの方が優れていると証明していこう。
このサイズながら、E-PACEは同等の装備のF-PACEよりも重い。にもかかわらず、スポーツ志向の度合いで言えば、多くのより高額な競合車にも負けていない。
結果から言えばこのクルマについて言うことはあまりなく、乗り心地やハンドリングは角の丸まった好ましいものだし、他の形状のクルマにはない実用性を持っている。
E-PACEに限れば、9速のオートマでなくとも全く問題ない。ギアチェンジが苦痛でないなら、このクルマの6速マニュアルギアボックスは愉快で扱いやすい(英国仕様)。ギアノブには適度な重みもあるし、ゲートに入れるとカチリとしたクリアな手応えもある。ギア比もよく練られており、クラッチも簡単に扱える。
一方で、ドライバーよりもむしろその他の乗員の方が、比較的穏やかに躾けられたD150のパフォーマンスに妥協することができないかもしれない。
確かにこのエンジンは低回転で一拍ためがある。高いグレードよりも感じやすいかもしれないが、それはチューンのせいというより単純にマニュアルシフトで駆動力が途切れるのがわかりやすいからだろう。
しかし、いったん2000rpmを超えてしまえば過不足ないトルクが得られ、十分な強さでもってE-PACEを前へと押し出す。相当急いでいない限り、高速でもむやみにギアチェンジを強いられることはない。
ハンドリングの印象は
E-PACEのキャビンはスピードを上げてもよく音が抑えられており、ジャガーのハイチューンなディーゼルモデルよりも洗練されている。
サスペンションも数種類用意されており、ハイグレードでは車高を落としたスポーツサスペンションにアダプティブダンパーが組み合わされる。D150の標準はコンフォートサスペンションだが、だからこそローリングするシャシーからの入力をうまくいなして乗り心地やハンドリングを適度なものにしている。
ハンドルはずっしりとしており、このクルマの基本的なキャラクターがよくわかる。ラグジュアリーSUVとは全く異なるからだ。低速での乗り心地は硬く、外界からの隔離感はSUVの標準ラインからするとわずかに劣るが、19インチや20インチを履くグレードに比べればうるさくはない。
このクルマは都会の荒れた路面では少々せわしないが、概ね快適と言える。スピードを上げるにつれてフラット感や落ち着きが増していく。
E-PACEは特徴的なハンドリングの持ち主だが、どのSUVメーカーもハンドリングについてはまだ手探りの段階だ。そういう意味では、E-PACEはわれわれが今までに乗ったどんなSUVよりもうまい落としどころを見つけ出している。
アップライトなボディはコントロールしやすく、ややクイックで心地よいステアリングやそのレスポンスも素晴らしい。しかし、どの面においても特別抜きん出ているということはない。動力性能という点では、どの分野でもコンパクトSUVの標準を超えるが、快適でなかったり、乗っていて疲れるほどではない。
インテリア よい点、残念な点
インテリアについては前にも書いたが、未読の読者のためにまとめておこう。このクルマはボルボXC40やアウディQ3、BMW X1など直接のライバルの水準と比べ非常に快適で、実用的なクルマだ。
残念な点は、比較対象になるであろうコンパクトサルーンや5ドアハッチバックと比べて、大半のコンパクトプレミアムSUVと同じように乗員のスペースが大して変わらないことだ。E-PACEのトランクはかなりのサイズで、大人にとって非常に快適というほどではないにせよ後部座席も使いやすい。
質感は場所によって異なる。ダッシュボードの見た目や触り心地はとても高級感があるが、他の部分、例えば斜めに柄の入ったフェイクレザーのルーフトップ・パッドや、ステアリングコラム周りの若干波打った縁取り、マッドブラックのプラスティッキーなスイッチ類などはせっかくの上質さに水を差している。
タッチスクリーン・インフォテインメント・システムはちょうどいいサイズで、過去のジャガーよりも優れた配置、高い操作性を実現している。しかし、iDriveのような補助的な入力装置がなく、適切なスマートフォンのミラーリング機能もワイヤレス充電パッドもない。
「買い」か?
E-PACE「ならでは」がわかりやすい
もしE-PACEを買う決意が固まっているなら、このグレードの購入をお勧めする。
テスターの印象としては、ジャガーE-PACEはグレードが上がるにつれて乗り心地やハンドリングに妥協が見え始め、信頼性を失っていくように思う。エンジンも、高価格になればなるほど速くはなるものの、スムーズさや豊かさ、洗練度に変わりはないようだ。
さらに広く見れば、同じような値段でより快適で実用的、さらにはラグジュアリーなプレミアムブランドのSUVだって買える。また少々違った方向性ではあるが、鋭い感覚のドライバーにとってはBMW X2のような選択肢だって魅力的だろう。
しかし、他の競合車よりも柔らかい乗り心地で納得できる価格ながら、ジャガーとしてのスタイリングやハンドリングを備えていることを考えれば、E-PACEは注目に値する一台だと言える。
ジャガーE-PACE D150 FWD マニュアルのスペック
■価格 3万2600ポンド(487万円)
■全長×全幅×全高 4395×2088×1649mm
■最高速度 199km/h
■0-100km/h加速 10.1秒
■燃費 25.6km/ℓ
■CO2排出量 124g/km
■乾燥重量 1700kg
■パワートレイン 直列4気筒1999ccターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 150ps/3500rpm
■最大トルク 38.6kg-m/1750rpm
■ギアボックス 6速マニュアル
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