この記事をまとめると
■ロールス・ロイス・ゴーストが「シリーズ II」に進化
グループ化が鍵! ランボルギーニやロールス・ロイスなど少量販売の超高級自動車ブランドが成り立つワケ
■同社史上もっとも先進的でドライバー志向なモデルに
■「エクステンデッド」と「ブラック・バッジ」も同時発表
よりエレガントによりドライバー志向に
ロールス・ロイス・ゴーストは、同社のフラッグシップサルーンであるファントムの弟分的なモデルとして2009年に登場。弟分といえど、全長はSWB(ショートホイールベース)モデルでも約5.5m、全幅も約2mと、その体躯は堂々たるものだ。
ロールス・ロイスをしてその歴史上もっとも人気の高いモデルといわしめるほどのヒット作となったゴーストは、クーペ版のレイス、そのオープンボディ版のドーンと、派生モデルを増やしながら2020年に現行モデルにスイッチ。そして今回発表された「シリーズ II」は、そのマイナーチェンジモデルという立ち位置となり、パワフルで、ドライバー志向、そしてエレガントなデザインに進化させたという。
ロールス・ロイスと聞くと、ドライバーズカーというよりショーファードリブン的なイメージを浮かべてしまいそうになるが、このゴーストについてはツーリングマシンとしての評価も高く、その顧客はしばしば「サルーンではなく最上級の4ドア・グランドツアラー」と形容するという。そのようなニーズも念頭に、今回発表されたシリーズ IIは開発されている。
フロントマスクの基調となるのは、ロールス・ロイスのデザイン・アイコンでもあるイルミネーテッド・パンテオン・グリル。また、ヘッドライトとデイタイム・ランニング・ライトが刷新され、フロントバンパー下部へと流れる伸びやかなデザインとなっている。もちろんボンネットの先端にはスピリット・オブ・エクスタシーがそびえ立つ。
リヤエンドのデザインを特徴づけているのは、電動モデル「スペクター」と共通のイメージを持たせたリヤコンビランプだろう。2枚並んだ縦型ライトパネルのサイド部分には、「RR」のモノグラムが控えめに刻まれる。
足もとに目を向けると、22インチアルミホイールは複雑な9スポークデザインの新意匠に。全面または部分的なポリッシュ仕上げを選択することができる。
インテリアも、ロールス・ロイス独自のクラフトマンシップによって、クラシカルながらも先進的な装いへと刷新されている。ガラスパネルに収まったセンターディスプレイには、高機能な「SPIRIT」オペレーティングシステムを搭載。ソフトウェアによってインテリア各部のカラーを自分好みにカスタマイズすることもできる。また、ディスプレイの傍らにはスピリット・オブ・エクスタシーのマスコットとアナログクロックが収められているほか、助手席側のガラスパネルには「イルミネーテッド・フェイシア」と呼ばれる星空から着想を得たイルミネーションが広がるなど、まさに贅を尽くした空間が広がる。
オーディオシステム、エンターテイメント機能、通信機能なども最新かつ最高のクオリティを提供するべく刷新されている。
パワートレインは基本的には従来と同一となるが、現時点では詳細なスペックは公表されていない。アイドリング回転数をわずか600回転上回るにすぎない1600rpmで最大トルクを発生する6.75リッターV12ツインターボエンジンに8速ATを組み合わせ、四輪を駆動する。
足まわりには、現行ゴーストから導入された「プラナー・サスペンション・システム」を引き続き採用する。ドライバーのインプットや路面状況に応じて反応する複数のシステムで構成されたこのサスペンションは、ロールス・ロイス特有の魔法のじゅうたんのような乗り心地「マジック・カーペット・ライド」をさらなる高みに引き上げたという。
豪奢な「エクステンデッド」とスポーティな「ブラックバッジ」
ここからは新型ゴーストのシリーズ IIに用意されたふたつの派生モデルを紹介しよう。
まずは、さらなるキャビンの快適性を求める顧客のために、「エクステンデッド」モデル。伸びやかなボディをさらに170mm延長することで、エレガントなスタイルはそのままに、リヤシートの乗員がさらにくつろげる空間を用意していることが特徴だ。
基本的なメカニズムは標準モデルと同一だが、特別な追加装備も用意される。プライベートジェットを想起させるリクライニング可能なセレニティシートがチョイスできるほか、シャンパンクーラーを装備することも可能。ちなみにこのシャンパンクーラーは、ノンヴィンテージのシャンパーニュの最適な提供温度は平均6℃、ヴィンテージの場合は概ね11℃というソムリエのアドバイスを受け、6℃と11℃の2種類の冷却モードで作動するという。
豪奢を極めたモデルであることは理解していても、その細部へのこだわりには脱帽するほかない。
そして、もうひとつは、「破壊的な分身」とうたわれる「ブラックバッジ・ゴースト」。その名が示す通り、ブラッククロームのアクセントで表現された大胆かつ力強いデザインと、専用のチューニングによるドライバーオリエンテッドな走行性能が特徴となる。
そのエクステリア面での特徴がもっとも表れているのがフロントマスクだろう。ロールス・ロイスを特徴づけるスピリット・オブ・エクスタシーとパンテオングリル、加えてサイドのバッジ・オブ・オナーがブラッククローム仕上げとなる。これは単なる塗装ではなく、メッキ加工時に特殊なクローム電解液を用いてステンレススチールの下地を共析させることで、妖しくも高貴な輝きを実現したという。
また、同じくブラック・クロームの装飾が施されたロアグリルも専用の意匠となっているほか、テールランプやドアノブなど各部にもブラックの装飾が施される。
そして、黒光りするグリルの奥に搭載されるV12ツインターボエンジンも標準車よりハイパワーな設定。29馬力、50Nmのエクストラパワーを得ている。また、スロットルを90%まで踏み込んだときにギアシフト速度が50%増加するほか、エグゾースト・システムの音量も広がりを増す「Low」スイッチがシフトレバーに備わる。
専用チューンを受けたサスペンションやブレーキシステムも相まって、「ブラック・バッジ」ならではの走りの世界へとドライバーを誘う。
ブラックバッジを象徴するダークでテクニカルな表現は、インテリアにも取り入れられている。ボリバルウッドをベースにカーボンファイバーとメタルファイバーを取り入れたスポーティかつ上品なパネルが各部にあしらわれるほか、シートの表皮に大小の穴を無数に穿つことで緻密で立体的なグラフィックを実現した「プレースド・パーフォレーション」も選択することができる。
豪華絢爛ながらも先進的でドライバーをも満足させる、まさに「究極の高級車」となった新型ロールス・ロイス ゴースト「シリーズ II」。現時点では販売時期や価格は未定ということで、詳細の発表が待たれる1台だ。
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