■EVになっても、各ブランドの“らしさ”は失われない
個性的なブランドを擁するステランティスだが、ジープやプジョー、シトロエンなど、日本における販売は好調である。そこで気になるのは、今後どのような新型車が日本に導入されるのかであろう。自身もカーガイとして知られている、FCAジャパンとグループPSAジャパンの代表取締役社長を兼務するポンタス・ヘグストロム氏に、ステランティスのEV化と合わせて伺ってみた。
【単独インタビュー】ポンタス・ヘグストロム氏に聞くFCAとPSAの近未来(前編:サービス体制に変化はあるのか)
●すべてのブランドに新型車を導入
──既存の7つのブランドそれぞれについて、可能な範囲で構わないので今後のラインナップ展開を教えてください。クルマ好きの皆が気になってることだと思います。
「その質問は必ずあるだろうと思っていました(笑)。確実に申し上げられることとしては、私達の7ブランドのうちのほとんど全てに、来年の第一四半期の末、つまり2022年3月末までの間に何らかの新しい製品のニュースがあります。3つのフレンチ・ブランドは、今年中に新製品のお知らせをお届けできるでしょう。
フィアット500のEVに関しては、今、日本国内でテストをしています。もともとは今年のうちに日本でもローンチしたいと熱望していたのですが、パンデミックと半導体の問題で生産状況に遅れが生じてしまっていて、来年の初めにずれ込むことになりました。
ジープに関しては、『グランドチェロキー』を今年中に持ってこようと思っています。それにちょっと変わり種の『ラングラー』というのを、デリバリーは来年になると思うんですけれども、今年中に持ってくる予定があります。これも本当は年内に導入したかったんですけど、チンクエチェントEVと同じ理由で遅れてしまいました。
アルファ ロメオの『ジュリアGTA』と『GTAm』については、今年中に日本に入ります。日本からのオーダーが88台とかなり多かったので、その全てを年内に上陸させられるわけではないのですけれど、初期ロットは今年中に入ってきて、来年にかけて全車を納車していくかたちになりますね」
──本国の方では物凄い勢いで様々なことがスピーディーに動いてますよね。たとえばそれぞれのブランドのトップが変わったり、チーフ・デザイナーが変わったり。
「おっしゃるとおりです。本国側での動きは大きいし、凄いスピードだと思います。ただ私が内部から見ている限りでは、それはブランドの個性を強化するためのもの、ブランドの可能性を広げるためにおこなってること、というふうに感じています。先日、“EV Day 2021”というクルマの電動化に関する発表イベントがあったのですが、たった6か月で非常に豊かな内容のプランを組み立てて発表したことには、私自身も驚かされました。
●それぞれのブランドの電動化はどうなる
──電動化の計画にはアバルトも組み込まれてましたね。熱心なファン達のなかでは、電動化にマッチしないからアバルトというブランドは消滅するのではないか? という不安の声が出てましたね。
「それをいってしまうと、ほかにも消えるブランドがあるということになりますよね(笑)。似たようなことはジープに関してもいわれていたことで、アメリカのジープ・ファンは“プラグインハイブリットなんかにしたらジープのキャラクターが失われてしまう”と不安をお持ちだったようです。けれど発売して数か月経った現在、“ラングラーのプラグインハイブリットは凄くいいね”とか“より一層ラングラーになったね”というふうに見方は変わってきています。なぜなら静寂のなかでトルクがあって、駆動の制御も細やかで、実際にラングラーとしての性能やキャラクターがより強化されているからです。ファンの皆さんが予想していた期待値を、クルマの出来映えが遙かに上回っていたからです。
それと同じようなことがアバルトにも待っているんじゃないかと私は期待しています。アバルトは、アバルトのまま生き残りますよ。個人的なことを申し上げると、アバルトのようなブランドは電動化に対してそんなに先陣を切るようなことをしなくてもいい、とは思ってるんですけどね」
──やはりヘグストロム社長は根っからのクルマ好きですね(笑)。以前にスタッフの方から、社長はかなりのカーガイだとうかがったことがあります。クルマはいつ頃からお好きだったのですか?
「物心がついたときにはすでに(笑)。私の父は大学を卒業してからフォードのディーラーで働き始めて、父の方こそ仕事の上ではクルマ一筋でした。父と私は、家ではいつもクルマの話ばかりしていましたよ。私の最初のクルマの記憶というのは、父の1968年のフォード『マスタング・コンバーティブル』。赤いクルマでした。私はその頃まだ子供でしたから、なんて大きなクルマなんだろう、と思ってました」
■ショールームで試して欲しい、個性的でバラエティに富んだ8つのブランド
──ずっと自動車業界一筋だと記憶しているのですが、自動車業界以外で働いてみることをお考えになったことはないのですか?
「ありますよ(笑)。実際にほかの分野の会社からお誘いをいただいたこともあります。ただ、どうしても“それって自動車より面白いかな?”と考えてしまうんですよ。そうなると“やっぱり自動車がいいな”というところに戻ってしまうんです。好きとか嫌いということも含めて、誰もが関わりを持っているのがクルマという存在ですからね。それにユーザーの方やディーラーとの結びつきという面においても、喜びがとても大きいんですよ」
──現在、愛車にしているクルマは何ですか?
「今はアルファ ロメオの『ジュリア・ヴェローチェ』です。それに妻のクルマとしてフィアット500のコンバーチブルがあります。少し前の限定車、『500Cドルチェヴィータ』ですね。私はオープンカーが大好きなんですよ。カンパニーカーとしてラングラーの電動トップに乗っていたこともあります。妻のクルマも、ドルチェヴィータの前はアバルトの『695Cリヴァーレ』でした。必ずわが家にはフィアットかアバルトのオープントップのクルマがありますね」
──今後は何がガレージに加わりそうですか?
「それは、まだわかりません(笑)。ただ、どのブランドでもいいから、EVには一度きちんと乗ってみたいと思ってます」
──これから導入されるフィアット500のEVになる可能性が高そうですね(笑)。
「さあ、どうでしょう(笑)。でもフィアット500のEVは、今のところ世界で唯一オープントップが選べるEVですからね。本当に楽しみにしています。家に置いておきたくなるクルマになるでしょうね」
──これまで乗られてきたなかでもっとも記憶に強く残っているクルマは何でしょう?
「これもまた難しい質問ですね。カンパニーカーも含めれば、本当にたくさんのクルマに乗ってきましたから。どのクルマも気に入っていたので、1台に絞るのは本当に難しいんですよ。なので、ちょっと意図とは違うかもしれないのですが、思い出に強く残ってるということで申し上げると、アルファ ロメオ「8C」です。2009年に日本で『8Cコンペティツィオーネ』をローンチしたときにそれをサーキットに持っていったところ、お客様で1934年か1935年製の『8C』を持ってこられた方がいらしたんです。それを運転させていただきました。そのエンジン音にはしびれましたね。加速も物凄かった。あれは絶対に忘れることはできませんね」
●今後もサプライズを続けていく
──社長が今後も自動車と関わっていくなかで、何か挑戦したいこと、どうしてもやり遂げたいことがありましたら、教えてください。
「私ひとりで成し遂げたわけではありませんけど、FCAの皆と一緒に私達のブランドを誰も想像しなかったようなレベルまで引き上げてくることができたのは、大変誇りに思っています。例えばアバルトは、今や日本が最大の輸出国です。ジープの『ラングラー』は、北米市場を除けば日本がトップマーケットです。ジープの販売台数は、この10年で10倍どころか15倍まで伸ばすことができました。私達の全てのディーラーは利益を生みだし、皆さん、このビジネスをしていてよかったと心から思ってくださっています。本当に誇らしいことです。そして自分自身に対してもスタッフに対しても、消費者の皆さんに対しても、人々を驚かし続けるということをぜひ続けていきたいと思います」
──最後に、個性的な8つのブランドを愛するユーザー、そしてVAGUEの読者にメッセージをお願いします。
「日本には9つの自動車メーカーがあって、私達には8つのブランドがあります。日本の自動車メーカーに匹敵するぐらいの個性的なブランドを、私達は持っているわけです。けれど日本の自動車メーカーと比較すると、私達の販売台数は限られています。私達の品揃えもすごく幅が広くて、コンパクトなクルマからレーシングカーのようなクルマ、電気自動車、プラグインハイブリッド、ガソリン、ディーゼル、マニュアルトランスミッションだってあります。それらをまだまだ限られた方にしか体験していただけてないのは、本当にもったいないことだと思うのです。日本の皆さんには、ステランティスのキラ星のように輝くクルマ達をどんどん試しに、ショールームに足を運んで頂ければと思います」
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