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ジャガーの「猫足」に対するアメ車は「何足(何アシ)」なのか考えてみた

掲載 更新 31
ジャガーの「猫足」に対するアメ車は「何足(何アシ)」なのか考えてみた

運営元:外車王SOKEN
著者 :Mt.T

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アメ車(ここでは主に80年代くらいまでのクラシックなモデルについてを指すとしましょうか)って、どんな乗り心地なのかって聞かれることがちょこちょこあるんですよね。



「よく船みたいな感じとか言うよね?やっぱりそんな感じなの?」とか「ふわふわしてるんですよね?」とか、一般的には足回りが柔らかくて、ふんわりした乗り心地のイメージを持たれている方が多いようです。



ただ、私は、「トラックですよ」とお伝えしています。



何でかって?



だってトラックだから、足回りが。



■アメリカの乗用車の足回りはリジッドアクスルが定番?

皆さんが道路を走っているときに、信号待ちで前にトラックがいると後輪の内側の構造が見えると思うんです。上の絵のように左右を太い棒一本でドーンとつながれていますね。真ん中にデフがあるので、見た目はお弁当のミートボールが一個串にささってるような感じのあれです。



これはリジッドアクスルと呼ばれるもので、左右のタイヤが太い棒で一本に固定されていて、連動して動くようになっています。この太い棒の中にドライブシャフトが入っていてタイヤに駆動力が伝わるような仕組みになってます。



アメ車は、乗用車でも後輪がこの仕組みになっているクルマが多いんです。SUVやピックアップトラックはまさしくこれですね。このホーシングにリーフスプリングやコイルスプリングが組み合わされる形です。



■アメ車の乗用車の足回りはトラックに近い?

このサスペンションの特徴としては、片側が段差に乗ると、反対側のタイヤも傾くというものがあります。これは、左右のタイヤがお互いに反力で押し付けあうので、オフロード走行時にその威力を発揮します。



が、一般的な道路では重いし、乗り心地が悪いし、高速域では路面追従性が非常に悪くなるという欠点があります。その点、一般的な国産自動車やアメ車以外の輸入車に使われる独立懸架のサスペンションの場合は、入力があったタイヤのみが上下動するので車体が水平を保ち安定して走行ができるのです。



一昔前まではトラックなどは前後ともリジッドアクスルでしたが、今はフロントは独立懸架で乗り心地や操縦性が向上しています(一部の自衛隊向けや輸出向けなどの特殊な仕様ではフロントリジッドもまだまだ健在です)。



まあ、そんなわけで、基本的にはトラックに近い作りです。第2世代までのカマロトランザムは、リアはリーフスプリングにリジッドアクスルですからね。ピックアップトラックは今でもリジッドアクスルですし。強度を持たせるには非常に優れている構造なんですね。また、構造も簡単なのでコストも削減できるというのもあるんでしょう。



■では、ジャガーの「猫足」とは?

さて、対してよく猫足なんてよく表現されるクルマたちがいます。ジャガーやプジョーなんかがそれですね。



プジョーだとちょっとアメ車と比較するには小さいのでジャガーの足回りを見てみましょうか。ジャガーの場合、前後とも独立懸架になっています。独立懸架とは左右のタイヤが別々に上下動できる仕組みです。ジャガーはダブルウィッシュボーンと呼ばれる形式です。しかも、リアに至っては、ブレーキディスクがホイールのすぐ内側ではなくて中央部分にあるんです。



乗り心地って足回りが軽くてよく動くと基本的には良くなるのですが、ブレーキディスクが上下動に関係ない場所に来ると、それだけで大幅にサスペンションの重量が低減されて乗り心地が良くなるんです。



ごついエンジニアブーツ履いてジョギングするのと、ナイキのランニング用のシューズ履いてジョギングするのとの違いくらい差が出ます。だから、ジャガーの乗り心地は、足回りが路面の凹凸にしっかり追従してくれるので振動も少なく乗り心地が良いわけです。



さらにいうと、足回りは独立したフレームに組み込まれていてそれをマウントを介してボディに接合するという非常に凝った作りだったんです。だからこそ、猫足と呼ばれるなんとも言えないらしい乗り味を実現できていたわけです。これも1990年代初頭まででその後は徐々に普通の乗り味になってしまいます・・・。



■結論:アメ車=○○足?

というわけで、アメ車は何アシなのか?ですが、私は「象足」とでも名付けたいですね。



バネ下重量なんて関係ないぜ、排気量任せのトルクでそんなものは帳消しにするくらい面白い走りを提供してやるぜ!と。



乗り心地では、他の国の車には勝てませんが、この独特な足回りの特性を理解したうえでいかにスムーズに速く走るのかを極めるのはなかなか楽しいものです。首都高C1の大型車の速さは目を見張るものがあります。



総重量20トンのクルマが見事にカーブをスムーズに速度を殺すことなく曲っていく様は圧巻です。走りなれていない方は確実にその速度域に慄くことでしょう。



ですから、足回りの特性をしっかり理解していれば決して走りにくいものではないですし、路面状況を見極めて走るというなかなか現代車では味わうことのできない体験ができるんです。



ところで、象って40km/hで走るそうです。ウサインボルトと同じくらいです。あの巨体でです。なので「象足」ってアメ車にはピッタリのネーミングだと思いません?来月辺りからCGでも「象足」が使われるかもしれません。
 
[画像/JAGUAR、LANROVER、AdobeStock 撮影・ライター/Mr.T]

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