名前こそ同じだがまるっきり様変わりしたクルマたち
工業製品においては「最新のモデルが最良のモデル」という言葉があるように、技術の進歩は日進月歩であり、当然のように最新モデルが最良のモデルであることは間違いない。しかし純粋な性能だけではなく、デザインやフィーリングといった数値化するのが難しい点も存在する自動車においては、必ずしもその言葉が当てはまるとは言えないのも事実である。そこで今回は(思い出補正もあるが)初代を復活してほしいと思ってしまうモデルをご紹介したい。
ビッグネームでもダメ! クルマはいいのにデザインで売れない残念な現行車5選
1)日産マーチ
1981年の東京モーターショーに「NX-018」という名前で展示されたリッターカーは、82年に一般公募で名付けられた「マーチ」という名前でデビューした。
当時はホンダ・シティやダイハツ・シャレード、スズキ・カルタスが存在していたリッターカー市場に割って入った形だったが、ジウジアーロが指揮を執ったデザインや、日産初のアルミブロックを採用したエンジンなどが高い評価を集めてたちまち人気車種となったモデルである。
当初は3ドアハッチバックのみのラインアップだったが、5ドアやキャンバストップ、ターボにスーパーターボと大きくラインアップを拡大し、マーチをベースとしたパイクカーであるBe-1、パオ、フィガロまで生み出されていた。
一方の現行モデルはタイで生産されて日本へ輸入される形となっており、そのコストカットが見え見えの内外装や3気筒となってしまったエンジンの評判が芳しくなく、先進安全装備も備わらないことから、同じコンパクトカーならノートに……と営業マンに言われる始末となっている。
2)ホンダ・シビック
「マン・マキシマム/メカ・ミニマム」というM・M思想を持ったホンダのクルマ作りから、1972年に登場した初代シビック。オーソドックスな2ボックススタイルながら、居住スペースを広く採った初代シビックは日本のみならず北米市場でも高い評価を受けたモデルとなっていた。
とくに、アメリカで制定された1970年大気浄化法改正法、いわゆるマスキー法は、自動車の排気ガス規制法として当時世界一厳しいと言われ、クリアするのは不可能とまで言われたものであったが、それをクリアしたのが初代シビックに搭載(1973年に追加搭載)された「CVCCエンジン」だったのである。
それに対して現行モデルは、クルマとしての完成度は高いものの、シビックという名前が付くモデルとしては肥大化しすぎてしまった印象がある。従来のポジションはフィットが担っているものの、シビックという名前のコンパクトモデルを懐かしく思ってしまうのだ。
3)スバル・ジャスティ
前述のマーチも含め、多くの車種がしのぎを削っていたリッターカー市場に最後に参入したのが、1984年に登場したスバル・ジャスティだった。スバルには軽自動車のレックスと中型車のレオーネの間を埋める車種がなかったこともあり、スバルユーザーからしても販売会社からしても待望のコンパクトカーだったのである。
そんなジャスティのウリは、やはりスバルのアイデンティティでもある4WDだった。パートタイム式ではあったが、シフトノブに備わるボタンをワンプッシュするだけで切り替えが可能なそれは、降雪地帯のユーザーに絶大な支持を集めていた。また、87年には量産車としては世界初となるCVTミッションを搭載したモデルを追加。今でこそ一般的なCVTだが、ジャスティが世界に先駆けて採用した車種だったのだ。
そして日本国内では約22年ぶりに復活したジャスティは、初代とは似ても似つかないスライドドアを持つトールワゴンとなっていた。リッターカーとCVTミッションという共通項はあるものの、そもそもダイハツのOEM車となってしまっているという状況だ。
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