11月2日に栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われた2024スーパーGT第8戦の予選。GT300クラスはランキング首位のLEON PYRAMID AMGが4番手となるなか、同2位のmuta Racing GR86 GTは16番手、同3位のVENTENY Lamborghini GT3は17位に沈んだ。雨の影響もあったであろうが、Q1で2台に何が起こったのか。予選後に聞いた。
■Q1二度目の赤旗提示で「すべてが終了」のmuta Racing GR86 GT
ランキング首位のLEON PYRAMID AMGを5ポイント差で追うmuta Racing GR86 GT。両車はともにブリヂストンタイヤを履くマシンだが、第8戦の予選では明暗が別れた。
平良響がドライブした予選Q1では、最初の赤旗までと再開後で2種類のタイヤを使い分けていたと言うのは、muta Racing GR86 GTの渡邊信太郎チーフエンジニア。その使い分け自体は事前に決めていたことだったが、問題となったのはQ1が赤旗提示でそのまま終了になってしまったこと。
「赤旗再開後に、もう少しタイムアップを狙っていました。そこで、セッションの終了までに僕たちが予定していた周回があと2周あったんですけど、そこで赤旗が出てしまい、Q1はそのまま終了することになりました。そうなったと同時に、僕たちもすべてが終了してしまいました。
「タイムアタックすることができずにQ1を終えることになってしまったのが、すべてですね」と続けた渡邊エンジニア。これでQ1を22番手で終えたmuta Racing GR86 GTは、堤優威がQ2で2番手タイムを記録したが、“ロワー15”での2番手ということで決勝スターティンググリッドは16番手となった。
ランキングを争うLEON PYRAMID AMGが4番手ということで、決勝では追い上げが必須となるmuta Racing GR86 GTだが、渡邊エンジニアは追い上げる術は「ない」ときっぱり。その理由を以下のように続ける。
「前戦のオートポリスなどのようにピットストップがレース中に複数回あれば戦略の幅を持たすことができますが、今回は300kmレースなのでピットストップは1回です。その場合は戦略の幅がないので、基本的に『自分たちがどれだけ速く走れるか』という部分に集中することになります」
「正直かなり苦しい展開になってしまいました……。感覚としては、今回のことが原因でチャンピオンを獲ることができなくなってしまった、くらいです。とにかく決勝は彼らのほうがポイントが上である以上、65号車(LEON)の前でゴールすること、それだけが目標です」
■タイヤの選択をミスと赤旗の連続でアタックできずのVENTENY Lamborghini GT3
一方、こちらもランキング3位とチャンピオンシップを争うポジションながら、今回の予選では17番手となったVENTENY Lamborghini GT3。予選後にQ1を担当した元嶋佑弥に話を聞くと「う~ん、難しかったですね」と少し浮かない表情をみせた。
「Q1で出ていったタイヤの選択をおそらくミスしていて、そのタイヤを1周で使い切ってしまいました。その後は異なるタイヤに履き直して、そっちのほうが全然良かったのですけど、赤旗が連続で出てしまったのでアタックできずに終わってしまいました。クルマの感触としては、とくにダメという感じではなかったんですけどね……」
また、直接の赤旗原因にはなっていないが、元嶋は多くの車両が手を焼いた最終ビクトリーコーナーでスピンを喫したひとり。そのとき自身はアウトラップだったというが、チャンピオンシップを争うプレッシャーもあったことを明かす
「もうアウトラップはけっこう必死でした。いつも僕はどちらかというと手堅く走るほうなのですが、今回はタイヤが温まるかどうかの状況なので、そうも言っていられない状況でした。でも、チャンピオンがかかっていなければ、ああいった走りはしません。チャンピオンがかかっているからこそ、あえて『攻めなきゃいけないとき』でした」
Q2ではパートナーの小暮卓史が3番手タイムを記録したが、こちらもロワー組のため、VENTENY Lamborghini GT3は決勝を17番手からスタートすることになった。
「できることなら本当に表彰台圏内を目指せるくらいに頑張っていきたいです。でも、クルマも(サクセスウエイトで)軽くはないので、現実的にいちばんやってはいけないことは、今回のレースでタイトルへの可能性をなくしてしまうことです。その部分を含め、チームと冷静に頑張っていけたらいいなと思っています」
予選では雨が影響したことで下位に沈んでしまったmuta Racing GR86 GTとVENTENY Lamborghini GT3だが、速さと実力に関しては疑う余地のない2台。決勝では気づけば上位に進出してくるかもしれない。
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