ディーゼルエンジンの仕組みとクリーンディーゼルの可能性
マツダがスカイアクティブDを登場させたことで日本でもすっかりメジャーなエンジンとなったディーゼルエンジンですが、少し前まではトラック用のエンジンで、音もうるさければ排ガスも臭いものと思われていました。そんなディーゼルエンジンの仕組みとクリーンディーゼル実現の技術を紹介していきます。
ディーゼルの名前は人名だった
ディーゼルエンジンはドイツ人のルドルフ・ディーゼルが1829年に発明したエンジンです。一般的なディーゼルエンジンの軽油のことをディーゼルと思っている(ガソリンエンジンとの対比で)方も多いのですが、それは間違いです。ディーゼルエンジンは一般的なピストンエンジンですが、その燃焼方法がガソリンエンジンとは大きく異なります。ディーゼルエンジンはシリンダー内に空気だけを取り込み(最近はガソリンエンジンもこの方式が増えています)、高圧縮を行い、圧縮によって高温になった空気に燃料を噴射して自己着火させます。
一般的なガソリンエンジンの圧縮比は10:1前後で、マツダのスカイアクティブGが14:1という理論的な限界値に近いエンジンを開発しています。しかしディーゼルエンジンではその14:1よりも高い圧縮比が採用されることが多く、20:1前後のものも多く存在します。この圧縮比の高さこそがディーゼルの効率の良さにつながっています。
ディーゼルエンジンのもう一つのよさは燃料をあまり選ばずに駆動が可能という面です。しかし、この燃料の自由度の高さは自動車ではあまりメリットになっていません。というのも排ガス規制をクリアするためには、硫黄含有量の低い燃料などが必要だからです。燃料の自由度を生かせるのは船や軍需用に使われているディーゼルエンジンということになります。
クリーンディーゼルとは
経済産業省「クリーンディーゼル普及推進方策」内には次のように書かれています。 (前略)2009年10月に導入されるポスト新長期規制は、NOx、PMともに大幅な改善を求めており、欧米の規制レベルと遜色のない世界最高水準の規制となっている。特に、ディーゼル乗用車については、ポスト新長期規制におけるNOx、PMの規制値はガソリン乗用車の規制値と比べてもほぼ同等となっていることから、ポスト新長期規制に対応したディーゼル車を「クリーンディーゼル車」と定義する。 この規制をクリア、つまり今現在新車で販売されているディーゼル乗用車はクリーンディーゼルということになる。
排ガスをいかにきれいにするか?
軽油を使う自動車用のディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて二酸化炭素排出量が少ないという特徴があります。しかしながら、高温で燃焼を行うため窒素と酸素が結合しやすくなり、窒素酸化物の発生が増えます。窒素酸化物の発生を抑えるために燃焼温度を下げると、今度はPMと呼ばれるススが発生します。ディーゼルエンジンの排ガス清浄化では、窒素酸化物とPMの両方を除去する必要があります。そのためにはさまざまなアプローチが考えられていて、触媒で除去したり、フィルターで除去したりという方法が採られています。
またアドブルー(尿素水)を使った触媒システムも多く使われるようになってきました。尿素SCRと言われる方式で、窒素酸化物を含んだ排ガスに尿素水を噴射すると、排気中でアンモニアガスが発生、アンモニアガスと窒素酸化物が化学反応を起こして、窒素と水蒸気となるというものです。
以前のディーゼルエンジンの排ガスには硫黄酸化物も多く含まれていたのですが、前述のように現在は燃料の硫黄分を極限まで低くしたサルファフリーと呼ばれる燃料を使うことで、硫黄酸化物の発生が抑えられています。
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