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各F1チームで解釈分かれる新規則のフロア。”Z字型”が2021年のトレンドになる?

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各F1チームで解釈分かれる新規則のフロア。”Z字型”が2021年のトレンドになる?

 2021年のF1は空力レギュレーションが変更され、ダウンフォース量の10%削減が目指されている。そのうちのひとつが、フロア面積の縮小だ。各チームはここで失われたダウンフォースを取り戻すために様々な工夫をこらしているが、チームの考え方は大きくふたつの方向性に分かれているようだ。

 フェラーリやアルファロメオ、ハース、マクラーレン、ウイリアムズはレギュレーションで定められた通り、フロアの後ろ半分がリヤに向かって徐々に細くなっている。昨年までと比べるとリヤタイヤ前のセクションが三角形に切り欠かれている形だ。また、フロアの端には気流を整えるためのパーツはあまり置かれていない。

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 一方メルセデスやアストンマーチン、レッドブル、アルファタウリはテスト時から全く異なるソリューションを採用しており、アルピーヌも開幕戦からこれに近いフロアを使用している。

 この5チームは、フロアが細くなり始める部分から200mmほど後方のところで、フロアの端にZ型の切り込みが入っている。結果的にフロアの総面積はレギュレーションで定められている以上に減少しているものの、フロアの形状をより柔軟に定めることができる。

 トップの画像は、レッドブルおよびメルセデスの今季マシンを撮影したものだ。黄色で塗られた部分が昨年までフロアがあったエリア。そして点線は、各チームがレギュレーションの意図に従っていた場合のフロアの端の位置を示している。

 ただ、チームによってデザインは異なる。画像を見てもそれは一目瞭然だろう。レッドブルはメルセデスに比べ、フロアの端が最後部までマシンのセンターラインと平行になるよう、大きく切り欠かれている。

 またこのZ字型になっている場所は、気流が意図した経路から外れたり気流が乱れたりする可能性があるポイントであり、Z字型のエッジを作ることで気流を整えたり、渦流を生み出すことで気流をコントロールするという狙いがあるはずだ。フロアに搭載されたフィンや、アストンマーチンが採用している波型の形状なども、それを助けている。

 この部分は、各チームが複雑に相互作用する気流から得られるメリットを少しずつ見つけ出し、それに合わせてチューニングしていくため、今季の開発の中心となることは間違いないだろう。

 例えばアルピーヌは、前述したように開幕戦に合わせて新たなフロアを持ち込んだだけでなく、それと組み合わせるパーツを多数用意するなど、すでに本格的な取り組みを始めていた。

 アルピーヌはバーレーンGPで、フィンが計4枚ついているバージョンの他、フロアの切り欠きの端にフィンを1枚だけ取り付けるというバージョンもテスト。レースにはフィン1枚のバージョンで臨んだ。さらにリヤタイヤ前の部分も、テストから計4バージョンのストレーキが確認されている。

 しかしそれぞれのチームは開発サイクルの中で異なる段階にあり、異なる方法でリソースを費やしている。そのため、どちらの手法がより適したものなのかは一概には言えないだろう。

 またフロアはレギュレーションの中で最も大きな変更点だが、フロア以外にもパフォーマンスに影響を与える可能性のある変更点がある。その開発にもリソースが割かれるはずだ。

 例えば、ディフューザーを通る気流を整えるストレーキのサイズが規制された。これは、レーキ角(マシンの前傾角)によって、その影響に違いが出る可能性がある。

 ローレーキのマシンは、ストレーキと路面の距離が近いことで生じる渦流を利用し、ディフューザーの効果を高めていたようだ。しかし今季から、ディフューザーのストレーキは高さが50mm低く(路面から遠く)なっている。メルセデスのディフューザーの全体的なデザインは、現段階では2020年とほぼ同じだが、ストレーキだけは規則に合わせてサイズが変更されている。

 一方マクラーレンは規則を巧みに解釈して、ディフューザー中央部のストレーキを、去年と同じ高さに維持している。この点は異例だと言える。MCL35Mのフロアからディフューザーに遷移する部分を後方に延長。許されているよりも低い位置にストレーキを搭載することができているのだ。

 今季は大幅に変更されたレギュレーションが導入される2022年に向けて、比較的早くマシンの開発が切り上げられると思われる。それでも空力を開発するエンジニアは、開発が完全に来季向けにシフトするまで、いかに空力的に最適なマシンにしていくかを考えていくはず。そのため、シーズンを通じてフロアやディフューザーに変化があるかどうかは、今季の注目ポイントだろう。

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