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29歳、フェラーリを買う──Vol.26 車検完了! “98万円”の意味とは?

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29歳、フェラーリを買う──Vol.26 車検完了! “98万円”の意味とは?

2019年8月4日、いよいよ車検が完了した360モデナを引き取りに「フェラーリ横浜サービス・センター」に向かった。

到着後、まず今回の整備内容を記した記録簿を確認した。“タイミングベルト交換”など、びっしりと項目が記されている。前回の車検時(前オーナー時)は、ほとんど交換部品の記載がなかったゆえ、対照的だ。

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記録簿にびっしりと記された、今回の車検整備内容。記録簿を確認し、専用のレザーケースに戻そうとすると、高橋忠久工場長が「マグライトの電池が切れていたので交換しました」と、話す。360モデナの純正記録簿ケース(スケドーニ社製のレザー)には、エンジン確認時などに重宝するマグライトが備わっている(フェラーリのロゴ付き!)。とはいえ、使う機会など1度もなかったので、点灯するか否かも知らなかった。こんな細かい部分までチェックするとはさすがだ。しかも、交換費用は無料だった。

【前回の振り返り:Vol.25 運命の車検<後編:整備ミス複数発覚!>】

電池を交換し、点灯するようになったマグライト。本体にフェラーリと刻まれているのがちょっと誇らしい。車検証やオーナーズマニュアルが入っているスケドーニ社製のレザーケース。また、高橋氏からはタッチアップ用の塗料もいただいた。「飛び石の小傷がいくつかあったので用意しました」とのこと。訊くと、フェラーリ純正のタッチアップ用塗料はないそうで。限りなくボディカラーに近い塗料をディーラーオリジナルで作っているという。

「傷の部分はあえてそのままにしています。必要に応じてお使いください」とのこと。オーナーの意思を尊重すべく、あえて作業しなかったそうだ。

ニコル・オリジナルのタッチアップ用ペイント。なお、フェラーリ純正のタッチアップ用ペイントはないという。ほかのフェラーリ・オーナーも飛び石などによる小傷に悩まされているのだろうか? 高橋氏に訊くと、「飛び石などの傷を防ぐプロテクションフィルムを装着しているクルマも多いので、悩まれている人はそれほど多くいません」とのこと。ゆえに、タッチペン用塗料の問い合わせも少ないそうだ。

プロテクションフィルムとは透明な極薄フィルムで、ボンネットやフェンダーに装着すれば、飛び石などによる傷がつきにくくなるという。とはいえ、コストはそれなりにかかる。フェラーリ・オーナーの多くは、ボディにぴったり装着出来る「ハンドカット」という方法でフィルムをカットし、装着するという。この場合、価格は約30万円(フィルムの種類による)。とはいえ、傷が防げるのは大きなポイントだ。決して安くないが、機会があればぜひボクの360モデナも装着したいと思う。

【前回の振り返り:Vol.25 運命の車検<後編:整備ミス複数発覚!>】

総額98万円也いよいよ、車検費用を支払うべく、最終的な整備内容を確認する。「ウォーターポンプの整備が出来なかったので、見積時より若干安価になっています」とのこと。

交換した部品の数々。1番手前にあるのは、タイミングベルト関連の部品だ。整備が出来なかった理由を訊くと「ウォーターポンプが社外品だったゆえ、ベアリングの交換が出来ませんでした」と、高橋氏は話す。製造企業や年月日、ブランドなどがまったくわからない社外品ゆえ、交換パーツがわからなかったそうだ。「入庫したフェラーリで、社外品のウォーターポンプを装着した個体は、はじめて見ました」と、高橋氏は話す。もし、ウォーターポンプを純正品にそっくり交換すると約24万円の費用を要するという。ただし、「現在、機能的にはなんら問題ありません」とのこと。というわけで、ウォーターポンプの整備はおこなわなかったそうだ。

「最終的な金額は、98万円となります」と、高橋氏は述べる。当初、100万円と考えていたから、若干安くなった。とはいえ、相当な出費だ。こうなると「クレジットカードのポイントが相当溜まるなぁ……」と、前向きに考えるしかない。ちなみに、自賠責保険や自動車重量税といった法定費用は98万円に含まれない。ゆえに、これらを上乗せすると100万円超になった。

【前回の振り返り:Vol.25 運命の車検<後編:整備ミス複数発覚!>】

当初かんがえていた予算内に収まったとはいえ、やはり大きな出費だ。とはいえ、これでしばらく安心して360モデナに乗れるのは嬉しい。支払い後、愛車を確認すべくピット内に向かう。最終チェックがおわったばかりの360モデナと久しぶりに対面する。ちなみに、最終チェックの内容を訊くと「通常運転温度(80℃)時のオイル・レベルを確認していました」と、高橋氏は言う。フェラーリはオイル量がシビアゆえ、きちんと確認しないとトラブルの原因(パワーロスや排ガスに影響)になるそうだ。ちなみに、ボクの360モデナは若干オイル量が少なかったという。オイル交換も、どうやら正規ディーラーでするのが無難のようだ。ちなみに、360モデナのオイル交換費用は工賃込みで3万5000円。オイルはシェル製で、天然ガスからつくられたものを使う。

現在、フェラーリが使うエンジン・オイルはシェル製だ。愛車を見てまず驚いたのが、隅々までピカピカになっている点だ。とくに、エンジン・ルームはびっくりするほど綺麗になっている。「整備時、部品はクリーニングします」とのこと。たしかに、主要な部品はこれまでと艶が違う。

各所が綺麗になったエンジン・ルーム。汚れが落とされた遮熱板。次におどろいたのはドア・オープン時だ。ドア・ハンドルの動きが実にスムーズである。これまで、動きが渋いとは思わなかったが、以前とは、びっくりするほど違う。

【前回の振り返り:Vol.25 運命の車検<後編:整備ミス複数発覚!>】

おどろくほどスムーズに開閉するようになった運転席ドア。360モデナのドア・ハンドルは小さい。また、ドアの開閉にあわせルーム・ランプも点灯するよう調整したという。配線を調整した結果、ドアの開閉時のみ、ランプが点灯・消灯するようになったのだ(スウィッチでは作動しない)。これで夜間時のドライブも少し楽になりそうだ。

ドアの開閉にあわせ、点灯するようになったルーム・ランプ。「ナンバーボルトも、ステンレス製に変えておきました。費用は無料です」と、高橋氏は話す。ニコルに入庫したフェラーリは、整備時、ナンバーボルトをサビの少ないステンレス製に交換するという。しかも無料とのこと。

ナンバー・ボルトは、サビの少ないステンレス製に交換された。仕上がった愛車を見れば見るほど、「これからもっと大切にしなくては……」と、思う。短期間でクルマを乗り換えていたときは、考えられなかった発想だ。

高橋氏に長く乗るコツを訊いた。「丁寧に乗るのが重要です。また、純正部品を使って定期的に整備するのも大切です」

ちなみに、整備タイミングを訊くと「1年ごとで十分です」と、話す。距離が伸びるようなら話は別というが、ボクの使い方であれば1年で大丈夫なようだ。ちなみに1年点検の費用は約3万円という。内容は、点検およびクイックパーツ(インテリアのビスなど)の交換が含まれるとのこと。また、オイル交換も1年ないしは5000kmで問題ないそうだ。

【前回の振り返り:Vol.25 運命の車検<後編:整備ミス複数発覚!>】

出費は“勇気料”と思えば良し!ほかに気をつける点はなにか?

「今の時期は直射日光が強く、かつ室温も高くなるので、インテリアが傷みやすくなります。屋外に置く場合、フロントウィンドウに日よけなどを置いてください」と、高橋氏は言う。

これまで風が出なかったエアコン吹き出し口からも、風が出るようになった。また、「走り終わってからすぐにエンジンを切らないでください。すぐ切ってしまうと、エンジン・ルーム内の温度が急激に高まってしまい、機械によくありません」とのこと。

普段、エンジンをすぐに切ってしまい、「熱を逃がさなくては!」と、エンジン・フードをすぐに開けていたがどうやら間違いだった。「駐車後、エンジンをすぐ切らず、エンジンをかけたままの状態でエンジン・フードを開けてください。時間は約10分で大丈夫です」と、高橋氏は言う。

高橋氏のアドバイスを受け、走行後、エンジンをかけたままエンジン・フードを開け、熱を逃がしたのちに、エンジンを切るようにしている。ひととおり、高橋氏から長持ちさせる秘訣を聞き、フェラーリ横浜サービス・センターを出発する。とりあえず、コマ調整によって正常な状態に戻ったタイミングベルトの実力を確認すべく高速道路に乗った。

検査済みであることを示すタグは、フェラーリのロゴ付き。タイミングベルトの新調によって、エンジンの吹け上がりがよくなり、かつパワーは元の数値に戻っているとのこと。とはいえ、一般道を走る限りよくわからなかった。

第三京浜の都筑インターチェンジをパスし、本線に入る。グイッとアクセルを踏むと、なんとなく、これまでより加速がいいように感じた。エンジンの吹け上がりもさらに気持ちよくなったような気がする。

【前回の振り返り:Vol.25 運命の車検<後編:整備ミス複数発覚!>】

タイミングベルトを交換し、調整した結果、本来のパワーに戻ったという。第三京浜から首都高湾岸線に入っても、好印象はそのままだ。「フェラーリってこんなにも運転が面白いのか!」と、あらためて実感した。

が、この“実感”はコマ調整の結果ではないかもしれない。なぜなら、高橋氏から「変化はさほど大きくありませんから、違いを知るのは難しいかもしれません」と、聞いていたからだ。

搭載するエンジンは3.6リッターのV型8気筒DOHCエンジン。最高出力は400ps/8500rpm、最大トルクは372Nm/4750rpm。にもかかわらず、加速や吹け上がりの良さを実感したワケとは?正規ディーラーで完璧に整備したゆえ、自信を持ってアクセルを踏めたからのように思う。これまで、「どこか壊れたらどうしよう……」と、ビクビクしていたゆえ、アクセルを奥まで踏み込むのをためらっていたのだ。

しかし、正規ディーラーでクルマのコンディションを把握し、かつしっかり整備した結果、故障への不安が解消された。ゆえに、アクセルをおもいっきり踏み込めたので、360モデナが持つ本来の良さを味わえたと思う。ようやく、ホンモノのフェラーリを手に入れたような気がするし、オーナーとして、自信を持って「フェラーリに乗っています!」と、言えそうだ。

筆者の所有する360モデナは2000年製だ。正規ディーラーの車検整備によって、クルマのコンディションが大幅によくなったのはもちろんのこと、フェラーリを所有することへの自信を深められたのは意外だった。

この先、19年落ちフェラーリを維持するにはさまざまな困難があるはず。しかし、念入りな車検整備によって「これなら維持を頑張れるゾ!」という勇気を得られたのは大きい。はたして、いつまで所有するのか……当初の予定は、車検を通さず乗り換えるはずだっただけに、ボク自身もまったく先が読めなくなった!

フェラーリの沼にどっぷりはまってしまったボクは、当面、抜け出せないだろう。それも、人生だ。どーんっと楽しもう! と、心に決めたのであった。

文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)

【連載:29歳、フェラーリを買う】

Vol.25 運命の車検<後編:整備ミス複数発覚!>

Vol.24 運命の車検<中編:車検費用判明!>

Vol.23 運命の車検<前編:いざ、正規ディーラーへ!>

Vol.22 中古フェラーリが新車に戻る!? 人生初!ボディコーティングの必要性を考えた

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