ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、LMDh車両『ポルシェ963』の「合理的なアップデート」をテストしており、来年にも最初の『Evoジョーカー』を投入する準備が整っている。
チームのマネージングディレクターであるジョナサン・ディウグイドは、先週末のWEC世界耐久選手権・富士6時間レースで記者団に対し、アメリカ・ジョージア州ロード・アトランタでの最近のテストで、開発用パーツが初めて1台の車に装着されたことを認めた。
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10月に開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のシーズン最終戦プチ・ル・マンの会場で行われた2日間のテストは、GTPクラスのポイントリーダーのチームがレースの準備と来年の開発の可能性の両方に焦点を当てた、ふたつの目的のテストを行った。
「そのテストでは、2025年の開発テスト項目をいくつか車両に搭載した」とディウグイドは述べている。
「年末までに、このテストとさらに2、3回のテストが予定されている」
「デイトナ(24時間レース)の30日前にホモロゲーションのプロセスを開始する必要がある。これは、2025年仕様のパーツを車両に取り付けて行った最初のテストだった」
アップデートによって、規則で定められる『Evoジョーカー』の使用が必要になるかどうか尋ねられたとき、ディウグイドは「おそらくこの場合は、そうなると思う」と答えた。
彼はさらに、「車両には開発サイクルがあり、我々はそれを進めている」と付け加えた。
「それらのパーツを検討しているのだ。まだ何も決定していないが、これは今後数回の機会に行うテストの一部となる」
「ロード・アトランタでテストし、その後ポール・リカールでテストし、年末に向けてセブリングとデイトナでテストを行う。そのため、2、3回のイベントでこれらのコンポーネントを評価し、やりたいことを確実に実行できるようにしていきたい」
ポルシェは今年、963に新しいクランクシャフトを導入する予定だったが、オフシーズン中にスペックハイブリッドシステムの振動関連の信頼性問題を克服した後、その計画を中止した。
ディウグイドは、新しい開発分野の詳細については明らかにしなかったが、今回の潜在的なアップデートは車両の動作ウインドウを広げることを目的としていると述べた。
「車両のセットアップ・ウインドウを広げ、多くのトラックでより一貫性を持たせることの方が重要だと思う」と同氏は説明した。
「963のパフォーマンスは大幅に向上したが、たとえばオースティンのような場所ではまだ苦戦している。そこでは競争力を発揮するのに苦労したが、2週間後にまったく同じクルマで(富士で)競争力を発揮した。それが、我々が本当にやろうとしていることだ」
「さまざまなことを評価している。もちろん生産スケジュールなどがあるので、新しいシャシーや巨大なコンポーネントを持ち込むわけではない」
「これらは、このクルマへの合理的なアップデートであり、我々はそれを評価中だ」
ディウグイドは、変更の実施期限は11月中旬になると述べた。これは、カスタマーカーを含むすべての963が、1月のウェザーテック選手権シーズン開幕戦であるデイトナ24時間レースに間に合うように、同じ仕様にする必要があるためだ。
「そこには、プロセスというものがある」と彼は述べた。
「率直に言えば、まだ正式には何も提出していないので、(すべてが承認されるかどうか)まったく分からない」
「もちろん話し合いは行われており、彼ら(オーガナイザー側)は我々が検討していることをすべて知っているので、秘密ではないし、彼らは完全に認識していると思う」
「プロセスの最後の数ステップに関してはまだ分からないが、IMSA、FIA、ACOはこのプロセス中、非常にオープンであり、我々はそれがどのように進んでいくかを見守るだけだ」
ポルシェは先のWEC第7戦富士を制したことで、6号車ポルシェ963をドライブするケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントールの3名が、ドライバータイトル獲得に極めて近づいている。
なお、同じくLMDhマニュファクチャラーのBMWは来年のアップデートを否定している一方、キャデラックは2025年のウェザーテック選手権とWECのシーズンに向けて車両の開発に取り組んでいるとみられる。
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