まずは発売予定の2車種とコンセプトを1車種発表
ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司が2024年4月16日、新たに中国市場へ投入する新型EV(電気自動車)モデルとして「烨(yè:イエ)シリーズ」を発表。イエシリーズの第1弾となる「イエP7」と「イエS7」だけでなく、第2弾のコンセプトモデルとなる「イエGTコンセプト」も世界初公開した。
ホンダが2026年から全世界に向けて発売する新シリーズEV! 「ホンダ0」をCES2024で初公開
また、イエシリーズは今回発表された3車種を含め、2027年までに計6車種を中国市場に投入する予定であることも同時に発表された。
今回公開された3つのモデルは、今月下旬に中国・北京で開催予定の2024年北京モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)で一般に向けてお披露目される予定だ。
イエシリーズは、四輪製品の電動化が進む中国において、現在展開中の「e:N(イーエヌ)」シリーズに続く、ホンダの新たなEVシリーズとなる。中国語で「明るく光り輝く」という意味をもつ「烨(イエ)」の字をシリーズ名称とし、「クルマを運転するすべての人が、操る楽しさを通じて心の内に秘めた想いを解放し、それぞれの個性を明るく輝かせてほしい」という想いが込められて命名された。
また、電動化への変化が速い中国において「挑戦と進化」を絶えず追い求め、変革を加速させるという決意を込めて、イエシリーズには次世代EV向けの新たなHマークが採用される。このマーク、今年1月のCES2024で発表された全世界向けのEVシリーズ「ホンダ0(ゼロ)」に掲げられて、2026年から順次市場に投入されるとアナウンスされていたのだが、その「ホンダ0」を出し抜いてイエシリーズが先に掲げることになったのだから驚きだ。
イエシリーズは、次世代EVとしての価値をより高めることを追求し、ホンダのクルマづくり理念である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」に基づき、人を中心としたパッケージングがなされている。加えて走行性能においては、中国で新開発したEV専用プラットフォームの適用と長年培った電動化技術の融合により、「操る喜び」をさらに突き詰めたとしている。また、先進のAIによるサポートをはじめとした智能化技術で、すべての乗員が快適に移動できる空間を目指したという。
それでは発表されたイエシリーズ第1弾のP7とS7、および第2弾のコンセプトモデル「GTコンセプト」について概要を記そう。
イエシリーズ第1弾モデルとなるイエP7/イエS7は、新開発のEV専用プラットフォームを採用し、1モーターによる後輪駆動モデルと、2モーターによる四輪駆動モデルが設定された。両モデルとも操る喜びを追求し、後輪駆動モデルは軽快ですっきりしたハンドリングの実現、四輪駆動モデルでは高出力でありながらも、意のままに操ることができるハンドリングとの両立をそれぞれ目指して開発が行われた。
車内は前後席ともにゆとりのある空間が得られ、快適な移動環境を整えている。AIや各機能と連動してインストルメントパネルやドアパネルのLED発光パターンを変えることで、知性を感じられる運転体験の実現も同時に目指したという。
デザインにおいては、それぞれのモデルが目指す世界観を反映している。抽象的な表現にはなるが、イエP7はシームレスで洗練されたスマートな未来感を、イエS7は見る人に刺激を与えるエモーショナルな未来感を表現したという。なるほど、両車の方向性はヘッドライト周りのデザインに現れている。
なお今回の発表でイエP7とイエS7の発売予定は、2024年末以降だと明らかにされている。
第2弾のコンセプトモデル「イエGTコンセプト」
イエGTコンセプトは、中国におけるホンダEVの象徴となるモデルを目指して開発された。まだコンセプトモデルではあるものの、GT(Grand Tourer)の名にふさわしいロー&ワイドなシルエットが印象的だ。
運転席はレーシングドライバー感覚で運転に没入できる空間づくりを行ったという。また、ダイナミクス性能も徹底的に磨き上げ、クルマと一体になって走る究極のドライビング体験の提供を目指している。EVらしい洗練された空間でありながら、赤い内装色も相まってかなりのドライビングパフォーマンスを期待させる。
助手席にはホンダの四輪製品としては初となる「遠焦点ディスプレイ」を採用。従来のLCDディスプレイに対してより奥行き感があり、まるで大画面を見ているような体験が可能なのだという。これにより、プライベートシアターのような没入空間が助手席には提供される。
なお、イエGTコンセプトをベースとした量産モデルは、イエシリーズの第2弾モデルとして2025年内の発売を予定しているそうだ。
ホンダは、「2050年にホンダが関わるすべての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現」というグローバルでの目標を掲げている。その実現に向け、中国においては2022年に発売したe:NP1、e:NS1を皮切りに、2027年までに10機種のEVを「Honda」ブランドとして投入し、そして2035年までにEVの販売比率を100%にする意向を示している。
そこで4月25日から開催される2024年北京モーターショーでは、今回発表されたイエシリーズのイエP7、イエS7、イエGTコンセプトの展示をはじめ、e:Nシリーズの第2弾モデルとなるe:NP2、e:NS2やプラグインハイブリッド車など、さまざまな電動化モデルが展示される予定だ。
こと日本国内では「ホンダe」の生産終了が報じられ、EVに消極的なのではないかとの見方もされかねないホンダ。だが今回のイエシリーズのように、2050年のカーボンニュートラル実現に向けては、堅実にローカル市場の需要を見極めている。ホンダは適材適所でEVモデルを投入し、一歩ずつゴールに向けて歩みを進めているのだ。
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