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【スーパーGT】Class1準拠の新GT500車両で“どう差をつけるか”……野尻智紀「ここからどれだけ伸び代があるかがポイント、全く楽観視できない」

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【スーパーGT】Class1準拠の新GT500車両で“どう差をつけるか”……野尻智紀「ここからどれだけ伸び代があるかがポイント、全く楽観視できない」

 開幕前のスーパーGT公式テストで速さをみせたホンダ勢。しかし#8 ARTA NSX-GTの野尻智紀は今シーズンに向けて楽観的出来る状況ではないと語った。

 新型コロナウイルスの影響により、およそ3ヵ月ぶりに参戦車両が一堂に会した公式テストが、先日富士スピードウェイで行なわれた。GT500クラスはホンダ勢の速さが目立つ結果となったが、そんな中でも特に、#8 ARTA NSX-GTは2日目のセッション4でトップタイムをマークするなど、3月の岡山テスト同様に上位につける走りを見せていた。

■ホンダNSX-GTが富士公式テストで新しいフロントのエアロパーツをテスト

 しかし、第1ドライバーを務める野尻はセッション後の公式映像のインタビューで「まだ課題がある」と語っていた。今回は電話取材という形で彼らが富士テストで感じた課題を訊くと、GT500で今季から導入されるClass1規定がきっかけとなった“ある悩み”があるようだ。

「エンジンや車体の空力の部分とかはそれぞれのメーカーで違うと思うんですけど(Class1規定で)共通パーツがたくさんある中で、特にサスペンションの部分とか“ドライビングの感覚やクルマのセットアップに直結しやすい部分”が共通パーツになりました。なので、今までより僕たちが出来ることの幅が狭くなるんですよね。その中でどうやってバランスを取ろうか……というのが悩みです」

 スーパーGTのGT500クラスは2020年からDTMとの共通車両規則『Class1』に準拠したマシンが参戦することになる。これについてはホンダがNSX-GTのエンジン搭載位置をフロント側に変更したのが大きなトピックとして挙げられるが、その他にも昨年までのGT500規定と比べて“共通パーツ”と呼ばれる指定部品を使用しなければいけない箇所が格段に増えた。

 野尻の言うように、エンジンやフロントのフリックボックスなどいくつかのエアロパーツで他社との差別化を図ることはできるが、それ以外の部品はほとんど同じと言うことで、セットアップでライバルと差をつけていくのが今まで以上に難しくなっているようだ。

 さらに野尻はこう続けた。

「今でもバランスは取れているとは思うんですけど、そこから(ライバルより)もう少し抜け出すにはどうしたら良いのか……すごく細かいところですけど、(使っているパーツが同じである分)抜け出すのが難しいなと感じています」

「クルマを理解し始めてきた中で生まれた疑問というか……これからコンディションがさらに暑くなって、(シーズン後半には)寒くなっていくことも考えると『どういうセットアップの方向性で行った方がいいのか?』という部分ですね。そこは最終的にエンジニアが考えると思いますが、今の段階で感じた懸念材料とかをドライバーがチームに多少なりとも伝えることができれば、シーズンを通してうまく進められることもできるかなと思っています」

「そういった色んなことを考えなければいけないなという中で……楽観視は全くできないなという感じですね。ただ、ホンダというと富士で少し苦戦するというイメージでしたけど、今回走ってみた感覚はそこまでの印象は正直ないです」

 ホンダ勢は富士公式テストの途中から新しいフロントのフリックボックスをテスト。野尻が乗る8号車は2日目からの導入となったが、午前中がウエットコンディションだったため純粋な比較評価をするには難しい状況だったという。それでも野尻は、新しいフリックボックスに関してネガティブな印象は持たなかったという。

 そして気になるのは何と言ってもライバルの動きだ。ただ、まだ開幕前ということで他メーカーの真のパフォーマンスが把握できていないこともあり、野尻は自分たちのパフォーマンスをさらに上げていくことに集中していきたいと語った。また今シーズンは新型コロナウイルス対策として関係者の長距離移動による感染リスク低減のため、開催サーキットが限定された。それもいつもとは違って“戦うのが難しくなる要素”と野尻は考えているようだ。

「(勢力図については)何とも言えないですけど……僕たちとしてもパフォーマンスを上げなければいけないと思うし、それは向こう(ライバル)も一緒だと思います。そういった中で周りを気にしなければいけないところもあるんですけど、とにかく自分たちのパフォーマンスをどれだけ上げられるかというのは、非常に大きなところだと思います。個人的には僕たちもまだまだ伸び代は当然あると思うし、相手も同じような状況だと思います。これからどれだけの伸び代があるのかという戦いになると思います」

「(今季のスケジュールに関しては)セットアップも含めてですけど、どのチームも考えていることは同じだと思います。この富士でどれだけポイントが獲れるか? それも重要ですけど、結局スーパーGTなので(年8戦を)どれだけ安定してポイントを取れるかというところも大事だと思います。そうなってくると、まだ走ったことがない鈴鹿とかもてぎもあるので、今年のレーススケジュールの中でどれだけ合わせ込みが出来るかというのも勝負の分かれ目になると思います。いつもよりは難しいシーズンになりそうな気はしています」

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