恥ずかしくても慌てちゃダメ!!
【Q&A】「慣らし運転」はやった方が良いの? 今どきのバイクにも効果はある?【バイクトリビア007】
考えたくは無いけれど、タイヤが2個しかないバイクはやむなく転倒するコトもある。立ちゴケやUターンなど極低速なら転んでもたいしたことないし、恥ずかしいからスグにその場を立ち去りたい……という気持ちは良~くわかるけど、まずはイロイロ「無事」かを確認しよう。
●文:伊藤康司 ●写真:カワサキ
慌てるし恥ずかしいけれど、とにかく落ち着こう
―― 転倒直後は興奮状態で痛みを感じないこともあるが、とにかく気を落ち着けてケガをしていないか確認しよう!
バイクは倒れると大抵は自動的にエンジンが停止する(とくに近年のFI車)が、もし転んだ時にエンジンがかかったままだったら、すかさずキルスイッチでエンジンを止めること。それからキーをOFFにする。そして後続車や対向車など周囲の安全をチェックし、自分と倒れたバイクの存在をアピールしよう。
オイルやガソリン、冷却水が漏れていないか?
オイルが漏れた状態で走ったら潤滑不足でエンジンが壊れるかもしれないし、漏れたオイルをタイヤが踏んで滑って転ぶこともある。ガソリン漏れは車両火災の危険アリ。冷却水漏れもそのまま走るとエンジンに致命傷を与える可能性がある。転倒直後はエンジンが熱いのでヤケドしないように注意しながら、エンジン下部などをウエスで拭うようにして確認しよう。
オイル漏れのチェック
―― とくに幅の広い4気筒エンジンなどは、エンジンカバーにヒビが入ってオイル漏れする場合がある。ヤケドに気を付けながら、エンジンカバーの下面(○で囲った辺り)から漏れてないかチェック。ウエスなどで拭うとわかりやすい。 [写真タップで拡大]
ガソリン漏れのチェック
―― 燃料キャップから少量漏れるのは問題ないが、もしタンクにキズや凹みがあるようなら衝撃を受けているので、溶接の継ぎ目(タンクの下縁辺り)からガソリンが漏れていないか確認すること。 [写真タップで拡大]
操作系が壊れていたら無理して走らない
レバーの先端の球が折れたくらいなら操作はできるが、操作する時に指が触れる場所で折れていたらケガする危険があるので、無理に乗らない方が良い。また曲がっている場合は操作に問題なければそのまま乗って帰って後日に修理。曲がりを直そうと力を加えるとポキンと折れて操作不能になる場合もある。
アクセルの動きが悪いときは、バーエンドを外すと改善する場合もあるが、絶対に無理しないこと。もし走行中に戻らなくなった一大事だ。
ペダル類が曲がっていたら、操作した際にフレームやエンジンなどに接触したり引っ掛かったりしないかチェックを。これも走行中に起こると大変危険だ。
レバーやペダルの曲がりや折れ。アクセルの動き
―― ブレーキ/クラッチレバーは曲がっていても操作に問題が無ければ、無理に直そうとしない方がいい。アクセルがスムーズに回るか、手を離すと全閉まで引っ掛かりなくキチンと閉じるか確認。リヤブレーキ/シフトペダルは曲がって車体やエンジンに干渉していないか、スムーズに動くかをチェック。 [写真タップで拡大]
ライトは点くか、ウインカーは点滅するか?
ライトやウインカーのレンズにヒビが入った場合は、透明の梱包テープなどで補修する。
問題は点灯や点滅しない場合で、電球の割れやタマ切れなら電球を交換すれば良いが、LEDのライトやウインカーだと基本的にその場での修理は不可能……。ライトが点かなかったりウインカーが作動しないと交通法規的な問題もあるし、なにより周囲のクルマやバイクに自分の動きを伝えられないので大変危険だ。
灯火類が点かなくても、エンジンや車体など走る機能に問題が無ければ乗りたくなるが、修理できなければレッカーなどロードサービスを呼ぶのが賢明だろう。
LEDランプだと修理不可能……
―― 以前の白熱電球のタイプなら、電球は汎用品なのでガソリンスタンドやクルマ用品店で購入して修理できる場合もあるが、LEDの場合はアッセンブリーで丸ごと交換する必要があるので、その場での修理は残念ながらほぼ不可能だ。 [写真タップで拡大]
ミラーは見える?
鏡面が割れていたら破片をすべて取り去るか、ガムテープなどで完全に貼り込んで飛散しないようにする。いっそのこと外してしまう手もあるが、これは道路運送車両法上で問題になるのでオススメできない。
また転倒の衝撃でミラーのナットが緩むことはよくある。走行中にグルグル動くと危険なのできちんと締めよう。
ミラーの割れ、緩み
―― 鏡面が割れていたら、注意してすべて割って取り去るか、テープで飛散防止を。ネイキッドのミラーはぶつかったショックでナット(○で囲った部分)が緩む場合があるので、車載工具で締める。工具が無ければガムテープなどで仮固定し、バイクショップやガソリンスタンド等で締めてもらおう。 [写真タップで拡大]
マフラーが車体に当たっていない?
ノーマルのマフラーは頑丈なので、軽微な転倒なら傷がつく程度かもしれないが、アフターパーツに交換している場合は要注意。転倒してサイレンサーが接地した際に、車両側に押し込まれている場合があるからだ。これがスイングアームや後輪に接触すると大変危険なので、きちんとクリアランスがあるか、マフラーステーが曲がったりサイレンサーがグラついていないかを確認すること。
マフラーが押し込まれていないか?
―― サイレンサーが車体側に押されて、スイングアームなどに接触していないかチェック。静止状態で大丈夫でも、リヤサスペンションが動くと接触する場合もあるので、跨ったりシートを押すなどしてしっかり確認しよう。 [写真タップで拡大]
カウルやスクリーンは大丈夫?
カウリングやスクリーンにヒビが入ったり割れたりしていたら、必ずガムテープ等で貼っておくこと。走行に支障が無いように感じても、振動や走行風でヒビ割れが広がったり割れて飛散する可能性があり、割れた断面は鋭利なので触れてケガする危険があるからだ。
カウルのヒビや割れ
―― ヒビや割れが入ってしまったら、走行に支障がないと感じてもガムテープ等で貼って固定しておくこと。 [写真タップで拡大]
絶対に無理しないこと!
立ちゴケや極低速での軽微な転倒だと、愛車にキズが付いたのは悲しいけれど、機能的には「コレくらい大丈夫」と考えがち。またツーリング中なら、なんとか自宅まで帰りたいと思うのは人情だ。
とはいえ出先では、ちょっとした破損でもきちんと修理するのは困難。近年は車載工具を装備していないバイクもあるし、付属していても極少なので修理に対応できないことが多い。現実的にはコンビニ等で買えるガムテープなどで補修するのが限界だろう。
なので、まずは走行するのに問題ないか、また走行できても周囲に危険を及ぼさないかを冷静に見極めることが大切だ。そして軽微な転倒でも、破損個所や破損具合によってはレッカーやロードサービスを依頼する必要があることを忘れずに。
また転倒後に帰宅できた場合も、少しでも違和感や不安な点があったら、そのまま「たぶん大丈夫だろう」で乗り続けずに、バイクショップできちんと点検してもらおう。
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みんなのコメント
普通に邪魔だから、信号が青に変わる前に早く隅に行きな。
当たり前のことばかりかもしれないけど、いざというときに落ち着いて対応できるか、日頃からシミュレーションしておくことが大事。
マシンの性能や、テクニックに関することばかりではなく、万一のときにどうするか、も重要だ。
安全はすべてに優先する。