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富士24時間に臨んだ液体水素カローラは想像以上の好走みせる「期待していた結果が得られた」

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富士24時間に臨んだ液体水素カローラは想像以上の好走みせる「期待していた結果が得られた」

 5月27~28日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2023第2戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』。この一戦では多くのトピックスがあったが、世界的にも注目を集めた挑戦となったのが、液体水素を燃料としたORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptだ。液体水素をマイナス253度を保たなければならない非常に困難な挑戦だったが、その困難さを感じさせない走りをみせ24時間をフィニッシュした。

 2021年の富士24時間から、気体水素を燃料とした水素エンジンを積んだORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptを投入し戦ってきたORC ROOKIE Racing。ただ気体は充填のために非常に大がかりな水素ステーションが必要で、かつ充填時間も要していた。また航続距離もモータースポーツで使うにはまだやや短く、2021年、2022年の参戦を通じて大きな改善をみせていたものの、さらなる改善を目指し2023年から投入が予定されたのが液体水素だ。

液体水素を使用したGRカローラがいよいよS耐デビュー戦の決勝へ。途中計画的なストップも予定

 ただ液体水素は課題も多かった。トヨタが挙げていた課題が、気化を防ぐためにマイナス253度より低い温度をいかに保つか、タンク内での受熱による気化、マイナス253度の低温環境で機能する燃料ポンプの技術だった。

 さまざまな困難を乗りこえ、液体水素カローラは2月のスーパー耐久公式テストに姿をみせていたが、その後第1戦鈴鹿を前に行われたテストで、エンジンルームの気体水素配管からの水素漏れによる車両火災が発生。第1戦は参戦できず、デビューとなった第2戦富士がいきなりの24時間レースとなっていた。

 この第2戦までの2ヶ月の間に、安全最優先の考えのもと水素配管の設計変更を行ったほか、50kg以上もの軽量化を果たすなどポテンシャルもアップ。「ロケットを飛ばすようなもの(石浦宏明監督兼ドライバー)」という世界でも類をみない挑戦に臨んだ。

 専有走行からさっそくピットレーン上での給水素を行うなど、新たな挑戦を感じさせていたORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptだったが、初日から2ヶ月間の開発の成果か順調そのもの。大きなトラブルもなく決勝日を迎えた。

 MORIZOがスタートドライバーを務めた決勝スタート直前、シートレールが固定されないというトラブルがあったものの、なんとか固定されレースに臨んだが、その後は大きなトラブルなく周回。スタートから4時間42分後、当初予定どおり、ポンプ交換のためガレージイン。4時間7分でピットアウトした。

 その後、午前6時過ぎには再度ポンプ交換を行ったが、今度は「2回目は人が鍛えられたのか、モリゾウさんの激励があったからかは分かりませんが(GR車両開発部・横田義則先行開発室長)」2時間57分まで作業時間を短縮。これまでのデビューまでの苦労が嘘のような快走をみせ、最後はMORIZOがドライブしフィニッシュした。

 24時間レースでは給水素を25回実施し、「岩谷産業さんの新しい設備が、連続で使用できているのが確認できました(横田先行開発室長)」とこちらも手ごたえを得ているという。なおレース中のラップタイムは石浦が記録した2分02秒760がベスト。周回数は358周で、奇しくも気体水素でデビューした2021年と同じラップとなったが、2023年は赤旗中断もあった。また2021年はトラブルに追われながらのレースで、今季の方が技術的な困難さを考えると、充実度は高いだろう。

 初の液体水素でのレース参加に、フィニッシュを前にGRカンパニーの高橋智也プレジデントは「まだまだ僕たちが現状どこにいるのかというのは明確に言えるような立場にはないと思っておりますが、少なくとも今回想定していたマイナス253度という極低温の液体を扱うことに関しては、ある程度想定した課題に対しては期待していた結果が得られたと思っています」とコメントした。

「タンク本体に関しては十分24時間、信頼性を確保できているという確証も今回もてました。今後はポンプの部分、要は動く部分の信頼性を高めていくかに取り組んでいきたいと思います。今回はポンプを2回計画的に交換していますが、交換のスパンを伸ばし、マイレージを伸ばしていくかが今後の課題だと思っています」

 このレースウイークには、2026年からル・マン24時間での水素活用車参戦が可能になるアナウンスがされ大きな注目を集めたが、今回の誰も成し遂げていなかった液体水素エンジン車の完走は、将来に向けた大きな可能性に繋がるものと言える。なお、今回のレースの様子は『トヨタイムズ』でも掲載されているが、オウンドメディアの強みを活かした非常に興味深い内容となっている。ぜひこちらもご覧いただきたいところだ。

液体水素エンジン車開発の軌跡 世界初のレース参戦の舞台裏に密着|トヨタイムズニュース
https://youtu.be/dx_iQbNFGd0

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みんなのコメント

10件
  • 液体水素の技術に付いてはロケットと同じ。H3で苦労している三菱重工とノウハウを共有して欲しい。
  • ローラT70 とかならなあ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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