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シボレー・カマロSS 大排気量V8がジワる 2022年でも虜になるアメリカン4シーター・スポーツカー

掲載 更新 7
シボレー・カマロSS 大排気量V8がジワる 2022年でも虜になるアメリカン4シーター・スポーツカー

6代目は、どんなカマロ?

2002年に生産終了した4代目までのカマロは、スポーツ&スペシャリティのトレンドを取り込みながら進化してきた。

【画像】カマロSSとカマロ・コンバーチブル【比べる】 全24枚

その後、7年間の空白を経て復活した5代目カマロは、初代を現代的にリファインしたようなスタイルを採用。「古き良きアメリカの復興」というわけでもないだろうが、見せ方もテイストも日本車や欧州車と一線を画していた。

6代目となる現行モデルは先代のコンセプトを踏襲。遠目に見ても一目で「アメ車」と分からせるようなスタイルも健在であり、ボリュームのあるボンネット周りが、内蔵する6.2LのV8をアピール。

ただし、OHVの大排気量V8だからといって単なる懐古趣味ではない。

エンジンは現代的軽量小型設計。ミッションは10速AT。アルミ材を随所に用いた軽量高剛性の車体。試乗したSSは、最もホットなモデルらしくボンネットもアルミ製だ。マルチリンクIRSも現代のFR車らしい。

性能を追求してミドシップに生まれ変わったコルベットに代わるFRマッチョとするにはキャラが違っているが、年配ドライバーなら70年代の米国アクション系TVドラマのリメイクにも似た感慨を抱くだろうし、若年ドライバーならトレンドと違った高性能の表現が新鮮に映るだろう。

駆ってみれば思わず「日欧の高性能スポーツとは違うのだよ」と呟きたくなるのだ。

SSの味を作るのは何?

最大トルクは62.9kg-mとか、パワーウェイトレシオは3.8kg/ps未満とか記してもカマロSSのパワーの魅力は全然伝わらない。

大排気量NAにして全域に満遍なく太いトルクを配し、微小アクセル開度から行儀よく追従。10速ATは走行状況に応じた変速を行い、変速感も歯切れいい。

速くて従順なパワートレインなのは間違いないが、優等生面も神経質な天才のような感じもない。現代的な洗練を備えたパワーなのに、やはり印象に残るのは「豪放磊落(ごうほうらいらく)」なのだ。

全開加速させればもう落とされてしまう。

NASCARのトップカテゴリーを思わせるような排気音。ドラムが弾けるような連続音、腹に響く様な中低音が問答無用でアメリカン・マッチョの世界に引き込む。この時点で虜なのだ。

実際の加速よりも排気音が先行しているような、というと少々語弊があるのだが、“NASCARドライバーなりきり精神状態”ではそれも仕方ない。

昂揚感が凄いのだが、意外とプレッシャーは少ない。厳密に管理された機械という印象がないせいかもしれない。

あるいはだらだらとした中高速巡航中から感じた鷹揚さが、全開加速でも持続されるのが効いているのだろう。抱擁感のある加速性能とでも表したくなる。父性を感じさせるマッチョなのである。

乗り心地/ハンドリングについて

大味というほどルーズでもないが、神経質な反応や挙動を嫌う。フットワークも日欧の高性能スポーツとは一味も二味も違っている。

450ps級のスポーツモデルならばきっちり引き締められたフットワークを想像してしまうが、カマロSSの乗り心地は存外に穏やか。

もちろん、低負荷域から深々とストロークするような柔らかなタイプではなく、ストロークそのものは締められている。

ただ硬さで車重やGを抑え込んでいる印象があまりない。路面のうねりやGの変化を短いストロークで往なすも当たりはマイルド。見掛けに似合わずしっとりした乗り心地だ。

こんな脚捌きなので操縦感覚も機敏とかキレに欠く。と記すと、けなしていると思われそうだが、機敏とかキレは正確にして緻密な操作を求めるわけで、言い方を換えれば神経質。

路面当たりから操舵追従までフットワーク全般で過渡特性の面取りが上手い。だからといって曖昧という訳でもない。

操舵に対する回頭性はゆったり。応答遅れは少ないが回頭とライン変化が程よく一致し、あるべき舵角に自然と誘導してくれるようなハンドリング特性を示す。

操保舵力は小さく、実用車から乗り換えても違和感のないレベルだ。それがまたいい感じ。操保舵力を重くして強制的に乱雑な操舵を防止する必要もないのだろう。

160万円差を埋めるサウンド

左ハンドルだけの設定で4.8m弱の全長に1.9mの全幅。未計測だが、スペックからしても総合燃費は一ケタ後半だろう。安全&運転支援機能も一世代前の印象が濃い。

生活の場でもあまり不便のないライトウェイトスポーツ系に比べれば一般性は低め。趣味と実用を兼ねるのはハードル高。趣味の領域でも「オーバルトラックの何処が面白い?」という向きには適さない。ちなみに、筆者はオーバルトラックのレースは好きである。

SSの価格は729万円。2L直4ターボを搭載するLT RSの160万円高。LT RSでいいか、という気にもなるのだが、サスや10速AT、前後ブレンボ製ブレーキシステム等々の専用装備がないとマッチョも気分が高まらない。

何より6.2Lの、あの独特なV8サウンドを聴いてしまえば「こりゃ後戻りできないな」となってしまう。

カマロの中でも出自というかオリジンというか「私はアメ車である」と強く主張するモデルがSSである。

日本に導入されている他のGM系モデルも同様なのだが、北米味が強い分だけ日本の一般的な使用環境やユーザーの嗜好と齟齬もあるだろうが、本場の味とはそういうものだ。

一般論としては勧められないが、日欧のスポーツモデルが合わないとか、ドライビングに気疲れするというスポーツ派は要チェックの一車だ。

シボレー・カマロSS スペック

価格:729万円
全長:4785mm
全幅:1900mm
全高:1345mm
車両重量:1710kg
エンジン形式:6168ccV型8気筒
最高出力:453ps/5700rpm
最大トルク:62.9kg-m/4600rpm
ギアボックス:10速オートマティック
駆動方式:後輪駆動
乗車定員:4名

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みんなのコメント

7件
  • アメリカはブレないね〜
    羨ましくもある
  • チャージャー、チャレンジャー、マスタング、ついでにコルベットも
    本当、アメ車は上手いよ
    どれもこれも分かり易くしかもカッコイイ
    勿論、このカマロも
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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