2007年、CO2排出量への関心が世界的に高まりを見せる中、2代目スマートフォーツーのスポーツ仕様「ブラバス」が登場している。スマートフォーツーをベースにブラバス社が専用チューンを施したハイパフォーマンスモデルはどんな魅力を発揮していたのか。今回はドイツで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年11月号より)
すべての面で磨きがかけられた特別なスマート
最近になって、ようやくドイツで新型スマートを見かけるようになってきた。というよりも、実際にはもっと前から走り出していたのだが、あまりに新旧のスタイル上の変化に乏しいゆえに、旧モデルと見分けが付かなかったというのが本当のところだろう。
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事実、筆者のオフィス隣に以前からスマートに乗っているマリアさんという女性がいるが、この人のスマートも、いつの間にか新型に変わっていたのだが、迂闊にも気が付かなかったくらいだった。しかし、いずれにせよ、ドイツでこのコミューターは間違いなく市民権を得た様子で、とくに大都市では景色の一部にほとんど自然に溶け込んでいる。
そんな折にスマートから「ブラバス バージョン発表試乗会」というニュースが届いた。テストが行われる場所は、ボットロップというブラバス・スマート本社のある街で、日本人が多く住んでいるデュッセルドルフの北にあり、かつてルール工業地帯と呼ばれていた中部ドイツに位置する。
さて、長さ2.7m、幅1.5mへと成長した新型スマートが、同時に仕上げ感、クオリティも大幅に向上したことはすでに報告したが、そのハイエンドバージョンであるブラバス仕様は、さらに磨きがかかっている。
まずこのブラバスバージョン、正確にはベーシック仕様のスマート フォーツー ブラバスと同ブラバス エクスクルーシブの2種類が用意されている。この2台のブラバス バージョンだが、エンジンは等しくチューンされており、総排気量999ccの3気筒ターボエンジンは、排気系の変更とマネージメントの最適化によって、最高出力は98ps/5500rpm、最大トルクは140Nm/3500rpmを発生する。そして5速セミオートマチックの組み合わせによるカタログ上の性能は、0→100km/hが10秒を切る9.9秒、最高速度は155km/hでリミッターが作動する。
もちろんブラバスのことだから、エクステリアもインテリアもスタンダードとは、ばっちりと変化を見せてくれている。
まずもっとも目立つのがボディの四隅の路面に対して、まるでシコを踏んでいるような安定感を見せるワイドタイヤである。フロントには5.5Jホイール(ブラバス・モノブロック)と175/50R16、そしてリアには7.5Jと225/35R17がそれぞれ組み合わされる。
また最高速度が上がり、当然のことながらエアロダイナミクスも重視されるこのベビーギャングのフロントには、大型化されたバンパースポイラーとその両端にドライビングランプが埋め込まれている。そしてリアエンドに回ると、さらに専用リアスカート中央からブラバス製の2本のマフラーカッターが突き出しているのである。
一方、インテリアも一層格上げされ、各所にレザーやアルミのアプリケーションが見られる。ここまで来れば、もう旧型のように、間に合わせものという印象はまったくなくなっている。さらにスマートスタンダードではオプション設定のキノコのようにダッシュボード中央から生えているタコメーターと時計も、ブラバスでは標準装備となっている。
アウトバーンでの150km/h走行にも不安なし
例によってシフトレバー背後のコンソールにあるキーを捻ると、後方から押し殺したような3気筒の唸り声が伝わってくる。
グリップ感の優れた太めのステアリングホイールを握ると、まるでスマート全体が我が手中に収まってしまうのではないかと思われるほど頼もしさが伝わってくる。
ステアリング背後から伸びたシフトパドルを手前に引いてローを選択、スロットルを開くと思ったよりもずっと軽快に街中に飛び出す。もちろん98psと140Nmと小型車並みのパワーによるダッシュ力は素晴らしく、他の交通をやすやすとリードする。
アクチュエーターによってメカニカルにクラッチのオンオフが行われるセミオートマチックは、以前よりはずっとパワーの途切れは少なく、まあ我慢の範疇に収まるようになっている。
締め上げられたスポーツサスペンションにもかかわらず、思った以上に乗り心地は良く、工事中の悪路もまったく気にすることなく乗り越えることができ、これならばタウンカーとしては間違いなく合格である。
それではこのスマート・ブラバスが市街地専用のタウンカーに限られた性能しか持ち合わせていないかと言えばそんなことはない。それはアウトバーンへ乗り込んだときに、すぐさま感じられた。
このスマートはスタンダード仕様でも、さすがにドイツで開発されたクルマだけあって、アウトバーンにおいても決して怯まなかった。しかしブラバスはさすがに16+17インチのタイヤと締め上げられたサスペンションによって、最高速度付近における高速走行もまったく不安のない走行を見せてくれたのである。それは150km/h付近での直進走行のみならず、レーンチェンジにおける抜群の安定性でも実証された。
またフロントがディスク、リアはドラムという古典的なブレーキも終始頼もしい、そして安定した姿勢を保った制動力を示してくれた。
さて、このハイエンドスマートの価格だが、スマート フォーツー ブラバスが1万9490ユーロ(約311万円)、ブラバス エクスクルーシブが2万2430ユーロ(約360万円)と非常にお高い。
もっともそれだけに販売台数はある程度限定されるに違いない。そうするときっと、ブラバスを選んだあなたは当然少数派になるわけで、貴方はスーパースポーツカーに乗っているかのように目立つことは間違いなく約束されるはずである。
しかもビッグスポーツカーオーナーのように、自然破壊の張本人に見られる心配はまったくない。このブラバスのCO2排出量はわずか124g/km、スーパースポーツカーの3分の1しか発生しないからである。(文:木村好宏/Motor Magazine 2007年11月号より)
スマート フォーツー ブラバス 主要諸元
●全長×全幅×全高:2727×1582×1532mm
●ホイールベース:1867mm
●車両重量:780kg (EU)
●エンジン:直3DOHC
●排気量:999cc
●最高出力:98ps/5500rpm
●最大トルク:140Nm/3500rpm
●トランスミッション:5速AMT
●駆動方式:RR
●最高速:155km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:9.9秒
※欧州仕様
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