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「アメリカンになっちゃったカワサキZ」 80年代を風靡した(?)ジャメリカン「Z-LTD」シリーズを振り返る

掲載 更新 13
「アメリカンになっちゃったカワサキZ」 80年代を風靡した(?)ジャメリカン「Z-LTD」シリーズを振り返る

「ジャメリカン」の道筋を作った男カワサキの異端児、Z-LTD

オイルショックや排出ガス規制による影響が一段落した後、再び力を取り戻した国内二輪メーカーは1970年代後半から高性能なモデルを次々とリリースしていく。

【関連写真11点】一見全部同じに見えますが違います! LTDは排気量、気筒数、駆動方式もバリエーション豊富なんです

そして、メーカー間の競争に拍車もかかり、80年代に入ると多種多様なモデルが送り出されるようにもなった(国内2大メーカーのホンダ・ヤマハによる販売競争「HY戦争」はあまりにも有名な話だ)。
多様なモデルが生まれていく一方、残念ながら歴史に埋もれていったモデルも少なくない。
ロードスポーツモデルをベースにした「アメリカン」などがその一例だろう(今日では「クルーザー」と呼ばれる類だが、当時は「アメリカン」がその手のモデルの呼び名だった)。

「ベース車臭」が抜けず、どこか完全にはアメリカンになり切れなかった感があることもあって、ジャパニーズ・アメリカン……略して「ジャメリカン」などとも呼ばれる、ロードスポーツモデル改のアメリカンモデル。
70年代末~80年代にかけて、カワサキはロードスポーツの雄「Z」シリーズを何とアメリカンに仕立てていたのである。

903cc並列4気筒DOHCエンジンというインパクトで、Z1(900SUPER FOUR)により世界を席巻したカワサキ。
先に登場したホンダCB750Fourとともに、「大排気量インライン4」は日本のお家芸を印象付ける名車となったわけだが、そのエンジン形式をさらに派生モデルに載せ、北米市場での販売を強化すべく生まれたのが、初期の国産アメリカンモデルだ。

Z1系ベースのLTDから、FXベース、ザッパーベースも

70年代後半、Z1系のZ1000A型エンジンを搭載したZ1000LTDが輸出向けにリリースされたのと前後して、日本市場にも続々と「弟分」たちが送り込まれた。
それらZ-LTDシリーズに共通する特徴は以下のとおりだ(一部該当しない例もある)。

・各排気量クラスの既存ロードモデルのエンジンをベースにする。

・キャスターを寝かせ、トレール量も増大。

・プルバックハンドル&段付きシートの採用。

・ベースのロードスポーツモデルに対し、前輪は19インチに大径化、後輪は16インチと小径化。

要となるフレームはベース車のディメンションを大きく変えるわけではなく、シート下フレームのロワリング加工を実施。シート高を低くし足着き性を良好にしたうえで、アメリカンらしい外観も確保。
フレーム加工まで行ったというのは、国産アメリカンのなかでもカワサキZ-LTDシリーズならではのものだったというが(Z650LTDなど例外もあり)、当時この低いシート高とティアドロップタンク、ホースバックライディングのフォルムがLTDシリーズのアイコンとなり一定の人気を得て行ったのだと思う。

同排気量のLTDでも直4/ツイン、シングル/ツインをラインアップ

また、Z-LTDシリーズの特筆すべき点は、各排気量に複数のLTDモデルが存在したこと。かなりの台数があるので、国内販売モデルに限って紹介すると……。

250ccクラス:Z250LTD(Z250FS系単気筒エンジン)、Z250LTDツイン(Z250FT系並列2気筒エンジン)。いずれも前期型はチェーン駆動だが、後期型はベルト駆動となり、車名にもbelt-driveと入るようになる。

400ccクラス:Z400LTD(Z400系並列2気筒エンジン。後にbelt-driveが追加)、Z400LTD-II(Z400FX系並列4気筒エンジン)。

400cc超クラス:Z550LTD(Z550FX系並列4気筒エンジン)、Z650LTD(ザッパーでおなじみのZ650系並列4気筒エンジン)、Z750LTD(Z750FX-II系並列4気筒エンジン)、Z750LTD-TWIN(Z750T系並列2気筒エンジン)。

これに輸出向けの440cc仕様、Z1000系のLTD仕様なども存在することから分かるように、LTDシリーズだけでも今では考えられないほどのエンジン形式、駆動方式のバリエーションを持っていたのだ。
それを鑑みると、カワサキは70代後半から80年代にかけ、LTDシリーズに非常に大きな期待をかけていたと察せられるが──。
よりアメリカンらしい専用の車体、Vツインエンジンの投入(今やアメリカン……というかクルーザーでは定番)など、アメリカンモデルはENシリーズ、バルカンシリーズへとバトンを渡していく。

「ロードスポーツ改」のジャパニーズアメリカンは過渡期的存在だったとも言えるが、カワサキはこの後もスポーツモデルのGPZ系エンジンを搭載したドラッグレーサーイメージのアメリカン「エリミネーター」を送り出し、「直列エンジンアメリカン」の系譜は地味に続いていくのである。

レポート●阪本一史 写真●八重洲出版 編集●上野茂岐

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みんなのコメント

13件
  • まあその後のエリミネーターにつながると思えば良しとすべき。国産アメリカンのブレークスルーはレブルやビラーゴにもあった。
  • 当時の400アメリカンの中ではZ400LTDが一番格好良かった。
    時を略同じくして、スズキがGSX400Eのアメリカンタイプ”L"を商品化したんだけれど
    知人が「速いし、(流行りの)アメリカンだし」って言って、凄く欲しがっていたのに
    「スタイルがイマイチだしアメリカンに高出力エンジンなんて不似合いだ」って言って
    凄く嫌われた記憶がある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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