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洗練された猛牛──ランボルギーニ ウルス試乗記

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洗練された猛牛──ランボルギーニ ウルス試乗記

ウルスとは17世紀に絶滅した野生の牛で、現在の家畜牛の祖先にあたるという。人間に飼い慣らされる前の牛! そんな名を冠したモデルは、猛牛なのか暴れ牛なのか……。

全長5.0mを超すサイズとランボルギーニらしいギラリとしたツラ構えの相乗効果で、ウルスに対面すると尋常ではない迫力を感じる。乗り込んで運転席に座っても、いたるところに六角形をモチーフにしたアクセントを配した華やかなデザインや、走行モードを選ぶ操縦桿のようなレバー(タンブーロ)がスーパーカー的で、圧倒される。

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そういえば排気量4.0リッターのV型8気筒ツインターボエンジンの最高出力は650psだった……、とスペックを思い出す。

赤いキャップでエンジン始動スイッチを覆っているのはランボルギーニのほかのモデルと共通で、キャップを開いてエンジンを始動する。でも緊張したりビビッたりするのはここまで。

8速ATをDレンジにセットして走り出すと、すぐに緊張は解けてリラックスする。まず、アイドル回転付近の極低回転域でもエンジンに気難しさは皆無で、ノイズが高まることもなく、するすると走り出す。

街に出ると、猛牛かと思われたウルスは、上手に4本の脚を伸ばしたり縮めたりして、路面の凸凹をドライバーに伝えないよう努める。したがって、乗り心地はいい。

暴れ牛どころか、躾の行き届いたお利口さんではないか! パワーに余裕があるエンジンは、回転数を上げる必要がないから室内は静か。NHK-FMのクラシック音楽をBang & Olufsenのオーディオシステムが素晴らしい音質で聴かせてくれたところで、フォルクスワーゲン・グループに属するポルシェ「カイエン」、ベントレー「ベンテイガ」、アウディ「Q7」とウルスは、共通の基本骨格を持つことに思い至った。V型8気筒ツインターボエンジンもポルシェが開発を担当したとされる。

ウルスの洗練された振る舞いには、そうした背景があるのだ。

ただし、おなじ牛を食材に用いてもイタリアンのシェフと和食の料理人ではまったく別の料理になるのとおなじように、やはりウルスは間違いなくランボルギーニのスーパーカーだった。それは、前述のタンブーロで運転モードを変えるとはっきりわかる。

タンブーロを操作すると、6つのドライブモードが選べる。「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」「テッラ(未舗装路)」「ネーヴェ(雪道)」「サッビア(砂漠)」から、レースを意味するコルサを選ぶ。するとメーターパネルが赤を基調としたものに変わり、同時にクルマ全体がレーシィなキャラに変身した。

V型8気筒ツインターボエンジンは鋭く吹けあがり、乾いた爆音が鼓膜を震わせる。滑らかだった8速ATは、ゴキン、ゴキンという変速ショックが強まるのと引き替えに、電光石火の素早い変速を手に入れる。そしてアクセルペダルを戻すと、「パパン! パン!」という、バックファイヤのような音を派手に立てる。

1速はあっという間に吹け切り、2速ですぐに100km/hに達してしまうから、アクセル全開を試せるのは高速道路の料金所通過直後だけで、それもほんの一瞬だった。しかも、そのときの恐怖を感じるほどの暴力的な加速感は、まさに暴れ牛そのものだった。

ただし加速感こそ凄まじいものの、姿勢が乱れるような不安は一切ない。状況に応じて前・後タイヤに適切なトルクを配する4WDシステムが、きっちりと仕事をしている。目がまわるほど速いのに、びたりと安定しているあたり、親会社であるアウディのRSシリーズとおなじ匂いを感じた。

意外だったのは、ワインディングロードでの軽やかな身のこなし。ステアリングホイールを操作すると、素早く、正確にノーズが向きを変える。ボディがふたまわりほど小さくなったかのようにタイトなコーナーをクリアするあたりは、後輪が舵を切る仕組みの効果だろう。

そうした操縦性のおかげで、背の高い高出力モデルでありながら、「バーンと切って、ドーンと踏んで」というような大味な運転は似合わない。走行ラインを考え、アクセルやブレーキを踏むタイミングや強弱に気を付けながら繊細に操作したくなるあたりは、スポーツカーを知り尽くしたランボルギーニのSUVだと感じた。

快適なファミリーカーとして使えるSUV、刺激的なスーパーカー、そしてファン・トゥ・ドライブなスポーツカー。ウルスは、3つの顔を持っていたのであった。

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