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第45回東京モーターショー会場に連日通ってみて思うこと

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第45回東京モーターショー会場に連日通ってみて思うこと

2年に1度の自動車の祭典、第45回東京モーターショーが閉幕しました。皆さんは観に行かれましたか?私はというと、いくつかの媒体から原稿を頼まれていたこともあり、会期中にフレンチブルーミーティングを含めた大きな自動車イベントの取材なども挟んで、というスケジュールでしたが、連日会場を回り、プレスルームで原稿を書き、という生活を送っておりました。

個人的には「もう少し見たかった」というのが正直な感想でしょうか。網羅できていないブース、聞いてみたい話、もっとこの目で見たかったコンテンツなどがあって、また今回も積み残しがある状況です。以前よりも出展企業も減って規模が縮小しているはずですが、それでもなかなか網羅するのは難しいものです。そんな規模感の今回の東京モーターショー、見切れないくらいですから、大変でしたし、未達でしたが、だからこそ結構満喫できたということもできると思います。

プレスデーは「静かなる戦場」だ!第45回東京モーターショー2017裏話レポート

メディアの取材は、(主なメーカーなどは)だいたいプレスデーに行います。しかし、誰に向けてのモーターショーか??出展企業からすると、「プレスの方たちはリリースを読んで!」「質問あれば広報まで連絡頂戴!」なのではないかと思います。メインは一般の来場者です。『忙しい日々を過ごす合間を縫ってモーターショーの会場に足を運んでくれる人に向けて、ウチはこんなことを考えて物を作っていますよ!みなさんこういうのはどう思いますか?』そんな発表の場であり、コミュニケーションの場、なのではないでしょうか?現に各ブースで話を聞くと、普段は表に出られないエンジニアの方の熱い思いに触れる場面もいくつもありました。そして楽しそうに見ている人たちのまなざし、興味深げにお目当てのクルマ、技術を見る姿が会場のあちこちで見られました。

例の関係業界にとっての都合のいいエクスキューズ、「クルマ離れ」などやはり見て取ることはできませんでした。これは来場者数の分布にも出ていて、女性、そして40歳未満の「比較的若い層」の来場者比率が向上しています。総来場者数は77万1200人、台風22号の影響などを考えればこんなものではないでしょうか。後半はむしろ10万人超えの日が続き、幕張メッセから矩形にして見学して回るのに不便な構造のビッグサイトに会場を移転したわけですから、それ以上は望む方がおかしいのでは?と思うほどの来場者数がありましたので、僕個人としてはまあ多くはないが少なくもないと思っています。

まあ、他でも書いたのですが、僕が一番苦言を呈したいのは、「80万人を切ったモーターショー」というところだけを切り取って「盛り上がらなかった」と書き立てるだけのメディアに対してです。これは確かに「それでよしとしている」主催者自工会の姿勢にも問題はあるのかもしれません。例えば、プレスデーでさえ、メーカーによっては説明もできないスタッフを配置している企業がいた点は問題だと思います。依然は、観たことあるなというような目を引くモデルのようなコンパニオンさんでも、持ち場の出展内容に関してはある程度回答でき、それ以外のことも分厚いファイルを調べて説明してくれたものです。それに比べると、ただ人が立っているだけというブースもありました。

こういうクオリティコントロールは主催者でもすべきではないでしょうか。会場整理のスタッフも人によっていうことが違い、案内とは異なるオペレーションになっていた。あるいはオペレーションがよかったとは言いきれない面はあります。そして何より、みんなが観たいブランドがそっぽを向いて「出展見送り」を決めても、頭を下げて出展料取らずにでもクルマを置くスペース位用意するくらいの大所高所での判断があってもよかったようには思います。

しかし、それでも盛り上がっていなかったか??いいえ、盛り上がっていました。これは一般公開日に行ったから言うのですが、プレスルームだって一部の自動車メディアに寄稿するライター、ジャーナリストの人ばかり。知っている人がほとんどです。

要は「クルマ離れ」が起きている→「モーターショーやっても人なんか来ないだろう」→「おあつらえ向きの前回割れの入場者数」というデータが出たことをいいことに、ムードで書いたと言わざるを得ないモーターショー総括の記事が特に一般メディアに多いことはとても気になるところです。

一般に、何となく受け入れてもらいやすそうなことを書いて曲がった印象を植え付ける。あれはミスリードにすらなってない。実態をしっかり把握しておらず、ジャーナリストとして感じ取ることもしない。クルマ離れで自動車産業が廃れることはないでしょうが、ああいういい加減な報道姿勢でブームとひとくくりにされて廃れたりすることはあるんだろうなともった次第です。いろんな分野、業界でこんなことばかりしているんだろうと思うと、それだけで恐ろしいほどです。

おべっかを使って、提灯記事を書けというのではないです。でも今でも日本の基幹産業の一つ。自動車で夢を見ることはそんなに悪いことでしょうか?そして各社ビジョンを持って・持っている技術やセンスで先々のストーリーを紹介しようとしていましたから、それを少しでも積極的にくみ取る感受性はないのでしょうか?

感受性がないまま、台数の増減、メーカーの収支、そしてこうした関連行事の数値だけでしか自動車を評価できないような土壌に、自動車文化など根付くはずがありません。なぜなら、どう考えても経営的にアウトな状況でさえ、悪あがきのようにクルマを作ったり、経営的な判断ではなく時に執り憑かれたように、そして時には意地で販売にこぎつけたようなクルマたちの歴史こそ、自動車史であり自動車文化史なのですから。

時代に逆行するようですが、そういう表面的な報道しかできない報道機関には次回のプレス申請を却下してはどうでしょうか?と主催者に進言したいほどです。

たぶん来場者の多くの人は2017年のクルマを感じて帰られたのではないでしょうか。もしかしたら、この人たち程も感じ取れていないんじゃないだろうか、そんな不安が残り数時間という時に私の前身をよぎったほどです。

それでも、こうして毎日会場に足を運び、昨日は聞けなかったあの話を聞いてみよう。あの子との質問してみよう、とできる私の身の上。なんと幸せなことだろうか!と、閉幕した時に感謝の気持ちでいっぱいになったものでした。小さなパーツの話から、クルマに関するサービスの話、そしてこの日のために作り上げられた流麗なコンセプトカー、そういえばまだ間近で見てなかった発売済みモデルなど自動車浸りの約二週間弱、私にとって夢のような日々であったことは言うまでもありません。

モビリティは人の心を熱くし、人と人とを繋ぎ、人に可能性をもたらしてくれるのです。

少し気が早いですが、2年後の東京モーターショーが今から楽しみでなりません。

[ライター/画像 中込健太郎]

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