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【くるま問答・昭和編】キャブレターに替わって登場したインジェクションは一気に普及した【その8】

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【くるま問答・昭和編】キャブレターに替わって登場したインジェクションは一気に普及した【その8】

昭和も終わりに近づいてくると排出ガス対策のためにキャブレターからインジェクションに替わっていった。ソレックス、ウエーバーなど多くのクルマ好きを魅了したキャブレターが一掃されるほどインジェクションが普及したのか、その理由と構造について解説していこう。

排出ガス規制のために誕生した電子制御インジェクション
インジェクション(燃料噴射装置)は、ざっくりと言えばエアフローメーターで吸入吸気量を検知してガソリンを噴射するシステムだ。キャブレターが吸入空気の負圧でガソリンを引っ張り出すのに比べるとかなり直接的なシステムなのが特徴だ。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

ちなみにキャブレターの時代にも機械式インジェクションと呼ばれるアナログ制御のものがあった。自動車レースなどで強い横Gがかかると、キャブレターは油面の傾きでガソリンが流れなることなどがあり、不都合が発生することがあった。しかし、インジェクションはインジェクターから直接ガソリンを噴射するので、それを心配する必要がなくなった。その頃、外国の乗用車にも機械式インジェクションが採用された例はあったが、日本では一足飛びに電子制御インジェクションが普及していた。

インジェクターの概念図
日本で電子式インジェクションが普及していったのは、走行性能向上のためというよりも、厳しくなる排ガス規制に対応するためだ。ホンダのCVCCなどエンジン側の構造で排ガスの処理に先んじていた日本だが、最終的には三元触媒という排ガスの後処理でHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素炭化物)を化学反応で酸化、還元するという方法にたどり着く。逆にそうしないと世界一厳しいと言われた日本の排ガス規制に対処できなかったのだ。

機械式インジェクションと電子制御式インジェクションの概念図。
そこで問題になったのが、三元触媒は理論空燃比(14.7:1)の状態でないと上手く働かないということ。つまりキャブレターのアナログ的な制御では、せっかく搭載した三元触媒の意味がなくなってしまうのだ。当時の電子制御はまだ発展途上だったが、ECU(エレクトロニック コントロール ユニット)を使うことで、エアフローメーター、吸気温度センサー、スロットル開度センサー、燃料中の酸素そのものを計測するO2センサーなどの情報をもとに、適切な空燃比を保つことができた。

当初の電子式インジェクションは、排出ガス規制をクリアできてもキャブよりも走行性能が劣ると言われていた。しかし、後に電子制御が進化するとともに緻密な制御が可能になり、動力性能の高性能化、低燃費化に大きな力を発揮するようになる。また、吸気量を大幅に増やすターボの普及にも、燃料をデジタル制御して空燃比を保つことができる電子制御インジェクションが不可欠となった。

インジェクション

[ アルバム : インジェクション はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

5件
  • 当初は機械式のインジェクションが主流で、部分的なECU制御に至ったのは1970年代後半。
    それでも、機械式のダイレクト感が良い!と言われ、ECU制御は今と比べられないくらい、ちゃちな作り。
    今の韓国製組立自動車が今でもエンジンはエンジンだけのECU制御が主流だから、年代的に考察しても韓国は、まだ20世紀なのかも?
  • 某車は当初ボッシュ製を搭載していた。しかも、これは、踏切を通過すると誘導電流を拾うためか噴射が止まる事もあった。
    会社の上司も困って何回もディーラーやお客様相談室に怒鳴っていた。
    リコールものだとおもうけど。リコール掛かったかは知らない。ほっかむりしたのかも。
    電子制御装置が増えるに従い、CB無線で併走車がエンストとか社会問題に。
    その後各社が電波暗室を作って対策することに成って収まった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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