トヨタのランドクルーザーが欲しいと思っている人は多いが、世界的な品不足で超入手困難が続いている。どれだけ異常な状態なのか? 新車、中古車の動向を調査してみた。
※本稿は2024年1月のものです
文/萩原文博、佐々木亘、写真/TOYOTA
初出:『ベストカー』2024年2月10日号
※本企画の情報は2023年12月末現在のものです。中古車相場は萩原氏が独自に調査したもので、目安として活用してください
ランクル300は受注停止状態が3年以上……ぶっちゃけ中古ってどうなの?? ランクル4車種の販売状況を徹底解説
■ランクルよ! いつになったら買えるのか!?
発表・発売しているのに買えない! ランクル300もそんなクルマのひとつだ
欲しいクルマが買えない。クルマ好きにとってこんな由々しきことが当たり前になりつつある現代のクルマ界。トヨタランドクルーザー300系は、買えないクルマの筆頭格と言える。
ランクルブランドでは、70が復活&2024年春にはプラド後継のランクル250も販売を開始するため、ランクルフィーバーはさらにエスカレートすること確実。ここでは新車・中古車の最新状況に迫る!
■トヨタ ランドクルーザー300
全長4985×全幅1980×全高1925mm、ホイールベース2850mm、最低地上高225mm、最小回転半径5.9m、3.5L、V6ツインターボ、415ps/66.3kgm、WLTCモード燃費7.9/L、乗車定員7人、730万円(ZXガソリン)
●どんなクルマ?
現行型トヨタランドクルーザーは2021年8月に登場。骨格となるシャシーは、伝統のラダーフレームを刷新したGA-Fプラットフォームを採用。先代より+20%剛性を向上させている。同時に約200kgの軽量化そして低重心化、前後重量配分の最適化を実現している。
エンジンは、3.5L、V6ツインターボに加えて、ランドクルーザー100以来となる3.3L、V6ディーゼルツインターボを搭載。トランスミッションは両エンジンともに10速ATを採用。セキュリティ面を強化し、指紋認証スタートスイッチを採用。
グレード構成は標準系5グレードとオフロード性能を強化したGR SPORTという2グレードの7種類。ディーゼル車はGR SPORTとZXに設定。乗車定員は7人を中心にディーゼル全車とガソリン車のGXが5人となる。
車両本体価格はガソリン車GXの510万円~ディーゼル車GR SPORTの800万円となっている。
●新車の販売状況
2021年6月に世界公開されてから話題となり、正式発表の8月時点でオーダーが殺到。すぐに受注停止となるほどの人気を誇っている。
世界同時発売に加えて、元々日本市場向けの台数が少ないため、納車まで4年という納期遅延がアナウンスされた。販売開始から2年半が経過したものの、最新の納車状況はどうなっているのかを調べてみた。
トヨタ系新車ディーラーのホームページを見てみると、2023年12月22日現在、受注停止状況という項目がある。そこを開くと29車種の車名が並んでいる。そのなかには、昨年にフルモデルチェンジしたアルファード/ヴェルファイアをはじめ、GRヤリス、ピクシストラックなどが列挙されている。
なかには一部グレードのみ受注停止となっているモデルもあるが、ランドクルーザー300をはじめ、多くの車種が全グレードの受注をストップしている状況となっている。つまりランドクルーザー300は、販売開始直後から受注停止状態が3年以上続いていることになる。
受注停止の理由として書かれているのは「納車の見通しが立たない」ということ。したがって新規オーダーすることはできないのだ。
納車状況では、ディーゼルターボエンジンを搭載したGR SPORTが早いと言われている。逆に最も納車が遅れているのが、ガソリンエンジンを搭載した最上級グレードのZXとのこと。
つまり、現行型ランドクルーザーの新車が欲しいと思っても、現状オーダーすることもできず、オーダーしている人でも年単位の納車待ちという状況が続いているのだ。
エンジンスペックは3.5L、V6ツインターボ(ガソリン)が415ps/66.3kgm、7.9~8.0km/L、3.3L、V6ツインターボ(ディーゼル)は309ps/71.4kgm、9.7km/L
●中古車事情
現行型トヨタランドクルーザーを手に入れたい! と思っても新車は受注停止。運よくオーダーできるようになっても年単位の納車待ちが待っている。
すぐに乗りたい! というのであれば、中古車で探すという方法もあるが、人気車ゆえにプレミアム価格となるのは必至だ。ここでは現行型ランドクルーザーの最新の中古車相場をチェックする。
大手中古車検索サイトで、現行型ランドクルーザーを検索すると、約160台がヒット。流通している中古車の平均価格は約1151万円。中古車の価格帯は約775万~約1950万円で、新車価格の510万~800万円を大きく上回るプレミアム相場だ。
2023年1月当時は、中古車の流通台数が約60台、平均価格は約1448万円だったことを考えると、プレミアム相場も平穏の方向に進んでいるものの、平均価格が1000万円以上というのは異常と言える状態だ。
流通している中古車の搭載しているエンジンとグレードを見てみると、約60%を占めているのが、ガソリン車の最上級グレードZX。価格帯は約1048万~約1650万円とすべて1000万円オーバーとなっている。
続いて約12.2%で並んでいるのがディーゼル車のZXとGR SPORT。ZXの価格帯は約1000万~約1950万円。GR SPORTは、約968万~1370万円と同じエンジン、乗車定員ながら、中古車相場は大きく異なっているのが特徴だ。
僅差で続くのがガソリン車のGR SPORTで、中古車相場は約1050万~約1550万円となっており、GR SPORTよりも標準系。ディーゼルエンジンよりもガソリンエンジンのほうが現行型ランドクルーザーにおいて人気が高いとハッキリと中古車相場に表れている。
これ以外のグレードでは1000万円以下の中古車が出回っているが、新車価格より300万円以上も高くなっているのが現状だ。
●ランクル300 中古車情報
・新車価格:510万~800万円
・中古相場:約775万~約1950万円
・中古車平均価格:約1151万円
・タマ数:★★★☆☆
・プレミア度:★★★★★
・ポイント:中古車の価格は新車価格に対して異常と思えるほど高額だが、1年前に比べて中古車相場は若干下がり気味で今後さらに下がる可能性もある。ディーゼルよりもガソリンのほうが人気
(TEXT/萩原文博)
■トヨタ ランドクルーザー70
復刻したランクル70は新しさと古さが同居した丸目が特徴。パートタイム4WDによる強靭な走破性が魅力
●どんなクルマ?
ファン待望のランドクルーザー70が、国内市場に再々登場だ。振り返れば、2014年の約一年限定復活劇を思い出す。ただ、あの時の70と、今回登場した70は別物のクルマだ。
丸目のヘッドランプでイメージ一新し、2014年モデルが4L、V6ガソリンで、新型は2.8L、直4ディーゼルを搭載。先進安全装備も充実。
以前の復刻版では貨物登録でトランスミッションはMTだけだったが、今回は乗用車登録のATのみという仕様だ。
●新車の販売状況
新型はカタログモデルになったのが、今回の大きなトピック。限定を気にせず、いつでもランクル70を注文できるはずだが、ランクル70の購入競争は熾烈だった。
販売方法は事前予約を受け付けず、発表日からの先着順か抽選としたディーラーが多い。転売対策として、残価設定ローン契約やリース販売を義務化するところも多数見られた。
抽選から漏れたユーザーからは「70欲しかったのに買えない」という声が、そこかしこから聞こえてくる。月販基準台数は400台。筆者は、「桁がひとつ足りないのでは?」と思ってしまった。
ディーラー販売ではすでに納期が2年を超えており、実質的なオーダーストップ状態。納期が短いといわれるKINTOでも、納期目途は2年以上となっている。
無事に契約できた人のなかでも、契約日が1日変わるだけで納期が半年ズレた、といった声も。明らかな需要過多(供給不足)の状態は、今後改善していくのだろうか。
トヨタディーラーで話を聞いてみたが、現時点で70が増産されるという話は出てこない。すでに国内割り当て分は、2年先の製造車両まで行き先が決まっていて、注文再開の目途も立っていない状況となっている。
70系がデビューしたのは1984年だから40年が経過しようとしているが、最新モデルは現代の技術が盛り込まれインテリアも現代風にリデザインされている
また、この先の継続販売にも暗雲が立ち込めてきた。複数店舗のディーラー営業マンからは「2025年以降の継続販売も不透明な状況です」という悲しい話も出てきている。
一方KINTOでは、2年と言われている納期が短縮する可能性が高そうだ。しかし、ヘビーデューティのランクル70を、パーツ交換など使用環境が制限されるKINTOで手に入れるのは、ユーザーの楽しみを制限することにもつながる。
さらに、KINTOは契約満了後の車両返却が前提であり、所有しながら70を育てたいというオーナーの希望にも添えない。
今後、待ちきれず、キャンセルするユーザーが出てくることは充分予想できるが、それが供給不足の大きな改善に繋がることはないだろう。
一縷の望みは海外市場の急変程度か。海外需要が落ちていけば、ランクル300のように、生産余剰分が日本国内に回される可能性はある。これなら大幅な納期の短縮や注文再開がありそうだが、こればかりは神頼みの領域。「あったらいいな」くらいの思いに留めておくのが現実的だ。
今、私たちができることは「70が必要なところにすべて行き届くようにしたい」というトヨタの思いが現実になるように願うこと。そして2年後もランクル70が販売を続け、いつでも手に入れられるクルマになることを、ただただ祈るしかなさそうだ。
(TEXT/佐々木亘)
●ランクル70 主要諸元
・全長×全幅×全高:4890×1870×1920mm
・ホイールベース:2730mm
・車重:2300mm
・最低地上高:200mm
・最小回転半径:6.3m
・エンジン:2.8L、直4ディーゼルターボ
・最高出力:204ps/3000~3400rpm
・最大トルク:51.0kgm/1600~2800rpm
・トランスミッション:6速AT
・WLTCモード燃費:10.1km/L
・価格:480万円
■トヨタ ランドクルーザー250
全長4925×全幅1980×全高1870mm、ホイールベース2850mm、2.7L、直4ディーゼルターボ、204ps/51.0kgm、8速AT
2023年8月2日に世界初公開されたランドクルーザー250。250の登場でプラドは消滅。ランクルの中核モデルとして、ユーザーの生活と実用を支える存在になる。300シリーズ同様にGA-Fプラットフォームを採用し、走行性能は期待どおり。
国内には、まず2.8Lディーゼルターボと2.7Lガソリンがラインナップされる予定だ。公式には特別仕様車のFirst Editionも含め、2024年前半の発売予定と発表されているが、具体的にはいつになるのか。
先行して欧州市場ではオンライン販売が始まっており、欧州仕様の納車は2024年の第3四半期、つまり9月以降になるという。この情報を足掛かりに取材を進めたところ、関係各所の一部から聞こえてきた国内発売の日程は「2024年の3月」だった。
以降はあくまでも筆者の予想となる。年度末ギリギリの発売はメーカー、ディーラーともに望まないため、初旬の発売が濃厚。水曜日発売が最近の傾向なので、ズバリ3月6日と筆者は見る。
ランクル250は角目と丸目の2タイプの顔を用意。ボディの四角さが強さの証!!
価格はランクル300、70との関係性を鑑みると、ベーシックな2.7Lガソリンがランクル70と横並びの480万円スタート。ディーゼルターボが60万高の540万円スタートと予想する。最上級グレードでも700万円程度に収め、ランクル300との差別化を図りそうだ。
販売方法は転売対策(残クレ必須など)を講じて、事前予約ナシとするディーラーが多くなるだろう。購入権獲得にはディーラーとの関係性も重要になるので、今から顔なじみになっておきたい。
すでにディーラーには多数問い合わせが来ているという。どう売るかはギリギリまで不明のようだが、真っ先に営業マンの頭に顔が浮かぶ存在になっておけば、争奪戦も一歩リードといったところか。
(TEXT/佐々木亘)
■レクサス LX600
全長5100×全幅1990×全高1895mm、ホイールベース2850mm、最低地上高210mm、最小回転半径6.0m、3.5L、V6ツインターボ、415ps/66.3kgm、WLTCモード燃費8.0/L、乗車定員4人、1800万円(エグゼクティブ)
●どんなクルマ?
レクサスのフラッグシップSUVが、2022年1月に登場したLX600。3.5L、V6ツインターボ搭載のランクルをベースとした、贅を尽くしたモデル。エグゼクティブ(4人乗り)やオフロード(5人乗り)など3モデルを設定。
●新車の販売状況
同じコンポーネンツを使用するランドクルーザーは即、受注停止となった一方で、レクサスLXはすぐにオーダーストップにならなかったが、ランドクルーザーの購入希望者がレクサスLXに殺到し、やはり受注停止となった。
現在でも受注停止が続いており、オーダーした人でも納車まで約3~4年と長期化しランドクルーザー300と同じ状況だ。
●中古車事情
現在、現行型レクサスLXの中古車の平均価格は約1730万円。価格帯は約1400万~約2250万円と新車価格の1250万~1800万円を上回るプレミアム相場。
流通台数は約57台でそのうち約34台がLX600。中古車の価格帯は約1400万~約2000万円。続いて約18台流通しているのが、4人乗り仕様のエグゼクティブ。新車価格1800万円だが、中古車相場は、約1820万~約2250万円と上昇率はLX600より小さめだ。
そして最も少ないのが悪路走破性を向上させたオフロードで中古車は5台程度しか流通しておらす、価格帯は約1550万~約1688万円。こうして見ると4人乗りのエグゼクティブが狙い目か。
(TEXT/萩原文博)
●LX600 中古車情報
・新車価格:1250万~1800万円
・中古相場:約1400万~約2250万円
・中古車平均価格:約1730万円
・タマ数:★☆☆☆☆
・プレミア度:★★★☆☆
・ポイント:新車価格が高いため、中古車の価格がとんでもないことになっているが、新車価格に対する上昇率はランクル300を下回る。最上級モデルの4人乗りのエグゼクティブが狙い目
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