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イエロー8回のサバイバルレースをディクソンが制す。琢磨は貰い事故でリタイア/インディカー第14戦ナッシュビル

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イエロー8回のサバイバルレースをディクソンが制す。琢磨は貰い事故でリタイア/インディカー第14戦ナッシュビル

 7日に開催されたNTTインディカー・シリーズ第14戦ナッシュビル決勝レース。予選14番手からスタートしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が勝利し、今シーズン2勝目を挙げた。

 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)は、レース中盤に他車と接触しリタイアに終わっている。

荒れたレースをディクソンが制す【順位結果】インディカー第14戦ナッシュビル決勝レース

 テネシー州ナッシュビルのダウンタウンで開催されるストリートレースは、今年が2回目の開催だ。

 ダウンタウンを流れる大河にかかる橋を往復するユニークなコースでの80周は、雷雨のために予定の午後2時過ぎより2時間ほども遅れてスタートが切られたが、昨年以上と見られる大勢の観客が見守る中、幾つものアクシデントが発生する“派手な”レースになった。


 荒れた展開で結果を残すドライバーといえば、過去6回チャンピオンになっているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だ。

 予選14番手だった彼は序盤のアクシデントでマシンにダメージを負い、最下位近くまで順位を下げながら、フルコースコーション中にピットストップを繰り返してマシンを直し、絶妙のタイミングで最後のピットストップを行ったこともあって上位へ進出。

 最終的に2番手までばん回してきたポールシッター、スコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)にアタックのチャンスを与えずゴールまで逃げ切った。


 トロントで勝っているディクソン。今日はシーズン2勝目だった。そして、この勝利は彼にとっての通算53勝目。ついにディクソンはマリオ・アンドレッティを抜き、インディカー歴代2位の勝利数を誇るドライバーとなった。歴代1位のAJ・フォイトの67勝なので、記録更新は難しいかもしれない。

 ディクソンは序盤に他車に接触されてホイール、サスペンション、アンダートレイを傷めた。その修理のために4回もピットストップを行い、彼のポジションは最後尾近くに下がった。“少しでも多くのポイントを”という戦いしかできない状況に追い込まれていた。

 しかし、50周目に行った最後のピットストップのすぐ後、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がタイヤバリアにクラッシュ。レイホールのマシンにリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター)が突っ込み、フルコースコーション発生。ライバル勢がピットロードに向かうと、ディクソンはコース上にとどまって2番手に浮上した。

 すぐ目の前のトップを走ったのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。ピットタイミングをずらす作戦に勝機を見出そうとしていた彼らは、レース展開に見放され、66周でピットに向かい、勝利を諦めるしかなかった。


 ニューガーデンが消えてディクソンはトップの座を手に入れた。その先ではクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング))やマクラフランが勝利を狙ってアタックを仕掛けようと奮した。

 しかし、ディクソンは後続マシンが彼に並びかけてくるところまで接近をさせなかった。満身創痍でドライビングの難しいマシンとなっていたはずだが、彼は速いペースを保った。

 ディクソンにとっての最後の試練は、残り4周で出された赤旗だった。それは彼のチームメイト、ジミー・ジョンソンが起こした派手な単独アクシデントによるものだった。

 レースが再開されると、残り2周でグリーンフラッグが振り下ろされた。赤旗前まで2番手にいたルンガーはもうプッシュ・トゥ・パスをほとんど残しておらず、ディクソンとしては戦い易い相手となっていた。

 しかし、赤旗直前に彼をパスしてきたのがマクラフラン。マシンにあれこれトラブルを抱えているディクソンは、マクラフランの大逆転を許す可能性もあった。

 しかし、リスタートで巧みにリードを広げ、ディクソンはトップの座を守り抜いた。3位はアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)のものとなった。


 もう今シーズンも残り3レースとなり、ディクソンのポイントスタンディングは2番手に上がった。今年のチャンピオン争いは、意外にもパワーとディクソン、ふたりの南半球出身・大ベテラン同士で争われることになるのだろうか?

 そこにニューガーデンは絡んでいくだろう。そして、ポイント4番手以降で続いているのはチップ・ガナッシのふたり、マーカス・エリクソンとパロウだ。

 ディクソンはレース後、「ストリートレースなので、中団グリッドからのスタートでも勝つチャンスはあると確信していた。序盤にマシンにダメージを負って戦いが難しいものになっていた」

「勝てたのはチームの作戦が完璧だったからだ。“絶対に勝利を諦めない”というチームの姿勢が貫かれ、優勝が手に入った」とディクソンは笑顔で語った。勝てる可能性はゼロではなかったが、大きな可能性が残されていたわけでもなかった。

 ディクソンのランキングは2番手に浮上し、ランキングトップのパワーとの差は6点になった。

 ポイントスタンディングはパワー、ディクソン、エリクソン、ニューガーデン、パロウの順。さらにマクラフラン、パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)らが続く。残る3はレースだ。

 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は33周目にルーキーのデブリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー)と接触し、リタイアとなった。

 ターン9でサイド・バイ・サイドとされて熱くなったデフランチェスコは、外側にいた琢磨に体当たりしてきた。

「とても残念な形で終わりました。15番手までポジションを上げてトップ10を目指していたのですが、期待の通りの結果を得ることはできませんでした」

「ターン10でデフランチェスコのラインがアウトに膨らんできて、接触しました。2台が並んで通過できる場所ですが、2台が絡んでウォールに衝突しました。デフランチェスコは、『僕が彼に向けてステアリングを切り込んだ』と言っていましたが、私はそんなことをしていません。自分のことが彼に確実に見えるようアウト側に並びかけまいた」

「実際に彼は僕を見ていました。『誰かに追突された』とデフランチェスコは説明を変えました。しかし、オンボード映像を見たところ、実際はそうではありませんでした」とコメントした。

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