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「ミウラ」以前のランボルギーニ「350GT」は6000万円! 「カウンタック」に熱狂していた昭和40年代生まれの子どもたちの評価は?【スーパーカー列伝10】

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「ミウラ」以前のランボルギーニ「350GT」は6000万円! 「カウンタック」に熱狂していた昭和40年代生まれの子どもたちの評価は?【スーパーカー列伝10】

ランボルギーニが初めて生産した市販車「350GT」

1970年代中ごろ、子どもたちの周りにあるさまざまなモノがクルマ関連グッズと化した空前絶後の「スーパーカーブーム」。当時の子どもたちを熱狂させた名車の数々を振り返るとともに、今もし買うならいくらなのか? 最近のオークション相場をチェック。今回は「カウンタック」や「ミウラ」の祖先にあたる、ランボルギーニ初の量産車「350GT」です。

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70年代の子どもたちにミウラ以前のランボルギーニは「知る人ぞ知る」存在

スーパーカーブーム全盛時に小学校の低学年だった子どもたちにとって、ランボルギーニといえば「カウンタック」が「唯一絶対神」的な存在であった。そのような、カウンタックばかりが注目される状況のなかで1960年代のことが語られる機会は僅少で、「ミウラ」以前のランボルギーニ・ヒストリーを知っているキッズはわずかだったといっていい。小学校の高学年とか中学生に進学したぐらいの世代であっても、ちゃんと理解していたのかアヤシイものだ。

とはいえ、いつの時代にも物事の本質を書いてくれる自動車ライターがいるもので、ランボルギーニの最初のクルマはフェラーリをライバル視して生まれた、というエピソードが記された子ども向けの書物もあった。1971年生まれの筆者がそんな記事を初めて目にしたのは77年のことだった。

フェラーリへの対抗意識ばかりが原動力ではなかった

農業用トラクターの製造で財を築いたフェルッチオ・ランボルギーニが夢のフェラーリを買ったもののトラブル続きで嫌気がさし、エンツォ・フェラーリに文句を言おうと思い、会いに行ったものの門前払いを食らって激怒。よぉ~し、自分でスーパーカーを造ってやる! と思いリベンジ精神で市販車メーカーとしてのアウトモビリ・ランボルギーニが誕生した、という説が今でも語られることがあるが、往時の誌面では「フェラーリを意識して」といった大人しい表現で書かれていた。

その後、フェラーリのクラッチが弱く、自分で修理するために分解してみたら、使われていたクラッチ板がランボルギーニ製トラクターで使用しているパーツと同じものだった……。試しにフェラーリ純正のSOHCシリンダーヘッドを自作のDOHCに交換してみたら、驚くほどスピードがアップした……。フェラーリのデファレンシャルギアがウルサイので200km/hまで加速してからギアをニュートラルに入れるとなめらかに走るとフェルッチオが皮肉を言っていた……といったような逸話も次々披露されたが、どうやらエンツォ・フェラーリに対する怒りばかりが原動力になったわけではなさそうだ。

フェラーリがこの程度のクオリティであるならば自分で造ったほうがより速くて性能がいいものをデリバリーできる、スーパーカーのビジネスは儲かると思い、フェルッチオ・ランボルギーニが自動車製造業に進出したというのが実際のところのようだ。

豪華絢爛なグランドツーリングカーだった

自動車メーカーとしてのランボルギーニの第一歩となったのは、1963年のトリノ・ショーに出品したプロトタイプカーの「350GTV」である。フェラーリのシリンダーヘッドがまだSOHCだった時代にV型12気筒DOHCエンジンを搭載していた。このクルマを手直しすることで完成させた初の量産モデルが「350GT」で、ボディのデザインと製作をカロッツェリア・トゥーリングが担当。1964年から1966年までの間に140台前後が生産されたといわれている。

エキゾチックカーの生産に乗り出したフェルッチオは「助手席に座るレディのメイクアップが汗で落ちないような快適なクルマを造りたい」と語っていたともいわれている。だが、350GTはスーパースポーツカーというよりも豪華装備のグランドツーリングカーといったキャラクターで、その後継モデルである「400GT 2+2」も同じ性格であった(こちらは1966年から1968年までの間に約260台が生産された)。

ランボルギーニの初期を代表する350GTV、350GT、400GT 2+2にもファイティングブルのエンブレムが採用されていたが、400GT 2+2が積んでいた4Lエンジンを採用し、マルチェロ・ガンディーニのデザインによる流麗かつ迫力のあるボディをまとっていたミウラのインパクトがあまりにも大きかったので、往時の子どもたちはこれらミウラ以前のランボルギーニの魅力を理解することができなかった。

いま見るとフランコ・スカリオーネのデザインによる350GTVのボディラインもカロッツェリア・トゥーリングによる350GT、400GT 2+2のエクステリアデザインもカッコいいと思うが、鍋に入っている春菊の美味しさに子どもの頃は気づかなかったのと同じで、なかなか渋すぎて難解だったといえるだろう。

希少なオールアルミ製ボディの個体が6200万円

生産台数が少ないので350GTは高値で流通しており、少し情報が古いが2021年11月にフランスのポール・リカール・サーキットでRMサザビーズが開催した「THE GUIKAS COLLECTION」オークションでは1964年式ランボルギーニ350GTが47万7500ユーロ(当時レートで邦貨換算約6200万円)で落札された。約50台しか存在しないオールアルミ製ボディを持つ1台で、メカニカルな部分を9万ドルかけて修理しているそうなので、初期ランボのレア仕様にしては安価だといえる。

350GTは予算1億円で買うスーパーカーの中では地味な存在だが、自動車史にその名を遺す名車であることは間違いない。予算に余裕がある方は自慢のコレクションに加えてみるだけの価値があるだろう。

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