昨年日本でも公開された映画「フォードvsフェラーリ」で大活躍したフォード「GT40」。1966~69年のル・マン24時間レース4連覇の偉業で知られるこのマシンが、今でも新車として販売されているのをご存じだろうか? 今回はGT40の栄光をたどるとともに、アメリカのSuperformance社からリリースされているGT40のレプリカモデルにも注目! 加えて驚きのプロジェクトも紹介しよう。
文/長谷川 敦 写真/Newspress UK
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打倒フェラーリを誓って開発されたモンスターGT
1960年代、アメリカの“巨人”フォード社は、好調な市販車販売実績をさらに拡大するためのプロモーションとしてモータースポーツに進出し、なかでも有名なル・マン24時間レースを制覇するプロジェクトをスタートさせた。当初はこの頃経営難にあったイタリアのフェラーリを買収して、そのノウハウを手に入れる計画を立てていたものの交渉は決裂。結局フォードは自社で開発したマシンでル・マンに打って出ることを決意した。
ル・マンに勝つためのマシンとして、イギリスのレースカーコンストラクター・ローラ製の「マーク6」をベースにすることになり、英国に設立したフォード・アドバンスド・ビークル(FAV)を拠点にマシンを開発。その結果、1964年にフォード「GT」が誕生した。
やがてこのGTは、車高40インチ(約101cm)にちなんで「GT40」と命名され、同年のル・マン24時間レースに3台が出走。しかし熟成不足もあって3台全車がリタイアという惨敗に終わった。
優勝請負人、キャロル・シェルビーによるデベロップ
初優勝の1966年ル・マン24時間レースは1-2-3フィニッシュのオマケつき。3台同時ゴールを決めたが、スタート順位を理由に2号車(左)の優勝が認定された
64年の結果を重く見たフォードは、FAVに代えて名レーサーにして名設計者でもあるキャロル・シェルビーが率いるシェルビー・アメリカンにGT40の開発を委託した。シェルビーはマシンの各部にさまざまな改良を加えるものの、65年のル・マン24時間ではまたしても出場全車(4台)リタイアという憂き目を見ることになる。
だが、GT40の開発は続けられ、1966年のル・マンでは、GT40による1-2-3フィニッシュという最高の内容で悲願の初優勝を飾っている。これで勢いづいたフォードは、宿敵フェラーリを相手に69年までのル・マン4連覇を達成。GT40は60年代後半の最強マシンとしてル・マンに君臨した。
レースカーとして開発されたGT40だったが、レース出場のための認可を得るため、ホモロゲーション仕様のロードモデルも製作されている。レースカーの開発拠点がシェルビー・アメリカンに移ったこともあり、このロードモデルの製作はFAVが担当していた。GT40にはいくつかのバージョンが存在するが、3代目にあたるマーク3は、ロードモデルのみが製作されている。
ホモロゲーション取得のために製作されたロードモデルのGT40。基本的な仕様はレースモデルと同様だが、ロードモデルではオープントップ車も作られている
2000年代に復活した「フォードGT」
2002年、フォード社は往年の名車GT40の意匠を引き継ぐ新型車両の量産を発表。そのマシンは2005年に「フォードGT」の名称で登場し、1500台が限定生産された。
さらに2015年には、リニューアル版では2代目となる「GT」も登場。公道モデルが市販されると同時に、レース用のLM-GTE仕様も製作され、2016年のル・マン24時間レースでは、またしてもフェラーリとの死闘を制してGTEクラスで優勝を決めている。初代GT40の初制覇から数えて50年目の快挙だった。なお、この2代目GTは現在でも生産が続けられている。
2015年登場のフォードGT。諸事情により「GT40」の名称が与えられていないが、デザインは60年代のオリジナルGT40を強く意識したものであるのがわかる
オリジナルの図面で作られた21世紀のGT40
アメリカ・カリフォルニア州に拠点を持つSuperformance(スーパーフォーマンス)は、1960年代の名車レプリカモデルを製造するスペシャルカーメーカー。そのスーパーフォーマンスがリリースするGT40シリーズは、60年代に活躍したオリジナルの図面を使用し、可能な限り本物に忠実に仕上げられている。
もちろんライセンス生産車であり、正式に「GT40」の名称を掲げることを許されている。車体を構成する多くのパーツが、オリジナルモデルとの互換性を持っているのもポイントだ。ちなみに前出の映画「フォードvsフェラーリ」の劇中に登場したGT40も、スーパーフォーマンス製が使用されている。
スーパーフォーマンス製GT40では、フレームやボディはほぼオリジナルと同じだが、エンジンは新旧のものからチョイスでき、さらにサスペンションやブレーキ、冷却系など、安全性や信頼性に関わるユニットも現代風に改められている。エアコンも装備されているものの、パワステやABSなどの電子制御デバイスは搭載されていない。
これはもちろんオリジナルのGT40を尊重してのものだ。60年代のモンスターマシンを、当時のテイストのままドライブできるのが魅力といえる。なお、オリジナルのGT40はベース車両がイギリス製で、ル・マン24時間レースでのピットインも考慮して右ハンドル車だったが、レプリカ版では左ハンドル仕様も用意されている。
スーパーフォーマンスがプロデュースするGT40には、「マーク1」「マーク2」、66年のル・マン優勝車を模した「R」、1969年のル・マン優勝から50周年を記念して作られた「50THアニバーサリー」、リアウイング装着などの空力チューンが施された「FUTURE 40」の5タイプがラインナップされる。
販売価格はエンジンなどの仕様によって異なるが、日本円で2000~3000万円といわれている。もちろん高価ではあるが、オリジナルのGT40よりはひと桁少ない金額で、より信頼性の高いGT40を手に入れることができる。
スーパーフォーマンス製GT40 50THアニバーサリー。正式なライセンス生産モデルだけあって、外観からはオリジナルGT40とほとんど見分けがつかない
50THアニバーサリーのコックピット。ル・マン優勝モデルのレプリカのため、ハンドルは右座席側に装着される。シフトレバーが右側なのもオリジナルと同じだ
映画「フォードvsフェラーリ」で主人公のひとり、ケン・マイルズがドライブしたGT40と同じカラーリングで仕上げられたモデルはマーク2仕様
そして登場するEVのGT40は、伝統に新たなページを加える
イギリス・オックスフォード州のEverrati(エヴァラッティ)は、2019年に誕生した若い会社で、電気自動車(EV)のパワーユニットを開発している。同社はメルセデスベンツSLやポルシェ911などをEV化したモデルを手掛けており、EV化が急速に進む欧州において注目される存在だ。
2021年7月、そのエヴァラッティが、スーパーフォーマンスと提携してGT40やコブラといったスーパーフォーマンス製のリプロダクション60sカーの電動仕様を開発することを発表した。すでにEV版GT40のプロトタイプは完成していて、各種テストもスタートしているとのこと。実際にその姿を目にするまでもうしばらくの時間がかかりそうだが、正式発表される日に注目したい。
アメリカの伝統ともいえるV8エンジンを搭載して60年代のル・マン24時間レースを制覇したGT40は、ル・マン優勝から50年以上が経過した現在でも“新車”が世界中のファンの手に渡っている。
そして今度は将来の主力パワーユニットとして期待される電動モーター&バッテリーが搭載されるという。さすがにオリジナルGT40の開発者たちも、2021年のこの状況は予想できなかったはずだ。時代を超えて愛される名車が、未来に向けて新たな進化を始めた。
エヴァラッティと共同開発されるEV仕様のGT40。パワーユニットの詳細などは公表されていないが、十分なパワーを発揮するユニットなのは間違いないだろう
EV版GT40のイメージモデルは1966年ル・マン優勝車と同じカラーをまとう。流れるようなスタイルとシャープなカラーは、55年が経過しても色あせない
EV化された2台のレジェンドモデルの前に立つスーパーフォーマンス代表のランス・スタンダー氏(右)とエヴァラッティCEOのジャスティン・ラニー氏(左)
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