ホンダが北米で新たなBEVを発表した。その姿を一目見て驚くのは「今までのやつとぜんぜん違うじゃん!」ということ。なんと46年ぶりにHマークのデザインまで変えたのだ。果たしてホンダはどこへ行くのだろうか!?
文/ベストカーWeb編集部、写真/ホンダ
ホンダマークまで新規ってマジか!! ホンダはガチで変われるの??? ホンダのEV戦略は今後どうなるのよ
■3つの思いを込めた「ゼロ」の意味とは?
CES会場でゼロシリーズをお披露目するホンダ三部敏宏社長
アメリカのラスベガスで幕を開けたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、ホンダが画期的な発表を行った。ホンダの原点に立ち返るまったく新しいBEVを発表したのだ。その名も「ホンダ0(ゼロ)シリーズ」!
「ゼロ」を名乗った理由には3つの思いがあるという。「M・M思想」や「操る喜び」といったホンダの原点に立ち返るという思いと、まったくの無から価値を生み出し、人の心を動かしたいという思い、さらには「環境負荷ゼロ」「交通事故死者ゼロ」という思いだ。
この「ゼロ思想」を核として、ホンダは自らの創りたいEVとは何かを見つめ直し、3つのエッセンスを決めた。その3つが「Thin(薄い)」「Light(軽い)」「Wise(賢い)」だ。
具体的にはフロア高を抑えた薄いプラットフォームで空気抵抗の小さいボディを作り、軽量なボディを軽快な走りと電費を実現、アップデートで進化するソフトウェアを搭載し、ユーザーに寄り添うクルマになるということだ。
こうした本質からホンダはどんなクルマを出展したのか。CES会場には2台のプロトタイプが並んだ。1台が「SALOON(サルーン)」、もう1台が「SPACE-HUB(スペースハブ)」というモデルだ。
■今までのホンダEVとはまったく違う
ゼロシリーズの「サルーン」
「サルーン」はThin, Light, and Wiseを体現す、ホンダがフラッグシップと考えるモデル。放物線の後方を断ち切ったようなキレイなワンモーションフォルムをしており、空力と広いキャビンを両立させていることがひと目でわかる。
もう1台の「スペースハブ」は、前述のサルーンをモノスペースミニバン的方向に拡張したモデル。リアエンドまで延びる高いルーフラインがさらに広大な室内を形成しており、多人数乗車はもちろん、さまざまなアクティビティにも使えるような空間がウリだ。
正直、この2台はプロトタイプの域を出ておらず、このまま市販化されるとは思えない。しかしその造形からは、ホンダが内燃機関ベースの発想をやめ、100%EVとして設計されるクルマ作りへと舵を切ることがしっかり見て取れる。
すでにホンダは中国や欧州でヴェゼルベースのEV「e:NS1/e:NP1」を発売済みだし、北米ではGM製プラットフォームを使ったEV「プロローグ」がデビュー秒読みなのだが、サルーンとスペースハブはこれらとはまったく共通性がない、別モノのEVなのだ。
その覚悟のほどはロゴマークの刷新からも分かる。ホンダは4輪車のシンボルだったHマークを46年ぶりに刷新し、この0シリーズから採用すると発表した。今後のホンダ製EVは、すべてこのマークを付けてデビューするのだ。
■ホンダがEVに本気を出し始めたかも!
サルーンのコックピット回り。自動運転時にはハンドルを格納できる
こうしたホンダの動きは、内燃機関ベースのTNGAプラットフォームの延長でbZ4Xを作ったトヨタが苦難に突き当たり、ギガキャストやアリーンOSを含むまったく新しいBEVプラットフォームへ移行しようとしている姿と似ている。
いっぽうでホンダは、EV開発で提携関係にあったGMとの仲も見直し、北米向け量販EVに使うとされていたGM製プラットフォーム「アルティウム」の採用を断念した。
その理由は定かではないが、アルティウムについては生産が軌道に乗っておらず、GM自体が自社向けの需要すらまかなえていないという声がある。中国勢が全開でアクセルを踏む続けるEV市場において、「この速度感では勝負に勝てない」とホンダが感じたとしてもおかしくはないだろう。
実際ホンダは、CES開幕と合わせて、カナダのオンタリオ州に独自の電池工場と作ると発表した。手を組むのはアルティウム時代から知見を共にした韓国のLGエネルギーソリューション。既存の米オハイオ工場と合わせて、ここが新生ホンダのEV生産拠点となることは間違いないだろう。
新年早々ホンダが発表した2台のEV。2040年に完全EVメーカーになるホンダが、いよいよ本気を出したといういうべきかもしれない。
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