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かつてないスピードとサウンド ポルシェ718ケイマン GT4 RSへ試乗 部分的に下剋上 前編

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かつてないスピードとサウンド ポルシェ718ケイマン GT4 RSへ試乗 部分的に下剋上 前編

超高回転型4.0Lフラット6をケイマンに

ポルシェが初代ケイマンを発売してから、17年が経過する。一部のドライバーが感じていたとおり、まだ完全な高みには到達していなかったようだ。

【画像】至高のポルシェ718ケイマン GT4 RS 通常の718ケイマン GT4、911 GT3と比較 全121枚

小さなミドシップ・クーペのシャシーが備える、能力の高さには多くの人が唸らされてきた。同時に、よりパワフルなエンジンとシャープな性格付けが与えられれば、一層の訴求力を得るだろうと想像した人も多かった。

先輩格、ポルシェ911 GT3をも凌駕する可能性を秘めているのでは、と思わせるほど。下克上を許さないため、モデル戦略としてケイマンの能力が抑えられていると考えたのは、筆者だけではないだろう。

しかし、ポルシェの管理職に新メンバーが加わり、状況は変わったらしい。このケイマンGT4 RSの量産が認められ、2022年の春に英国市場にも導入されることになった。

コンセプトは至ってシンプル。911 GT3用の超高回転型フラット6を、強化した718ケイマンへ搭載するというもの。

何年にも渡って、ディーラーを通じて寄せられていた要望を、ポルシェは受け流し続けてきた。歴史あるスポーツカー・ブランドにとっては、悩ましい判断だったのかもしれない。

販売すれば、欲しがる人が少なくないことは明らかだった。安くない価格だとしても、見事なクルマが生まれる見通しは高い。

そして彼らは、遂に実行した。過去に例がないほど素晴らしく、生々しいスポーツカーが誕生した。世界中のどこを探しても、どの価格帯へ広げても、比較できるようなモデルは存在しないといっていい。それが、この718ケイマン GT4 RSだ。

ある領域では992型911 GT3を凌駕

718ケイマン GT4 RSは、通常のケイマンとは異次元のダイナミックさを獲得している。鋭い加速力と、シリアスな敏捷性を兼ね備えている。過去の量産エンジンとして、最高の音響体験も与えてくれる。

最新の992型911 GT3を凌駕するだろうか。すべてではないにしろ、ある領域では、それを叶えている。

サウンドを聞き比べれば、718ケイマン GT4 RSの方が素晴らしい。ミドシップ・レイアウトが生むシャシーのバランスや素直さでも、上回っている。幾つかの点で、間違いなく勝っている。わたしたちの予想は、正解だった。

同時に、911 GT3の立場が危うくなったわけでもない。タイヤの接地面積が広く、駆動系の仕様も特化しているため、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェをより短時間に周回できる。高速域での安定性も高い。

718ケイマン GT4 RSには、モデル初となるミシュラン・カップ2Rタイヤが組まれている。公道走行が許される、超ハイグリップなゴムだ。有能なエンジンが生み出す豊満なトルクを、リアタイヤを介して路面へ伝えることを可能としている。

一部のハイグレードなケイマンも、確かに高次元の能力を獲得していた。しかし、タイヤスモークを躊躇せず巻き上げるような、過激なマシンに感じさせた例はなかった。

さて、メカニズムを確認していこう。エンジンは、従来のケイマン GT4に載っていた最高出力420psの4.0L水平対向6気筒ではなく、992型911 GT3が積む4.0L水平対向6気筒。同じ4.0Lだが、まったく異なるユニットだ。

独特の吸気音を生み出すインダクション

もちろん、単純に載せ替えただけではない。リアからミドへ搭載位置を変更するには、エンジンの向きもリアアスクルを中心に180度回転させる必要がある。それに伴い、エグゾーストやドライサンプ・システムも、設計し直されている。

エグゾースト・システムは、911 GT3より長くなる。テールエンドまでの途中には、避けるべきドライブシャフトが存在し、排圧は自ずと高くなる。最高出力が510psから500psへ、最大トルクが47.8kg-mから45.8kg-mへ、僅かに低くなった理由だという。

「なかには、このクルマのポジションを保つうえで、意図的にエンジンをデチューンしたと考える人もいるでしょう」。と話すのは、ポルシェのGT部門を率いるアンドレアス・プレウニンガー氏。さらに、こう続ける。

「しかし、それは事実ではありません。これは(911)GT3用エンジンそのもので、9000rpmまで回転します。ミドシップ・レイアウトに合わせてパッケージングされただけ。差を付けていないと、信じて欲しいですね」

この4.0Lフラット6は、通常のケイマンとは異なる場所から空気を吸う。ドライバーの後頭部付近に吸気口が設けられた、新開発のコールド・エアインダクション・システムを介する。これまで、リアクォーター・ガラスが収まっていたところだ。

そこから導引された空気は乗員空間の後方、エンジンの上部に載る、カーボンファイバー製エアボックスを経由しシリンダーへ流れていく。このインダクション・システムが独特の吸気音を生み出し、素晴らしいエンジン音へ結びつけている。

陶酔するほど豊かなエンジンサウンド

激しく脈動する空気と、極めて鋭く咆哮するエンジン。まるで、トランペット状の吸気ポートが並んだ、キャブレターエンジンのサウンドのようにゾクゾクする。しかも、それ以上に陶酔させる豊かさがある。

車内で聞いている限り、2022年に公道走行が許されたことが信じられないほど。ポルシェのモータースポーツを取り仕切るフランク・ウォリサー氏も、こんな音響体験が得られるとは考えていなかったようだ。

そのため、718ケイマン GT4 RSのプロトタイプは、開発終盤まで社内の上層部には隠されていたらしい。このサウンドをトーンダウンするよう、指示されることを恐れて。

「エンジンノイズから刺々しさを抑えるべく、多くの手を施しています。システム全体をシャシーへしっかり固定し、インダクション部分には吸音性のあるフォーム素材を追加し、共振を抑えています」。とウォリサーが説明する。

「実は、本来このエンジンはかなり耳障りなノイズを放っていました。チェーンソーのようだ、と表現する人もいましたね。今でも少し残ってはいますが」

4.0Lフラット6のパワーを受け止めるのは、ショートレシオ化された7速PDK。991型911 GT3 RSが採用していたものと、基本的には同じユニットだ。さらに、通常のリミテッドスリップ・デフが待ち構えている。

サスペンションは、前後ともにストラット式。シャシー側とはボールジョイントで固定され、先代のサーキットマシンの911と、ハードウエア的には関係性が濃いという。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

3件
  • やはりモータースポーツに於いてサウンドというのは重要な要素だな。
    エンジンの唸りを聴きながらドライブ、最高なんですよね。

    最近のエコカーのインバーター音…何度聴いても気持ち悪い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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