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ホンダの「脱エンジン宣言」と、世界各国/各メーカーの電動化対応の現状

掲載 更新 39
ホンダの「脱エンジン宣言」と、世界各国/各メーカーの電動化対応の現状

 ホンダの三部敏宏社長が4月に「2040年に全車種の電動化の方針」を打ち出して話題になっている。これは世界中で進んでいる脱炭素化、ガソリン内燃機関車の販売禁止、電動化のトレンドに沿ったもので、ホンダに先立ち全車種の電動化を打ち出したメーカーとしてはボルボ、GM、ジャガー、フォード(欧州向けを2030年から)などがある。

 そもそもガソリン車の新規販売を禁止する、という方針を最も早く打ち出したのは英国とフランスで、当初は「2040年から」という目標だった。フランスは現在も2040年をEV元年としているが、英国はその後目標を前倒しして、2030年にはすべて電動車(BEV、PHV、FCV、HV)とし、2035年には100%ZEV(BEV、PHV、FCV)とする目標を掲げた。

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 2020年の新車販売(乗用車)のBEV比率が高いノルウェー(54.3%、ACEA発表データから算出)は2025年、オランダ(20.4%)は2030年からの内燃機関エンジン車の販売禁止とZEV=無公害車の100%販売を打ち出している。同じく2030年にZEV100%を目標としているのはデンマーク、アイスランド、アイルランド、イスラエル、スコットランド、シンガポール、スロバニア、スウェーデン、英国だ。

 日本と中国はそれぞれ2035年からの100%電動化を目指している。2040年を目標にしているのはフランス、カナダ、ポルトガル、スペインなど。ドイツはやや遅れて現在2050年が目標だ。

 ここで気になるのがアメリカだ。アメリカでは現在のところ、連邦政府としての内燃機関エンジンの販売禁止、電動化目標などを掲げていない。ただし州ごとではカリフォルニア州が2035年からの内燃機関エンジン販売禁止を掲げ、それに追随する形でニューヨーク、マサチューセッツ、コロラドなどの12の州も同様の目標を設定した。環境政策を前面に打ち出すバイデン政権になったため、早ければ今年中にも合衆国として2035年、という目標を掲げる可能性は高い。

 注目したいのが、欧州各国の目標がZEV100%であるのに対し、英国、日本、中国は電動化100%としている、という点だ。この違いが何かというと、電動車はハイブリッド車を含むが、ZEVはハイブリッドを含まない点が異なる。一定の距離を排出ガスゼロで走行できるPHEVは、ZEVにカウントされる。

 各国が掲げる電動化政策に対応するために、自動車メーカーはどのようなプランを持っているのか。ドイツのメーカーを見ても、フォルクスワーゲンが2030年までに70のモデルを電動化。メルセデス・ベンツは2030年までに販売するクルマの50%以上をEVもしくはPHEVにする。BMWが2023年までに25車種のZEV、うち半数以上をEVとする、などGMやホンダと比べるとやや電動化に慎重な姿勢だ。

 これと比べると日本、中国、英国は2035年から販売するすべてクルマを電動化、という方針を打ち出しているのだから、ホンダの2040年のEV、FCV(燃料電池車)シフト宣言はむしろ遅すぎる、ようにも思える。だが、エンジンを搭載したクルマから撤退すると理解すれば、相当な覚悟と自信があっての社長発言だと理解できる。

 もちろん世界にはこうした規制を設けない国がまだまだあり、チャージステーションや電気インフラが整備されていないところも多いため、すぐにガソリン車の需要がなくなる、とはいえない面がある。世界中で販売を展開する自動車メーカーにとって、このあたりのバランスが今後難しくなるだろう。

 単にクルマだけの問題ではなく、ネットゼロ社会を打ち出す国も増えている。ネットゼロとは差し引きのCO2排出量がゼロになる、つまり工場などの排出ガス、発電など社会のすべてでCO2排出を極限まで減らす、という考え方だ。

 こちらに関してはスウェーデンが2045年、カナダやEU、ノルウェー、韓国、ニュージーランドなど8つの国や地域が2050年の実施を目指している。またアメリカでもカリフォルニア州は2021年から新規に建設される住宅、オフィスビルなどはネットゼロ建築を義務付けている。つまり太陽光発電などで電力を賄い、余剰電力を蓄電してEV充電などに充てる、などで建物としてのCO2排出をゼロにする、というものだ。

 ネットゼロ社会とはこれを社会全体に拡大し、再生可能エネルギーなどの利用、植樹などにより排出するCO2を打ち消すだけの酸素を全体で生み出す、というもの。

 現時点ではここまで厳しい脱炭素化を目指す国や地域は少ないが、今後発展途上国も含めて同様の目標を掲げるところがどんどん出てくるのは確実だ。クルマの電動化は世界全体での脱炭素を目指す始めの一歩、といえるかもしれない。

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みんなのコメント

39件
  • まだ販売台数では内燃に及ばないものの数年後は地域によっては同台数まで行く確率はかなり高い
    欧州と中国を中心に販売を進めてもかなりの数が出ると思われ、EV車で先行する事は日本の自動車メーカーとして必須条件です。
    エンジンのホンダと言うイメージが強いので、名残惜しい気持ちもありますが、自動車界が大転換期に来て居る事は事実。
    今後内燃機関の需要は減る一方でそこを埋める形になるBEVの販売で顧客を満足させれる事が出来れば後に繋がります。
    HV車でトヨタと競っても焼け石に水状態で、逆にトヨタはそこに足を引っ張られ中国頼りのBEV開発が仇になると思われます。
    そう言った意味でもホンダの決断は正しい方向でしょう。
  • 何を作るにせよ生産するには原材料の調達が不可欠。
    電動化するなら生産台数分のバッテリーやモーターの原材料の調達はできるのか?
    こう言う先行した計画発表は原材料調達の目処が立ったからなのか?
    そうでなければ原材料の価格高騰hs必至で結局コストに跳ね返る。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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