FIAは、9月11日、2023年F1財務規則の順守状況の審査を完了したと発表、F1の10チームがすべて基準を満たしている一方で、パワーユニット(PU)マニュファクチャラーのなかでアルピーヌとホンダ・レーシング(HRC)に手続き上の違反があったことを明らかにした。しかし2社には予算制限における違反はなく、FIAは合意書により解決する意向を示している。
2021年からF1にチームの財務規則が導入された。その目的は、F1の長期的な存続を確保するため選手権への支出を制限し、チーム間のパフォーマンス差を縮めることを促進、よりエキサイティングなレースを生み出すこととされている。2023年には、2026年から導入される新世代のパワーユニットの開発と供給のコストを規制するため、PUマニュファクチャラーの財務規則も導入された。
FIA、F1の予算制限の規定を見直し。産休手当やチームスタッフの福利厚生を制限から除外へ
詳細にわたる規則に準拠しているかどうかの審査は、コスト上限管理局(CCA)がF1チームとPUマニュファクチャラーの提出物を調査して行う。
今回FIAは、2023年に関する報告書類の審査をCCAが完了したとして、その結果を発表した。
F1チームについては、全10チームが基準を満たしていると認められた。一方、PUマニュファクチャラーについては、以下のような発表がなされた。
「2023年に関して、4社のPUマニュファクチャラーが準拠していることが明らかになった。アルピーヌ・レーシングSASとホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)においては、手続き上の違反が特定された」
「CCAは、アルピーヌ・レーシングSASとHRCの両社が手続き違反を犯していたことが判明したものの、どちらもコスト上限レベルを超えてはいなかったことを確認する。アルピーヌ・レーシングSASとHRCは常に誠意をもって行動しており、現在、問題の解決に向けてCCAと協力して対応している」
「違反の性質、PUマニュファクチャラー向けの新しい財務規則の複雑さ、および施行初年度に関連する課題を考慮し、CCAはこのPUマニュファクチャラー2社に対し、それぞれの違反を違反容認合意(ABA)によって解決することを提案する意向である」
「ABAの概要は、このPUマニュファクチャラー2社が受理した場合、財務規則の規定に従って確認次第、公開される」
アルピーヌ・レーシングSASはアルピーヌF1のサプライヤー、HRCはレッドブルのパートナーを務めている。
手続き上の違反のひとつは、費用が誤って申告された場合で、チーム向けコストキャップが導入された最初の年である2021年にアストンマーティンがこの違反を犯した。もうひとつは、3月31日の期限を過ぎて申告された場合で、ウイリアムズが2021年にこれに違反した。当時、アストンマーティンとウイリアムズは、それぞれ罰金を支払った。
コストキャップ規則は、2026年初めから大幅に見直される予定である。FIAは、チームとマニュファクチャラーが、コストキャップの対象外となる約40の項目を利用して支出の一部を隠す方法を模索していると考えているのだ。
コストキャップは2026年までに2億5000万ドル(約356億円)に引き上げられ、ドライバーのサラリーは除外されるが、これまで対象外だった費用も制限の対象とされるという案がある。サプライヤーに対していくら請求するかに関係なく、サプライヤーが費やしたすべての金額がコストキャップの範囲に含まれることになるともいわれる。
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