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ポルシェ新型「マカンターボ」と「マカン4」の2モデルを試乗! もはやエンジンはなくとも「軽快な走りはポルシェそのもの」

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ポルシェ新型「マカンターボ」と「マカン4」の2モデルを試乗! もはやエンジンはなくとも「軽快な走りはポルシェそのもの」

フランスで2モデルのマカンを試乗

スポーティな走りが人気のポルシェ「マカン」ですが、2代目はBEV専用モデルへと進化しました。ポルシェ電動化戦略の中心となる、新たに登場したベーシックな「マカン4」と、ハイパフォーマンスバージョンの「マカン ターボ」をモータージャーナリストの藤野太一氏がフランスで試乗してきました。

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スケールメリットを狙った人気SUVのBEV専用化

2024年4月下旬、新型ポルシェ「マカン」の国際試乗会がフランス・ニースから少し南下したリゾート地のアンティーブで行われた。この2代目マカンは「タイカン」に続くポルシェのBEV(電気自動車)第2弾となるモデルだ。

初代マカンが発売されたのは2014年のこと。それから約10年のあいだに2度のマイナーチェンジが実施されており、初代マカンは前期、中期、後期(マカン1、2、3と呼ぶこともある)に分類することができる。

この10年の間にマカンにはマイルドハイブリッドやPHEVなどの電動化モデルは追加されていない。にもかかわらず2023年のグローバルにおけるポルシェの新車販売台数では、トップの「カイエン」につぐ2位とセールスはいまなお好調だ。

それでもあえて電動化に踏み切ったのは、ポルシェが2030年までに新車販売80%以上をBEVにするという戦略を打ち出しているためだ。それで人気が高くスケールメリットのあるマカンをBEV専用車にスイッチしたというわけだ。

今後登場するベースモデルは2WD? SやGTSもラインアップされる? 

今回の試乗車は、日本でもすでに発表済みのベーシックな「マカン4」と、ハイパフォーマンスモデルの「マカン ターボ」の2種類。この時点ではまだ未発表だったが、のちにポルシェの慣例にならって「S」や「GTS」などといったモデルが登場するはずだ。

新型マカンの新しい骨格は、アウディとの共同開発によるBEV専用の「PPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)」と呼ばれるもの。アウディはこれを用いて「Q6 e-tron」を発表済み(国内未発表)で、ベースモデルには後輪駆動の2WDを設定している。あくまで予想だが、今後登場するであろうベースのマカンは同様に2WDになるのかもしれない。

PPEは高効率な800Vアーキテクチャーを備えており、フロアには総容量100kWhのリチウムイオンバッテリーを敷きつめている。マカン4とターボはともに前後アクスルに電気モーター(永久励磁型PSM)を配置した2モーター式で4輪を駆動する。充電性能も高められておりDC充電出力は最大270kWで、急速充電ステーションで約21分以内に10%から80%まで充電することが可能だ。

家庭用充電器では最大11kWのAC充電に対応する。残念ながらまだ国内には800Vに対応する充電設備はほぼ存在しないが、バッテリーの充電容量を2分割にして行うバンク充電方式を採用することによって日本市場などにも対応する。

ボディサイズは全長4784mm×全幅1938mm×全高1622mmで、ホイールベースは2979mmと先代モデルより86mm延伸。またPPEの採用により前後シートともに先代モデルより着座位置が低くなっている。Cd値は0.25と真横からみるとまるでクーペのようなスタイリングだが、室内には身長180cmの大人がゆとりをもって座れる空間が確保されている。

インテリアは、タイカンに始まった最新のデザインの流れを汲んだもの。メーターパネルは12.6インチの自立型メーターで、センターには10.9インチのディスプレイを配置。そしてオプションとして10.9インチ助手席用ディスプレイが用意されている。

全体がT字型に見えるダッシュボードは「911」(タイプ930)をモチーフとしたもの。またBEVだからとすべてをデジタル化するのではなく、スタート/ストップボタンをはじめ、エアコンのスイッチ類、オーディオのボリュームなど、物理スイッチを残しているのもポルシェらしいところだ。

ラゲッジスペースも先代モデルよりも広くなっている。リアスペースは通常540Lで、背もたれを倒すと最大1348Lに拡大。ボンネットの下には「フランク」と呼ばれる容量84Lのセカンドラゲッジコンパートメントを装備する。

ポルシェの走りにBEVの強みをプラス

マカン4は最高出力387psで、オーバーブースト時には408psのパワーを発生。最大トルクは650Nmを発生する。0-100km/h加速は5.1秒、最高速度は220km/h。一充電走行可能距離は613km。

アンティーブにあるヨットハーバーをベースにマカン4の試乗を開始する。走り出しももちろんスムーズで、静粛性も高い。足まわりにオプションの22インチタイヤを装着していたこともあり、市街地では少し硬さを感じる場面もあったが、速度域が高まると次第にフラットな乗り心地へと変わっていく。

試乗コースにはまるでラリー・モンテカルロのような山岳路が設定されていたが、大きさや重さを感じさせず軽快なハンドリングをみせる。BEVになってもポルシェはポルシェだ。

ICEかBEVか選べるのは今だけ

マカン ターボは最高出力584psで、オーバーブースト時には639psを発揮。最大トルクは1130Nmと1000Nmオーバーに到達している。0-100km/h加速は3.3秒と、もはやスーパースポーツカーのそれだ。最高速度は260km/h。一充電走行可能距離は591kmとなっている。ターボに乗るまではマカン4で十分と思っていたけれどその思いは一変し、アクセルペダルの操作に対してクルマが瞬時に反応するので運転がしやすく楽しい。

足まわりは22インチタイヤとエアサスの組み合わせだったが、乗り心地もマカン4よりも洗練されており一体感が味わえた。のちに開発者に尋ねたところ、ターボはリアアクスルまわりのつくりがマカン4とは別物だという。やはりポルシェにとってターボは特別なのだ。

じつは当初マカンは、初代のICE(内燃エンジン車)と新型のBEVを併売する計画がアナウンスされていた。しかし、欧州域内でサイバーセキュリティ法が施行されることになり、それに対応できない初代は、欧州のほとんどの国で終売となる。ちなみに日本においても2022年から同様の規制が始まっているが猶予期間が与えられており、しばらくは初代と新型が併売されるかたちになりそうだ。ICEかBEVか、ご決断はお早めに。

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