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【SIP自動運転】自動運転の最先端に触れるイベント【石井昌道】

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【SIP自動運転】自動運転の最先端に触れるイベント【石井昌道】

車の最新技術 [2023.02.20 UP]


【SIP自動運転】自動運転の最先端に触れるイベント【石井昌道】
文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス

マツダ ロータリーEVの意味を考える【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】

 自分が構成員を務めているSIP自動運転がラストスパートに入っている。

 SIPは戦略的イノベーション創造プログラムのことで、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となり、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントによって科学技術イノベーション実現のために立ち上げた国家プロジェクト。2014年度から始まった第1期では11課題、2018年度からの第2期は12課題があったが、自動運転は両期を通して推進された。期間限定のプロジェクトであり、第2期は2023年度で終了。本コラムの配信から1ヶ月強の2023年3月までだ。


東京お台場では自動運転技術の実証実験が行われ、テスト車両が一般の交通に混じり実験を行った
 SIP自動運転は、内閣府、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省といった府省が連携していること、自動車メーカーやサプライヤーなどの民間企業、大学などの研究機関などが参加する産官学連携となっていて、縦割り行政や企業同士の競争などの壁を取り払って横串を通したユニークな試みとなっている。研究・開発としては、競争ではなく協調すべきものを受け持つ。たとえば、自動運転にはかかせないダイナミックマップ(高精度3次元地図データ)などは、自動車メーカーやサプライヤー、地図会社などがそれぞれ独自に開発するよりも、協調領域としてSIP自動運転が研究・開発を担ったほうが効率が良く、いいものができる。いまでは独立した株式会社が設立されて実用化されている。

 有識者も一部参加していて、モータージャーナリストの自分も構成員になっているのだが、より多くの人に正しく情報を伝えることにあると思っている。いわば広報活動だが、最終の2023年度は力を入れて様々なイベントや活動を行ってきた。


「自動運転LIVEニュース」(YouTubeより)
 その一つが「自動運転LIVEニュース」。2022年4月に始めた月に一度ほどの配信番組で、自動運転の研究・開発に携わるエンジニアや研究者、事業者、府省で担当してる官僚などのゲストを招いてプレゼンテーションを行っていただき、その後はQ&Aや座談会を行う。レギュラーのパネリストは、先輩のモータージャーナリストであり、SIP自動運転に初期から構成員として参加してきた清水和夫氏、自分は総合司会。さらに、若者へ向けた発信を意識していることもあって、Z世代の感覚を理解できる若手論壇をZ世代翻訳者として毎回2~4人に出演してもらっている。

 内容は多岐にわたっているが、たとえば11月の第6回では「つながるクルマたちとリアルな地図の関係」と題して、元は本田技研工業でカーナビおよびコネクテッドのインターナビの開発に携わってきた今井 武氏(現・一般社団法人うごく街・代表理事)、元は日産でプロパイロットの開発に携わり、SIP自動運転でダイナミックマップのプロジェクトリーダーだった白土良太氏(現・特定非営利活動法人ITS JAPAN理事)をゲストに招いた。今井氏は「カーナビの進化と、そして人とクルマと社会がつながる」というテーマで、いまほどは普及していなかったプローブ情報による渋滞情報等が2011年3月の東日本大震災で大いに役立ちコネクテッドの可能性を感じたという話など興味深い内容だった。白土氏は「ダイナミックマップと、3次元高精度地図の構成と実現」がテーマで、改めてダイナミックマップがどういった考え方で構成され、どのように開発し、研究・開発から実用化へという出口戦略をたどっていったかをお話いただいた。

 その他、SIP自動運転では、公共交通機関が減ってしまって困っている人がたくさんいる地域で自動運転が役立つという考えのもと、実際にその地域の住民の声を聞こうということで「市民ダイアログ」を開催してきたが、そこへ実際に行ったときの紹介、SIP自動運転試乗会に参加したZ世代翻訳者をプレゼンターにした回などを番組としてきた。

 2月21日の第9回自動運転LIVEニュースは「自動運転に欠かせないHMIとはなにか~人間とシステムの共感」がテーマ。自動運転の開発、あるいは普及にとってHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)は最重要課題の一つと言えるもの。システムは使いやすく信頼できるものでなければ、ドライバーは使わなくなって意味がなくなるからだ。プレゼンターは産業技術総合研究所ヒューマンモビリティ研究センター首席研究員の赤松幹之氏、慶應義塾大学理工学部教授の大門 樹氏のお二人。座談会では、いかに人とクルマがインタラクティブ(相互)に共感できるかを探っていくつもりだ。

 LIVE配信は2023年2月21日(火)1800-1930。ZOOMで視聴登録いただけば、LIVE配信中の質問なども受け付けている。また、アーカイブはポータルサイトの「SIP café」で見られる。

<参加方法>

【こちら】からZOOM視聴登録をお願いいたします(無料)。視聴用URLをメールでご案内します。配信直前まで受付いたします。

尚、本件について記事を掲載いただける場合は、事後でも結構ですので以下担当までお知らせください。

株式会社住商アビーム自動車総合研究所(担当:苦瀬(くせ))

E-mail:scab-sympo@sc-abeam.com

 もう一つ紹介しておきたいのがSIP自動運転の最後のイベントとなる最終成果報告会「SIP自動運転の成果とその先へ」だ。以前には、当コラムでも中間成果報告会を紹介したが(オールジャパンで挑む「SIP自動運転」の現状)、それと同様のフォーマットで展示とシンポジウムが主な内容。

 展示は、自動運転の実用化に向け、SIPの下で取り組んできた実証実験や基盤技術の開発、社会的受容性の醸成、そして国際連携の成果。

 シンポジウムは、これらの取組みを支えた府省横断・産学官連携のエピソードなどについて当事者から話を聞くとともに、今後の自動運転の展望についてで、現在経済産業省と国土交通省が連携して取り組む「RoAD to the L4」の狙いや概要も紹介する。3月7日1400からのシンポジウムでは自分も司会として参加するので、興味があればぜひ。詳しくは以下の専用サイトを参照していただきたい。

■開催概要

・日程:2023年3月7・8日(火・水) 10:00-17:00

・会場:秋葉原UDX 成果展示会@2階 UDX AKIBA SQUARE

           自動運転シンポジウム@4階 UDXシアター

・専用サイト:SIP自動運転の成果とその先へ

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