「貨物車用」駐車帯しか空いてない! いいのかな……
日本各地の都市部に見られる「パーキング・メーター」および「パーキング・チケット」は、「ちょっとクルマを止める」とき、とても便利な存在です。
このふたつ、正式名称では「時間制限駐車区域」と呼ばれ、法的には「短時間駐車の需要に対応するため、道路状況、交通への影響や支障などを勘案して、駐車枠で指定した場所・方法に限り短時間駐車を認める」(警視庁)という位置づけになっています。
このパーキング・メーター、パーキング・チケット(以下パーキング・メーター等)は、都内では多くの場合「60分300円」、つまり300円の作動手数料、発給手数料で1時間駐車できるため、とくに繁華街においては、一般のコインパーキングなどの駐車料金の相場のほぼ半額、場所によっては4分の1相当となり、お財布へのダメージを最小限にとどめてくれます。
そのため、そうした繁華街でクルマを止めようと思ったとき、まずはパーキング・メーター等の空いている駐車枠を探し、クルマを走らせる人も多いのではないでしょうか。
ただ、このときよくあるのが、「空いてる!」と思い近づいたら、枠内の路面に大きく「貨物車用」と表示されている駐車枠です。もしクルマが3ナンバーや5ナンバーといった「乗用車」の場合、ここに駐車すると、駐車違反として反則キップを切られてしまうのでしょうか。
「貨物車用」は枠の大きさも違う
結論を先に言うと、東京都内で乗用車をこうした貨物車用駐車枠に止めても、反則キップを切られることはありません。
この駐車枠は「貨物車用パーキング」と呼ばれるもので、警視庁はこれを「貨物車の荷さばきのために設置した駐車枠」で「貨物車以外の車両も使用できますが、荷さばき目的以外の車両はできるだけ他の駐車枠を利用していただくよう、御協力をお願いします」としています。
つまり警視庁管内(=東京都内)においての貨物車用のパーキング・メーター等は、あくまで“お願いレベル”であり、手数料を払い駐車しても、とがめられることはないのです。
ただ、この貨物車用のパーキング・メーター等の駐車枠は、場所によっては乗用車用よりも大型とされているなど、貨物車の荷下ろし、荷さばきに配慮したつくりとなっています。一般のドライバーは、そうした貨物車の業務利用に配慮し、できるだけ他の駐車枠を利用する気遣いが必要でしょう。
“1文字の差”で大違い!?
ところが、東京都以外には、これと非常に似通っているものの、うっかり停めると駐車違反になってしまう「貨物車専用」のパーキング・メーター等を設置しているところがあります。
たとえば福岡県警では、荷下ろし需要の大きい繁華街を中心に駐車枠内に「貨物車専用」との表示があるパーキング・メーター等を(一部は一定の時間帯のみ「貨物車専用」)多く設置しています。
愛知県警では、同様のパーキング・メーター等を、枠内に「貨物」とのみ表示し、設置しています。
これらはそれぞれ貨物車のみの駐車を認めるパーキング・メーター等で、乗用車が駐車すると、たとえ手数料を支払っていたとしても、駐車違反として取締りの対象となります。
東京に住んでいる人が、これら地域に出かけてレンタカーを借り、パーキング・メーター等に駐車する場合は、要注意です。
メーターもチケットもないけど「貨物車専用」これ如何に?
ところで東京では最近、パーキング・メーターやパーキング・チケット発給機の設備がないのに、路上に駐車枠が引かれ「貨物車専用」と描かれたスペースを目にすることがあります。
これは「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し」として、場所と時間帯を限定して駐車できるようにした、2018年以降の新たな施策です。
道路交通法では「貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの」を駐車の例外としています。
これについては「5分までならクルマを止めて荷物の集配を行っても駐車違反にはあたらない」と誤解されがちですが、じつは「5分を超えない」が認められるのは「貨物の積卸し」です。そのため客先への集配作業については、たとえ5分以内でも「駐車」となってしまうのです。
ただし現在は、道路交通法の制定時には多分想定外であった、貨物車による戸別配達が当たり前となり、杓子定規に取締りを行うと、経済活動に大きな影響が出てしまいます。
警視庁による「貨物車専用」の駐車枠の設置は、その現状を他の交通を阻害しないという前提で認めたものと言えるでしょう。
なお、そうした理由から、この都内の「貨物車専用」の駐車枠は「現に貨物の集配を行っている貨物車(ナンバープレートの「種別及び用途(分類番号)」が1、4、6、および8の貨物)のみ駐車が認められて、乗用車の駐車は駐車違反として摘発の対象となります。また貨物車であっても、食事や休憩での利用はできません。ご注意ください。
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ハ○エースやプリウ○はそこしか空いてなくても躊躇なく止めるのが多々見受けられますが。