東北のワインディングで新型スパイダーを試す
2024年2月に発表されたマクラーレンの新型スポーツカー「アルトゥーラ スパイダー」が日本で試乗した。プラグインハイブリッドのミドシップで、スーパースポーツも新しい時代に入ったことを強く感じさせてくれるモデルだった。
アルトゥーラ スパイダーは、クーペに続いて発表されたモデルで「マクラーレン史上初のハイパフォーマンス・ハイブリッド・コンバーチブル」と謳われている。スポーツカー好きは先刻ご承知かもしれないが、同社にとって初の量産プラグインハイブリッドは13年の「P1」。オープンモデルは今回が初なのだ。
私が試乗したのは、安比高原を振りだしに八幡平など岩手を中心としたワインディングロード。レインボーラインからアスピーテラインという屈曲路が中心で、最後のパートは東北自動車道。
アルトゥーラ スパイダーのドライブにとって、たいへんよい選択だった。冬季はスキー客で混む道も盛夏の季節はガラガラ。2速と3速が中心で、たまに4速に入れられる直線区間があるという、スポーツカー好きにはうれしいコースだ。
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どこまでも加速が続く
アルトゥーラ スパイダーのパワートレインは、3リッターV6ツインターボエンジンに、プラグインハイブリッドシステムの組合せ。最高出力515kW(PS)、最大トルク720Nmのパワーで後輪を駆動する。
そもそも車重が1457kgしかない、モータースポーツを得意としていたマクラーレンならではの軽量ボディであるのに加え、モーターがトルクを上乗せするので、走り出しから力強く、そののちエンジンが始動すると、どこまでも加速が続く印象。それが素晴らしい。
昨今のマクラーレン車は、ステアリングフィールが一段とよくなっていて、かつ、足まわりの調整がうまく、オールマイティなスポーツカーとして高く評価できる。アルトゥーラ スパイダーのサスペンションシステムには、電子制御の「プロアクティブ・ダンピングコントロール」が組み込まれていて、ドライブモードでキャラクターがはっきり変わる。
街中では、デフォルト設定の「コンフォート」がいいかもしれないが、「スポーツ」あるいは「トラック」を選んだときのダイレクト感は、スポーツカー好きだったら、常に味わっていたいと思うのではないだろうか。少なくても、私にはそう感じられた。
アルトゥーラ スパイダーを“着る”
運転席は、サーキット走行も視野に入れたスポーツモデルのため、タイト。スポーツカーのコクピットに入った印象をして「着る」とする表現があるように、まさにアルトゥーラ スパイダーを着る感じだ。
人工スエード張りのシートは、クッションは硬いけれど、からだにうまくフィットしてくれて、3時間程度のドライブならまったく違和感を覚えない。体が滑らないのも美点だ。
スイッチ類はだいぶ整理されていて、運転に必要はものはハンドル周りに設けられている。ハンドルから手を離さずドライブモードが変更できたり、機能的なデザインなのだ。
ハードトップの開閉は8個のモーターを使うそうで、開閉ともに所要時間は11秒とされている。オープンで走行しても風の巻き込みは少ないし、いっぽう、トップを上げた際、オプションの「エレクトロクロミック・ルーフパネル」を装着したら、ほとんどフルオープンのような開放感が堪能できる。
マクラーレン車は、自然界のものこそ空力的にすぐれておりスポーツカーの形状に適している、というポリシーでもって、有機的なボディデザインを採用している。
アルトゥーラ スパイダーも、同様のコンセプトを感じさせつつ、スポーツカーとしての機能を追求したデザインだ。冷却とダウンフォースのために大きな空気取り入れ孔を設けるいっぽう、ホイールハウス内やボディ下部の空気の整流を適切に行い、また、エンジンルームからの放熱処理もしっかり行っている。
空力とか冷却とか排気とか機能的な部分はブラック。美しい曲面をもったボディなどデザインに関連する部分は(今回の試乗車では)オレンジ。目的に応じた色分けがうまくされているのもよい。
SPECIFICATIONS
マクラーレン アルトゥーラ スパイダー|McLaren Artura Spider
ボディサイズ:全長4539×全幅1976×全高1193mm
ホイールベース:2730mm
車両重量:1457kg
エンジン:V型6気筒+プラグインハイブリッド
総排気量:2993cc
駆動方式:MR
トランスミッション:8段AT(DCT)
システム最高出力:515kW(700PS)/7500rpm
システム最大トルク:720Nm/2250rpm
0-100km/h加速:3.0秒
最高速度:330km/h
EV航続距離:33km
価格:3650万円
マクラーレン・オートモーティブ
https://cars.mclaren.com/jp-ja
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