発表時に語られたキーワードは原点回帰
2024年4月に登場した『トヨタ・ランドクルーザー250シリーズ』。これにより、現行ランドクルーザー・シリーズが出揃ったことになる。
【画像】まさに原点回帰! ランドクルーザー250VXガソリンモデルの詳細をチェック 全143枚
2021年8月に登場したラグジュアリーな『300シリーズ』、2023年11月に8年ぶりに国内販売を開始した、剛健堅牢な進化をはたした『70シリーズ』、そして中核を担う日常生活で使いやすい『250シリーズ』という3つが現在のラインナップだ。高い悪路走破性を誇るのは3モデル同じだが、それぞれのキャラクター分けは以前よりも明確となった。
250はプラドの実質的な後継車となるが、ランドクルーザーの名を冠したその背景には、コンセプトの変更がある。250の発表時に語られたキーワードは『原点回帰』だ。
ここ数世代のランドクルーザーは、フルモデルチェンジの度に高級で豪華な路線にシフトする傾向にあり、それはライトデューティーなプラドでも同様だった。そんな中、トヨタ自動車の豊田章男社長(当時)は「ランドクルーザー・シリーズの中で、世界で最も多くの方々にご愛顧いただいているプラドを、お客様が求める本来の姿に戻す必要がある」と提起した。
ネーミングが変わったとなれば、マーケティング上の狙いがありそうに思えるが、そうではない。イチからモデルを造り直すという思いがあったからこそ、新たなランドクルーザーのひとつとして、プラドではなく250になったのである。
質実剛健になったインテリア
さて、原点回帰をテーマに掲げた250シリーズを実際に見てみると、確かにプラドに比べて質素になった印象だ。エクステリアは伝統と、最近のトレンドであるオフローダーらしさをふんだんに詰め込んだ印象だが、プラドと比べるとメッキ加飾はどこにもない。破損時の修理のしやすさも配慮した、悪路での実用を考えたエクステリアなのだ。
インテリアは水平基調で、これが車体の姿勢を分かりやすくするためなのは想像に難くない。また各種スイッチが物理ボタンになっているのも、過酷な状況での扱いやすさに繋がっている。今回試乗したのはガソリンエンジンの『VX』で、ディーゼルターボが上級の『ZX』とベーシックな『GX』の3グレードであるのに対し、こちらはVXのみの設定だ。
VXのインテリアはブラックで統一されている。メッキ加飾はなく、シルバーの加飾が僅かにあるのみ。プラドはブラック×ベージュのインテリアでウッドパネル仕様もあったから、250は質実剛健になった印象が強い。ディーゼルのZXにはブラウンシートがありシルバー加飾も増えるが、それでもプラドの最上級グレードと比べたら豪華さは控えめになり、実用性をより意識した印象だ。
パワーユニットは古臭いが
今回はオンロードでの試乗。新世代となったラダーフレームは300と共通の『GA-Fプラットホーム』。オンロードでの乗り心地は比較的良好な印象だが、ラダーフレーム特有の『上物だけ揺れているような横揺れ感』が多少あるのは否めない。しかしスッキリとしたステアリングフィールを見せ、低速時の取り回しもしやすい。キックバックの低減も意識した電動パワステは、実用性を考えても採用してよかったと実感できたメカニズムだ。
ただ、パワートレインは正直古さを隠しきれない印象。2.7LのガソリンエンジンはNA、トランスミッションは6速ATと、2トンを超える車体をストレスなく走らせるには少し心もとない。高速巡行でも少し加速してからシフトダウンをするとエンジンは唸りを上げるし、燃費も7km台後半がやっとというところだ。
低速トルクはあるが、回転数はすぐに高まり、商用車的なエンジンサウンドが主張をする。ディーゼルが2.8Lターボで8速ATであることを考えると、正直、このクルマを買うならディーゼルがオススメだ。海外市場ではハイブリッドを用意されているので、オンロードで乗るとハイブリッドの日本導入を望んでしまう。
ただハイエースやハイラックスなど、長年トヨタの耐久性を求められる車両に搭載されてきた『2TR-FE』エンジンであることを考えると、今回の短期間では体感できない、長年オーナーになった者のみに許された、タフさを感じられる日がくるはず。
そう思えば、このガソリンエンジンのVXが、今回のコンセプトである『原点回帰』を一番体現したグレードなのかもしれない。それは、昨今のブームに乗りデザインだけで飛びついた人にはわからない、長年クロカンSUVを愛した人にしか感じ取れない境地であろう。
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みんなのコメント
プラットフォームを300と共用にするからデカくなるわ高くなるわで、タウンユースメインの普通のユーザーにあまりメリットがない。
プラドにあったパッと見の高級感もなくなってしまったし。