フェラーリは、今週末のシルバーストンで「一歩後退し、二歩前進する」ことを望んでいるようだ。
スクーデリアは、第10戦スペインGPで新しい空力パッケージを導入して以来、ふたたび発生しているポーパシング現象の解決策を見つけようとしている。ドライバーたちは新しいパッケージでリヤのダウンフォースが増加したことを実感でき、チームのデータもそれを裏付けている。しかし、ダウンフォースの増加とリヤエンドが地面に近づくことで、『SF-24』は高速コーナーでポーパシング現象に悩まされ始めていることが顕著になってきた。
苦しい展開に耐えたサインツが3位表彰台「週末は厳しいものだったが、良い褒賞に」/F1オーストリアGP
2週間前のバルセロナで、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツが、長いターン3と最後のふたつのコーナーの計3つのハイスピードコーナーで、マックス・フェルスタッペンにそれぞれ0.1秒後れを取っていたのはそのためだ。
先週末に行われた第11戦オーストリアGPでも同様のことが確認され、SF-24の遅れはターン7、9、10の連続する3カ所の高速コーナーでも生じていた。ディフューザーのストールによりドライバーはアクセルを緩め減速せざるを得なくなり、ラップタイムそのものに影響が出ただけでなく、リヤタイヤのデグラデーションという犠牲も伴った。超高速コーナーの中程でマシンがバウンドするたびに、ピレリタイヤは極度の力に対処しなければならなかったためだ。
問題の本質を理解したフェラーリは、火曜日にサインツを、その翌日にはルクレールをシミュレーター作業に呼び、SF-24のリヤのダウンフォースを犠牲にすることなく、マシンがバウンドせず路面に張り付いたままになるようにするための新しい解決策をテストした。
チームに近い情報筋によると、フェラーリはイギリスGPのFP1でSF-24のリヤエンドをわずかに上げる予定だという。それは数ミリ以下ではあるものの、高速コーナーでのポーパシングを解消するには充分だと考えられている。
シルバーストンでは、マゴッツ、ベケッツ、チャペルの連続コーナーは極端な例だが、コプスやストウなどのコーナーも非常にハイスピードであり真の高速サーキットであることを考えると、ルクレールとサインツがトップ争いで前進するためには、この問題を解消することが不可欠となるだろう。彼らが多くのレースでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とマクラーレンの2台(ランド・ノリスとオスカー・ピアストリ)から離されているのは明らかであり、メルセデスのふたり(ジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトン)にもわずかに後れを取っている。
また、先週のレッドブルリンクでフェラーリは、高速コーナーでの遅さを補うために、とくにリヤブレーキの設定をよりアグレッシブにすることでリヤエンドの安定性を高めることを試みた。しかしそれは裏目に出て、SF-24はブレーキング時にナーバスになりすぎ、スプリントレースではルクレールにブレーキのオーバーヒートの問題が出てしまった。
ブレーキング時の安定性がSF-24の強みのひとつであることを考えると、標準セットアップへ戻すことは、スクーデリアの両ドライバーにとって今週末に大きな助けになるはずだ。
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