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【F1第7戦無線レビュー】「これだよ、僕が言ってたのは!」エンジニアと噛み合わず、先行車も抜けず怒り心頭のサインツ

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【F1第7戦無線レビュー】「これだよ、僕が言ってたのは!」エンジニアと噛み合わず、先行車も抜けず怒り心頭のサインツ

 2023年F1第7戦モナコGP。モナコで初のポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペンと、キャリア33勝目を狙うフェルナンド・アロンソが、レース序盤から後続を引き離す走りを見せた。レース後半には雨も降り出し、一気に難しいコンディションとなった。モナコGPを無線とともに振り返る。

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F1モナコGP技術解説:メルセデスW14の大規模アップデート(2)フロントサスペンションの変更とその効果

 モナコで初めてポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を先頭に、全20台がサン・デボーテのターン1を駆け抜けていく。間隔の詰まった後続では、ミラボーからヘアピンにかけて接触事故が起きていた。ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が幅寄せした形となって、ランス・ストロール(アストンマーティン)はローガン・サージェント(ウイリアムズ)に壁に押し付けられた。

1周目
ストロール:ダメージを受けた

サージェント:何なんだ、あれは!
ガエタン・イェゴ:落ち着くんだ。みんな見てたから

 その後、ヒュルケンベルグは5秒ペナルティを科された。

 夜間に雨が降ったこともあって、路面はほぼグリーン状態。タイヤの、特にリヤのタレが厳しい。4番手カルロス・サインツ(フェラーリ)は、すぐ前のエステバン・オコン(アルピーヌ)を抜くチャンスを窺う。

8周目
サインツ:(ミディアムの)オコンが苦しみ出したら教えてくれ

 一方2番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、首位フェルスタッペンとともに3番手以下を引き離す快走を見せつつ、タイヤマネージメントも忘れない。

アロンソ:タイヤのどこを守ってほしい?
クリス・クローニン:リヤを守ってくれ

 2台の背後では、3位争いが繰り広げられていた。

11周目
サインツ:プッシュして(オコンの)タイヤを使わせよう

 しかし直後にヌーベルシケインのブレーキングで止まりきれず、オコンに追突。フロントウイング左翼端板を壊してしまう。

サインツ:ダメージの状況を教えてくれ
リカルド・アダミ:ダウンフォースは落ちてない

 サインツはノーズを交換することなく、そのまま走り続けることを決めた。コース上には、破片が散乱していた。

アロンソ:パンクかも。右フロントだ
クローニン:いや、大丈夫だ。すべてOKだ
クローニン:何か接触した?
アロンソ:そうじゃない

 ヒヤッとさせるやりとりだったが、アロンソのペースは落ちなかった。

 ハードタイヤで周回を重ねるジョージ・ラッセル(メルセデス)に担当エンジニアのダドリーが、前を走るシャルル・ルクレール(フェラーリ)、サインツ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)らミディアムタイヤ勢の様子を伝える。

16周目
ダドリー(→ラッセル):ミディアムはグレーニングが出始めてる

 オコンを抜きあぐねるサインツに、チームがアンダーカットを提案する。

21周目
アダミ:ピットインしてオコンを抜くぞ
サインツ:いや、ステイアウトだ

 サインツはピシャリとはねつけた。

アダミ:アロンソが左リヤのグレーニングを訴えてる
サインツ:僕もそうだよ

 サインツのイライラが伝わるやりとりだ。

27周目
ランド・ノリス:角田はフロントタイヤがきつい
ウィル・ジョゼフ:35周目辺りにクラス1の雨が来る

この辺りから各チームが、レース後半の雨を警戒し始めた。マクラーレンが降雨の程度を何段階に分けているのかは不明だが、「クラス1」はかなり強い雨ということか。

28周目
フェラーリ:オコンを抜くためにピットだ
サインツ:ステイアウトだよ!

 頑なにピットインを拒むサインツ。エンジニアのギクシャクぶりは、さらにひどくなっている印象だ。

フェルスタッペン:左フロントがひどいよ!

 フェルスタッペンが盛んにタイヤのタレを訴える。2番手アロンソが1分17秒台前半で周回しているのに対して、1分17秒台後半までペースが落ちている。

 32周目、セルジオ・ペレス(レッドブル)がヌーベルシケインでケビン・マグヌッセン(ハース)に追突。ペレス自身は、ヒュルケンベルグだと思ったようだ。

ペレス:ダメージを受けた! ニコが、ブレーキテストをして来た

 緊急ピットインで、ノーズ交換。19番手まで後退し、入賞の望みは完全に断たれてしまった。

 一方33周目にようやくピットに入ったサインツは、その1周前にピットインしたオコンを先行できなかったことに、怒り心頭だ。

サインツ:これだよ、まさに僕が言ってたのは!
アダミ:大丈夫。ハミルトンは1秒4後方だ
サインツ:ハミルトンなんて、どうでもいい!

サインツ:チャールズのペースは?
アダミ:17秒5だけど、フリースペースだ
サインツ:僕は16秒5だった

 冷静になろうと努めるサインツだが、ペースに劣るルクレールにさえ先行されたことで完全に心が折れてしまったようだ。

 対照的に2番手のアロンソは、余裕たっぷりだ。

46周目
アロンソ:次に来そうな脅威は、何だい?
クローニン:基本的には雨だ。おそらく15周後くらいだね

49周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):2、3km先に雨のポケットがあって、それをチェックしてる

50周目
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):ターン6~8でポツポツしてる

51周目
ラッセル:ターン3で少し来てる!

52周目
ラッセル:どんどん降ってる

フェルスタッペン:雨だ!
ランビアーゼ:ボックスする必要があれば、言ってくれ

55周目
ランビアーゼ:アロンソがピットインした
フェルスタッペン:僕もボックスしたい!
ランビアーゼ:アロンソはドライを履いた
フェルスタッペン:僕らはインターだ!
ランビアーゼ:了解。ピットインして、インターを履くぞ

 かなりの降雨にもかかわらず、すぐに路面が乾くと踏んだのか、アロンソはスリックタイヤを装着。しかし雨は止まず、アロンソはたまらず次の周回でインターミディエイトタイヤに履き替えた。フェルスタッペンの戦いは、これでかなり楽になった。

 55周目、エスケープゾーンからコースに戻ろうとしたラッセルが突然目の前に出てきたことで、ペレスが止まりきれずぶつかってしまう。

55周目
ラッセル:何も見えなかった!

 不注意なコース復帰で、ラッセルは5秒ペナルティを科された。

 9番手を快走していた角田裕毅(アルファタウリ)は、ウエット路面でブレーキの不調に苦しみ、ペースが落ち始めた。

66周目
マッティア・スピニ:ユウキ、ブレーキングで、もうちょっとタイムを詰める必要がある。難しいのはわかるが、ベストを尽くしてくれ
角田:わかってる。でもこのブレーキ、クソなんだ
スピニ:君ならブレーキングで、何とかできるよ
角田:僕にクラッシュさせたいの?

 角田のペースはさらに落ち、マクラーレンの2台になすすべもなく抜かれていく。さらにコースオフを喫して、15番手まで後退してしまった。

 難しいコンディションのなか、フェルスタッペンがポール・トゥ・ウインを達成。今季ベストの2位表彰台を獲得したアロンソは、喜びを爆発させた。

ランビアーゼ:また勝ったな、マックス。素晴らしい
フェルスタッペン:最高の勝利だよ。これぞモナコだ。ウエットはかなり手こずったけどね。でも楽しんだ。すべてをうまくこなせたレースだった
クリスチャン・ホーナー代表:2時間は長かったが、あらゆるコンディションで完璧な走りだったよ

アロンソ:表彰台だ、ベイビー。簡単なレースじゃなかったが、よくやってくれた。ブラボー!
クローニン:2位だぞ! 次は1位だ!

 去年のモナコウイナーのペレスにとっては、後悔しかないレースだった。

ペレス:なんてレースだったんだ。申し訳ない。すべて僕のせいだ

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