2009年のジュネーブオートサロンでアウディA4オールロードクワトロがデビューした。2008年に「アウディオールロードクワトロ」が「A6オールロードクワトロ」に進化して以来、このモデルの登場に大きな期待が寄せられていた。果たしてA4オールロードクワトロとはどんなモデルだったのか。ここではドイツ・ミュンヘンで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年6月号より)
価格的にも魅力的な、A6オールロードのスケールダウン
自動車に対する人間の趣味趣向というものは、時として合理性とは相反するものだ。ここ数年、地球温暖化を憂慮し、CO2排出量を減らさなければならないと多くの人たちが考えているはずなのだが、各国の自動車市場では大きくて重いSUVは相変わらず売れているし、とくに、罪悪感の少ない、言い訳のできるコンパクトSUVは、確実に伸びている。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
こうした状況下で、アウディが2000年からSUVの代案として市場に送り込んでいるオールロードという商品が意味を持ってくる。A6アバントをベースにしたクロスオーバーモデルは、昨年(編集部註:2008年)全世界で1万1000台を販売した。数は多くないが、今後さらに厳しくなる環境下で、需要は増える可能性はある。
そしてアウディは一歩進んだ形で具体案を提示した。A4オールロードクワトロである。これならばコンパクトSUVに価格的にも対抗できるし、先に同社から発売されたオーセンティックSUVのQ5と競合する可能性も少ないというわけだ。
A4アバントをベースにしたオールロードクワトロは、コンセプトも含め当然のことながら兄貴分のA6オールロードのスケールダウンモデルである。ただし若干の違いはエクステリアに発見される。たとえばフロント中央のマッドガードには、スポイラー状に車幅いっぱいにアルミ風プロテクターが取り付けられている。またリアエンドのプロテクターというかディフューザー風のフィニッシャーも、ツインマフラーカッターを取り囲むほどワイドに広がっている。
一方、18インチタイヤを囲むプラスチック製のホイールアーチやQシリーズと同じ縦のラインを強調したメッシュグリルなどの意匠は共通で、オフロードファミリーである証しとなっている。
ボディサイズは全長4721mm、全幅1841mm、全高は1495mmと、A4アバントよりわずかに大きいが、これは主にオフロードを演出するアプリケーションによるもの。また悪路の走破性を考えて地上高は37mm上がって180mmとなったが、前後のトレッドがそれぞれ20mm広がったためか腰高には見えない。
特設オフロードコースでは素晴らしい走破性能を実感
ミュンヘン空港から借り出したモデルに搭載されていたエンジンは、ターボを装着した4気筒2.0TFSIで、最高出力は211ps、最大トルクは350Nmを発揮する。搭載されているトランスミッションはオプションの7速デュアルクラッチのSトロニックであった。
テストコースはアウトバーンと一般道路を含むおよそ400kmの距離で、まずは指示通りに空港の敷地からアウトバーンへ向かう。A4でもオプション装備が可能なドライブセレクトは、まずコンフォートモードでスタート、快適なクルージングを楽しむ。エンジンは低回転域から十分なパワーを送り出し、乗り心地は快適で、ツーリングワゴンとして十分以上の任務を果たすだろう。
続いてアウトバーンを下り、ワインディングが続くバイエルンの田舎道へ入る。すると時折、これで一般自動車道路かと思うほど道幅が狭くなり、さらにアップダウンも加わる。
そこでスポーツモードを選択する。まずアクセルペダルの踏み込みに対して、エンジンのピックアップが敏感になり、同時にシャシは引き締まり、ステアリングはシャープになるが、腰高による過度なロールやステリング修正を必要とするような不安な動きはまったくない。確かなトラクションと応答性の素晴らしいステアフィールを提供してくれる。
ところでこのオールロードのオンボードコンピュータには、エフィシエントテクノロジーというソフトウエアがプログラムされている。これは運転中のエネルギー消費状況を知らせて、総合的に燃費向上の目安を表示するもの。アイドリングストップ機能が付いているMT仕様は、シフトインジケーターも表示される。
この日、一般道路でのテストを終えた後に、特設のオフロードコースでA4オールロードクワトロのもうひとつの能力が紹介された。急斜面のアップダウン、泥濘地からの脱出など腰高で厳ついジープタイプのSUVに負けない走破を示してくれたのである。
この性能を支えているのがORD(オフロード ディテクション)と呼ばれる駆動力制御装置だ。このシステムはタイヤのスリップなどで路面状況を自動的に認識し、確実なトラクション、あるいは必要ならばブレーキ介入を必要な車輪に瞬時に与え、脱出を助ける。ちなみにこのシステムは標準装備となる。
A4オールロードクワトロは5月からドイツを中心に欧州で発売が開始されるが、テスト車両の2.0TFSIのベーシック価格は4万400ユーロ(約525万円)である。現時点では日本への輸出は行わないと発表されている。(文:木村好宏)
アウディ A4 オールロードクワトロ 2.0TFSI 主要諸元
●全長×全幅×全高:4721×1841×1495mm
●ホイールベース:2805mm
●車両重量:1650kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●排気量:1984cc
●最高出力:155kW(211ps)/4300-6000rpm
●最大トルク:350Nm/1500-4200rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:12.3km/L
●タイヤサイズ:225/55R17
●最高速度:230km/h
●0→100km/h加速:6.9秒
※EU準拠
[ アルバム : アウディ A4 オールロードクワトロ はオリジナルサイトでご覧ください ]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
新型「クラウンパトカー」発見にSNS騒然!? 発売から2年 そもそもパトカーとして“使える”のか?
299万円!? トヨタ「ランクル250」が手に届きやすい価格に? 「VX(新車545万円)」を月々抑えて買う方法とは
“約214万円”からのトヨタ「新型SUV」正式発表! 「RAV4」サイズの快適モデル!? 25年3月に「bZ3X」発売、衝撃価格で中国に投入
スズキの「“2階建て”軽バン!?」公開! 斬新“横開き”式で「4人も寝られる」!? タフ仕様もカッコイイ“エブリイ”「スマイルファクトリー オフタイムBASE」お台場で実車展示
11月1日から装着義務化されたバックカメラは一度味わったらもう手放せない! 1000円台から買える後付けカメラって大丈夫!?
「バスが発進しようとしたので、急いで前に詰めたら、鳴らされました。運転手は懲戒処分ですよね?」質問に回答殺到!?「常識外れ」「もう運転やめてくれ」の声も…法律では誰が悪いのか
「右車線ずっと走って何が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「捕まるよ」「違反です」の声も…投稿者は「後ろから煽るほうが悪い!」と主張 法律ではどちらが正しいのか
マツダ「3列シートミニバン」復活する!? スライドドアの新型「ビアンテ」「プレマシー」はあり得る? 待たれる「“魂動”ミニバン」登場の可能性とは
ナンバープレートは個人情報じゃないけどネットで写真を出しても問題なし? 議論百出のナンバー晒し問題をオフ会の達人が法とマナーから考える!
北米でも成績不振!! ちょっと先進感が強すぎ!? でも[セレナ]みたいな抜群のクルマも作れるの!!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?