Zという舞台へのカーテンコールに思えた
かつてZ33に乗っていたこともあり、期待していた日産フェアレディZプロトタイプ。シンプルに「カッコいい!」というのが第一印象だったが、デザインプレゼンテーションを聞くうちに不安がもたげてきた。
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「もしかしたらフェアレディZ、コレで終わりのつもりじゃない?」
そのデザインには各部にS30やZ32のモチーフが引用されているが、けっしてレトロ志向には陥っていないのがいい。しかし、そのことが何度も、しかも声高にアピールされていることに、少々引っかかったのだ。
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実際のところS30型以降のZは、つねにヘリテージを意識して過去のモデル、要はS30のモチーフを各部に引用してきた。がらりと変わったように見えたZ32すらも、ライトまわりなどを見れば影響下にあったのは明らか。Z33だって全然違った造形なのに、ちゃんとZの歴史上にいた。一方、現行のZ34はその進化型で、じつはこれが一番S30から遠いデザインかもしれない。
ただし、これまではそれをあえてアピールしてこなかった。なのに今回は一体なぜそんなに強調する?
浮かんだのは、これはZという舞台のカーテンコールなのかもしれないということだった。最後に過去のオールスターキャストが集まり、皆にありがとうと手を振っている。そんなデザインに見えたのである。
生き抜くためにはつらい時代
今回のプロトタイプを見るに、おそらく車体の基本部分は現行型のキャリーオーバーだろう。幸いZ34は、原点回帰でコンパクト化を図り、軽量化を実現した意欲作だったから、その地力に心配はない。
けれど、さらに6~7年後に出るだろう次期型が、さすがにそれを使い続けるわけにはいかないだろう。一方、新しいFRプラットフォームが生まれていることも想像は難しい。
いや、そもそも燃費規制や騒音規制が強化されるなか、スポーツカーが、ガソリン車が、まだ生き長らえることができるのかはクエスチョンマークが付く。そう考えれば、最後でもけっして不思議ではないのだ。
思うに、そもそも日産は「なぜ今、新型フェアレディZなのか」というストーリーを、まず伝えるべきだったはずだ。デザインは想像を掻き立てるが、スポーツカーにとって大事なのはそこに込められた魂である。極端な話、魂の在処さえしっかり示されれば、カタチは自然に納得できるようになるものだろう。
過去の中に、未来はある
幸い、某イベントの会場で日産の内田 誠CEOは「Zプロトタイプのお披露目は、生まれ変わりを象徴する「Nissan A to Z」の大事な一部として、このタイミングで世に出したかったのだ」のだと教えてくれた。そう、コレを最初から言ってほしかったのだ。
やはり日産復活の象徴として2002年にお披露目されたZ33は、倒産危機から脱した日産の新生をアピールするべく、あえて歴史の連続性には触れなかった。それに対して今回日産は、ファンにとっての負の時代を過去のものとし、ちゃんとユーザーに寄り添っていくよというメッセージをZプロトタイプに託したのだろう。そのためには、「ゴーン時代以前」のヘリテージに触れる必要があったし、S30を知らない世代や人にそれを伝えるためには、あえてそれを強調することも必要だったというわけである。同じ復活の象徴でも、背景はまるで異なり、それがアピールに表れたというわけである。
開発を主導する田村宏志チーフプロダクトスペシャリストによれば、クルマとしてのコンセプトは「ダンスパートナーのような存在」だという。ディテールだけではなくコンパクトなフォルムも初代S30の姿が重なるZプロトタイプは、なるほどそんな軽やかな走りを期待させるに十分だ。
フェアレディとはすなわち淑女。そしてZということは、究極のダンスパートナーが、その目指すところだろうか。それが最後のダンスパートナーという意味でないことを願うが、デザイナー陣は過去の中に未来があるんだと言う。その言葉を今は信じることにしたい。
ともあれ、こんなふうに妄想を掻き立て、議論の的になるのがスポーツカーの宿命とすれば、フェアレディZプロトタイプがその条件を満たしてみせたことは確か。それもまた紛れもないZのヘリテージなのだ。
〈文=島下泰久〉
※driver12月号(2020年10月20日発売)掲載
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みんなのコメント
日産も、この記事書いてる島下某も、もう破茶滅茶やな。。。