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これからも長く愛されるために! 新型三菱デリカD:5の開発陣が込めた想いを直撃

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これからも長く愛されるために! 新型三菱デリカD:5の開発陣が込めた想いを直撃

 独自の魅力に満ちた長く愛されるクルマを

 1968年にキャブオーバートラックとして初代が誕生した三菱デリカ。車名の由来は、さまざまな道路環境で乗員や荷物を確実に目的地へ運ぶクルマを意味する「デリバリーカー」だ。

【試乗】新型デリカD:5は走り激変! フルモデルチェンジを名乗らないのが不思議なほどの進化を体感

 そのデリカの5代目にあたる現行型が登場したのは2007年。すでに12年が経過しているが、今もなお販売台数が年間1万台を超える人気を維持している。このように高く支持されている理由について、新型デリカD:5の商品企画を担当した大谷洋二さんは次のように語る。

「一番の理由は、ユニークなキャラクター性にあると思います。クルマのカタチはミニバンだけれど、雪道や悪路も余裕でこなせる圧倒的な走行性能を備えていること。オールラウンドミニバンというこのキャラクターは、世界でも稀少だと思います。実際に、デリカにお乗りのお客さまが、『ほかに買い替えようと思ったけれど、やっぱりデリカしかなかった』と、デリカからデリカへとお買い替えになるというケースも少なくありません。それが一定以上のご支持をいただいている最大の理由だと思います」

 12年ぶりとなる今回の大型改良でも、大切にしたのは、「デリカらしさ」を守ることだったという大谷さん。

「その一方で、この12年で市場やお客さまの嗜好も変化しています。たとえばアウトドア志向のお客さまの場合でも、積極的に外に出ていくライフスタイルは変わらず楽しみたいが、同時に洗練されたライフスタイルも両立させたいといった考えをお持ちの方が増えています。かといって、これみよがしな高級感や、見た目だけの華美さを追うことは、デリカというキャラクターにふさわしくありません」

「デリカにとって大切なのは、機能性や動力性能の進化との両立が感じられる質感の向上を実現することだと考えました。つまり、とても洗練されているけれど、悪路走破性の高さをイメージさせるような、従来のデリカのいい意味での泥臭さみたいなものもしっかりと残してあげることですね。その塩梅を探るのはとてもむずかしいことでしたが、今回は狙い通りにしっかりやり切れたと思います」

 小さなひとつひとつを地道に真摯に積み上げていく

 ユニークなキャラクター性を守りながら、時代に合ったニーズを織り込んだ質感の向上や、動力性能の進化、さらには便利装備や先進安全装備の充実も図られた今回の改良は、マイナーチェンジという言葉ではくくり切れないほどの大きな進化を目指したものと言える。開発のとりまとめ役である吉岡秀記さんは、次のように語る。

「実際に乗っていただければ、想像以上の進化の大きさが実感できるはずです。たとえば乗り味もそのひとつです。新たに電動アシストを採用したステアリングはすごくリニアでダイレクトな操舵感が味わえます。揺り返しも少なくなっていて、運転する人は自分の運転がうまくなったように思えますし、2列目や3列目でも乗り心地の向上が実感できます。もしもご試乗する機会がありましたら、ぜひ、いつも通っている道路を走ってみてほしいですね。違いの大きさに驚くはずです」

 足まわりについては、ショックアブソーバーのバルブ構造の見直しや、リヤのショックのシリンダーのサイズアップなどに加え、補強や剛性向上についての取り組みも行なわれている。この点について、開発当初から最後までプロジェクトに携わった中島嘉宏さんにうかがった。

「今回はフロントのデザインを大きく刷新していますが、そこでは歩行者保護の基準対応のために、フレームの長さや補強などをすべて見直す必要もありました。幾度の検討を重ねた結果、歩行者保護と操安剛性を両立するボディを達成。高剛性なボディと、シャシー部品の見直しによる相乗効果により、企画当初に目標としていたものを大きく超える操縦安定性が実現できたと思います」

 乗り味については、8速ATの採用をはじめとしたパワートレインの改良・変更も見どころのひとつだ。

「新たに採用された8速ATは、静粛性を含めた乗り心地の向上を狙ったものです。6速から8速に段数が増えたことで、シフトチェンジがこまめになり、繋がりがより滑らかになっています。よりローギヤにしたことで発進性がよくなったほか、ハイギヤの8速で高速道路などでの巡航時の回転が低くなって静かになり、さらには燃費性能にも貢献するなど、乗り味と実利の両面のメリットを実現しています」

「エンジンについては、2.2Lディーゼルを踏襲する形ではありますが、ピストンの軽量化やフリクションの低減などによって、従来よりも最大トルクを高め、走りの余裕も大きくなりました」と、大谷さんも言う。また中島さんも同様にこう語ってくれた。

「静粛性の向上は苦労したポイントのひとつですね。基本設計が変わらないなかで進化させるためには、飛び道具的なアプローチは一切できません。ひたすら地道に小さなことを積み重ねるしかないんです。今回は、吸音・遮音のための素材の検討から、その面積を変えてみたり、さらにはエンジンルームとキャビンを貫通するパイプの穴のクリアランスなどについて、いかに遊びを少なくするかといった見直しを図るなど、やれることはすべてやりました」

「また、単純に静粛性を上げればいいというわけではなく、たとえば、車内での会話明瞭度が上がるような、特定の周波数が伝わりやすいノイズの排除にも取り組んでいます。静かなだけでなく、静けさの中身を意識してチューニングしているんです」

 マイナーチェンジという枠を超えた大改良と進化

 先進安全装備の充実も新型デリカD:5の注目ポイントのひとつだが、吉岡さんによればこの点についても大きな苦労があったという。

「自動車では、各コンポーネントが相互に通信し合うためのCANと呼ばれる通信規格が使用されています。新型では、新しい世代のCANに対応した、先進安全装備などの新しいコンポーネントを採用するため、そのCANをすべて新しい世代に変更しているんです。マイナーチェンジでここまでやるというのは本当に稀なケースだと思います」

 CANの世代変更をはじめ、先進安全装備の大幅充実など、今回の改良は、マイナーチェンジとひとことでくくってしまうのはもったいないような内容だ。プラットフォームに関しても、デザイン変更と対歩行者などの安全基準対応のために前後部分が変更されており、また、ディーゼルエンジンの浄化システムについても、三菱自動車初となる尿素SCRシステムを採用するなど、マイナーチェンジとは思えない大がかりな見直しが行なわれている。ここまでくると、むしろフルモデルチェンジにしてもよかったのではと思うほどだ。そんな疑問に対して、中島さんは次のように答えてくれた。

「サイクルがきたからといって、変えなくてもいい部分まで変えてしまうことは、個人的には少し疑問です。むしろ必要な部分に原資を注力して大きく変えてあげるほうが、より魅力的なクルマになるという考え方もあるんじゃないでしょうか。今回の大改良は、まさにその考え方に基づくものと言っていいと思います。こうしたことが可能だったのは、デリカD:5が、基本的な部分で本当によくできたクルマだったからだと思います」

 大谷さんもこう付け加えてくれた。

「12年目でマイナーチェンジ。確かに長いスパンですよね。けれど、じつは歴代のデリカもそうだったんです。初代が誕生して50年。なのに、現在のデリカでまだ5代目ですからね。もちろん、フルモデルチェンジが多いことが悪いとは思っていません。時代の変化にしっかり応えようという作り手の想いでもあるわけですから。けれど、デリカのように一代一代が長く愛され続けてきたというのも素敵なことですよね」

 おそらくデリカのフルモデルチェンジは、まだまだ先のことになるだろう。これほど大掛かりな投資を行なったマイナーチェンジは、その証と言える。

「われわれ開発陣は、これから先も長く愛していただけるクルマにしたいと考えて開発に取り組みました。おっしゃる通り、そのための投資もそれなりに大きなものです。フルモデルチェンジから12年経った今もご支持を頂いているとはいえ、デリカは日本市場だけで販売されるモデルで、販売台数も月に1000台前後です。そのクルマにこれだけの力を注ぐというのは、ある意味、本当に大きな決断です」

「ですが、デリカに乗り続け、買い替えるクルマもデリカしか考えられないとおっしゃってくださるお客さまが今も大勢いらっしゃいます。クルマが好きなそういうお客さまにしっかり応えることも、我々の使命なのではないかと考えています」

 と、大谷さんが語るように、歴代デリカの開発者たちもきっと同じ想いを抱いてクルマ作りに取り組んできたのではないだろうか。デリカらしさをしっかり踏襲したという今回の開発では、開発者たちの熱い想いもしっかりと受け継がれていると言えそうだ。

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