新型V6エンジンが開発を後押しした604
1970年代半ばには、現在へ進化系を残す欧州の上級サルーンがほぼ出揃っていた。第一次オイルショックで販売不振に陥っていたものの、利益率は低くなく、ブランドイメージの向上を狙える重要なセグメントになっていた。
【画像】1970年代の贅沢 プジョー604 TI デイムラー・ソブリン S2 4.2 同時期の他社サルーンも 全119枚
優勢なポジションにあったのは、やはりドイツ勢。メルセデス・ベンツは以前から定評を築いていたが、BMWの実力も急速に上昇。正しい姿勢でクルマ作りをすれば、事業拡大も可能なことを証明した。
伝統ある上級ブランドを複数擁する英国では、ジャガーが孤軍奮闘。ローバーの期待の星、3500は、それまでの評判が簡単に崩れてしまうことを、周囲へ示してしまった。
同時期のフランスでは、排気量2.8L以上のクルマに罰金と思えるような重税が課され、エグゼクティブ・サルーンと縁がなかった。それでも、経済が冷え込んでいた1970年代に、2社が挑戦。プジョー604 SLとルノー30 TSが、1975年にデビューしている。
604と30の開発を後押ししたのが、前年にボルボと共同で生み出された、オールアルミの2.7L V型6気筒エンジン、PRV(プジョー・ルノー・ボルボ)ユニット。新しいシトロエンCXへ対抗する意味もあった。
コンパクトなPRVユニットは、チェーン駆動のシングル・オーバーヘッドカム(SOHC)で、バンク角は90度。当初はV型8気筒を計画していたが、高騰する原油価格の影響を受け、2気筒が削られた。そのため、点火順序は理想的とはいえなかった。
504と共有することで開発期間は8か月
ルノーやボルボ以上に、調整でエンジンの洗練性を高めたのがプジョー。常用のシングルチョーク・キャブレターと、高負荷時用のツインチョーク・キャブレターを組み合わせ、滑らかな加速を引き出した。
ひと回り小さい、プジョー504譲りとなるフロントエンジン・リアドライブのレイアウトを包んだのは、ピニンファリーナ社によるシャープなスタイリング。全長は260mm長く、ホイールベースは約50mm伸ばされた。
バルクヘッドにドア、フロアパンなどは、基本的に504と共有。サスペンションや駆動系も流用され、高効率化が図られた。その結果、604の開発は8か月で済んだといわれ、競争力の高い価格を実現していた。
走行時の振動や騒音を巧みに抑制したのが、エンジンとデフをケースで結んだトルクチューブ。リアのセミトレーリングアーム式サスペンションは、ロードノイズを抑えるため、ブッシュの設計に時間が割かれた。
ブレーキは前後ともディスクで、パワーウインドウを標準装備。ステアリングラックはラック&ピニオン式で、パワーアシストが備わった。レザーシートとエアコン、ヘッドライト・ワイパーは、オプションとして用意された。
ただし、2.7L V6エンジンの最高出力は137psと控えめ。4速MTを巧みに操っても、燃費は6.4km/Lに留まった。
上質さでベンチマークにあったジャガーXJ6
それを補ったのが、高水準な洗練性。乗り心地はしなやかで、車内は静かで、ジャガーXJの水準に届いていたといってもいい。対して、ドイツ勢のサルーンは乗り心地が硬く、ロードノイズも小さくなかった。
また604は、クラス最高の車内空間を実現していた。特にリアシートは前後方向にも上下方向にも余裕があり、荷室の大きさも驚くほど。
世界市場は604を好意的に受け止め、発売された1975年には約3万6000台がラインオフ。定期的なアップデートが加えられた。ところが、1980年代が迫ると売れ行きは鈍化。1979年に発売されたプジョー505が、人気の陰りへ拍車をかけた。
1978年に追加された604 TIは、燃料インジェクションを採用し、最高出力144psを獲得。1981年には、5速MTに加えて、3速ATも設定された。ターボディーゼルでターゲットの拡大も図られたが、特に北米での反応は振るわなかった。
キャブレター仕様の604 SLは、1982年に販売終了。1984年に2.8Lで157psの604 GTIを投入するが、1985年にモデルの幕引きを迎えた。
他方、上質さでベンチマークにあったジャガーXJ6 シリーズ2(S2)は、1973年に発売。順調に注文を集めたが、生産ラインの士気は低く、納車が早まることはなかった。
1975年の604へ対峙したのが、比較的価格が低く、経済的なXJ6 S2 3.4。もう少し予算を増やせば、充実装備で活発なXJ6 4.2を狙うこともできた。
見る角度によってぎこちなさがあるプジョー
今回ご登場願ったマルーンの4ドアサルーンは、XJ6の兄弟モデル、デイムラー・ソブリン S2 4.2。走行距離は2万9000kmを超えたばかりという極上コンディションで、落ち着いた佇まいには見慣れた感もある。
対して、604は英国でも珍しい。スタイリングは直線基調で引き締まり、固有の威厳を漂わせる。
ブルー・シルバーの604 TIは1981年式。グレートブリテン島南部、ソールズベリーに拠点を置くHCクラシックス社によってレストアを受けたばかりで、こちらも状態は最高といっていい。サビ1つないし、サスペンションもステアリングも新車のように機能する。
604 TIのリアドアを開くと、車内の広さが印象的。フランスでは、定番の公用車になったことにもうなずける。電気系統も、しっかりリビルドされている。部品の入手は難しいものの、ドナーとなる車両が別にあったそうだ。
スタイリングは、見る角度によってぎこちなさがある。リアのオーバーハングは長すぎるし、コンパクトなV6エンジンの結果といえる、短いフロント側とのバランスも良くない。どこから見ても美しい、ソブリン S2とは対象的だ。
604 TIの方が全幅は僅かに狭く、背が高く見える。だが実際は、12mmしか違わない。
この続きは、プジョー604 TI デイムラー・ソブリン S2 4(2)にて。
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