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シトロエン2CV + ルノー4 世界で愛されたフランスの大衆車 上級志向の2台 後編

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シトロエン2CV + ルノー4 世界で愛されたフランスの大衆車 上級志向の2台 後編

ほぼオリジナル・コンディションの2CV

ベルギーのシトロエンは、2CVの改良に以前から経験があった。複数のボディ色や2座独立のフロントシート、フロントガラス・ウオッシャーなども、他国よりいち早く導入していた。

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1965年に追加されたシトロエン2CVの上級仕様、AZAM6では、Cピラー部分に3枚目のサイドウインドウが追加されたことに加え、定速ドライブシャフトも採用。100km/hという大台へ乗せた、初めての2CVとなった。

フランス大衆車というスピリットが色濃い、シトロエン2CV AZAM6とルノー4Lに今回はご登場願った。アイボリーのシトロエンはレストアも経ていない、ほぼオリジナル・コンディションだという。これまで、日常の足として毎日のように乗られてきた。

ワインレッドのルノー4Lも、姿は当時のまま。2CVからの、コンセプトの進化を観察できる。ただしこちらは、完璧な状態へ仕上げるべく、前オーナーなりのレストアが施されている。

「12年前に友人のマルコムが、究極のキャトルを作ろうと決めたんです」。と説明するのは、ルノー4のコレクターであり、現オーナーのスチュアート・デラホイ氏。彼にとって夢の1台だとう。

「マルコムは、右ハンドルの英国仕様を完全にバラしました。問題になったのが、シャシーだったようです。フォルクスワーゲン・ビートルと設計が似ているのですが、リア・サスペンションが錆びるんです」

「完璧に修理する方法は、シャシーからボディを降ろすこと。この弱点は、多くのキャトルが10年ほどで廃車になった原因です」

5 ゴルディーニ用のエンジンを載せた4

デラホイが続ける。「同じ頃、自分はルノー5 ゴルディーニを発見し、入手していました。キャトルと同じシリーズのエンジンが載っているモデルです」

「友人と話し合い、最終的にクルマへ何を求めるのか、ビジョンを共有しました。それは、細身のホイールに標準の車高を備えた、完全にノーマルの見た目のクルマ。インテリアもオリジナルのままで」

「一見すると、ノーマルのキャトル 850にしか見えないと思います。でも、かなり難しい仕事を施してあります」

マルコムは、オリジナルの845ccエンジンと4速MTを降ろし、5 ゴルディーニの1397ccシエラ・ユニットと5速MTを載せた。どちらも、細心の注意を払ってリビルドを受けている。

ブレーキはディスクに変更。ホイールはルノー6用を履く。オリジナルのホイールは、ブレーキキャリパーと干渉してまったそうだ。

「彼は見事にキャトルを仕上げましたが、実際に乗ることはありませんでした。むしろ、コレクションの数台を手放そうと考えていたんです。もちろん、売るべき相手はわたしだ、と伝えました。数カ月後には、自分がオーナーでした」

ボンネットを開かない限り、デラホイのキャトルは、ほぼ完全なオリジナル状態に見える。着色されたプラスティック製のステアリングホイールや、深みのあるボディ塗装まで、レストアの水準は非常に高い。

1日中120km/hで走っても問題なし

インテリアには、不思議と2CVと通じる雰囲気がある。大きな荷室の奥のリアハッチが、空間的な感覚を違わせるが、同じターゲット層に向けて開発された類似性が香る。ダッシュボードに取り付けられたシフトレバーも、なぜか一致している。

デラホイは、クラッチの感触を直したいと指摘するが、2CV AZAMと比較すれば動きはスムーズで、何度も踏みたいと思える。過去にキャトルを運転した経験があれば、タコメーターを勢いよく回すエンジンに驚くだろう。

「ルノー5 ゴルディーニのエンジンは、かなり高度なチューニングを受けています。カムに乗る感じです。高回転が好きで、回さないと不機嫌になるほど」。とデラホイが笑う。

巧妙にモディファイされたキャトルは、活発に走る。意欲的なエンジンが、現代でも充分に乗れる移動手段へと生まれ変わらせている。急な登り坂でも、せわしない都市部でも、慌てる必要はない。

彼は、フルノーマルのキャトル 850も所有している。「もしどちらを選ぶかと聞かれれば、ノーマルの850を選ぶでしょうね。でも、フランスへの旅行などは難しい」

「英国南部から出るフェリーに載せれば、朝の8時にフランスの高速道路へ合流できます。BMWやアウディが飛ばすなかで、80km/hで走るなんて自殺行為ですからね」

「一方でこのキャトルなら、1日中120km/hで走っても問題ありません。毎日でも。遥かに乗りやすいクルマです」

ノスタルジアを蘇らせてくれる2台

AZAM6とはいえ、ほぼオリジナル状態の2CVと、ホットにレストアされたルノー・キャトルとでは、動的能力で比較にならない。かといって、当時は2CVが完全に時代遅れなわけでもなかった。

筆者にとって、この2台でより魅力的に映るのはシトロエンの方だ。欧州の人々にとっては、記憶の奥深くに残るノスタルジアを蘇らせてくれるモデルでもある。だが同時に、少し実務的で現代的なキャトルにも、同じような愛情を抱かずにはいられない。

ルノー4は、間違いなく2CVより優れている。それでも、1990年代初頭までお互いに生産が続けられたという事実が、息の長い訴求力を物語っている。

フランスだけでなく、アジアや南アメリカでも、2台は庶民の味方だった。合わせて130万台以上という生産台数は、簡単に導かれるものではないのだ。

シトロエン2CV AZAM6とルノー4L 2台のスペック 

シトロエン2CV AZAM6(1965~1967年/欧州仕様)

英国価格:536ポンド(1962年時)/2万ポンド(約310万円)以下(現在)
生産台数:約511万4966台(2CV総計)
全長:3830mm
全幅:1480mm
全高:1600mm
最高速度:104km/h
0-97km/h加速:30.0秒
燃費:14.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:585kg
パワートレイン:水平対向2気筒602cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:26ps/4750rpm
最大トルク:4.1kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

ルノー4L(1961~1992年/英国仕様)

英国価格:616ポンド(1962年時)/1万ポンド(約155万円)以下(現在)
生産台数:813万5434台(4総計)
全長:3658mm
全幅:1480mm
全高:1524mm
最高速度:109km/h
0-97km/h加速:38.0秒
燃費:14.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:640kg
パワートレイン:直列4気筒845cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:30ps/4700rpm
最大トルク:5.9kg-m/2300rpm
ギアボックス:4速マニュアル

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