12月6日、TOYOTA GAZOO Racingは東京・お台場のメガウェブで2022年体制発表を実施。この中で、来シーズン以降のWRC世界ラリー選手権に投入される新型ラリーマシン『トヨタGRヤリス・ラリー1』が世界初公開された。
トヨタのWRCプログラムを担うTOYOTA GAZOO Racing WRTは今シーズン、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が通算8度目となるドライバー/コドライバー選手権タイトルを勝ち取り、チームとしても通算5回目のマニュファクチャラーズタイトルを獲得し見事、シーズン3冠を達成した。
勝田貴元、2022年もWRCフル参戦へ。GRヤリスWRCラリー1で挑む来季を「心待ちにしている」
トヨタにとって実に27年ぶりとなったこの快挙は、豊田章男チームオーナーの下、2017年に同社がWRC復帰を果たした際にデビューした『トヨタ・ヤリスWRC』によってもたらされている。
車両規則の変更にともない今シーズン限りでその役目を終えるヤリスWRCは、過去5年間で通算26勝をマーク。2019年にオット・タナク、2020年と翌21年シーズンにはオジエをシリーズチャンピオンに導き、チームタイトルも2度獲得した。
そんな輝かしい成績を収めたヤリスWRCの後継車両として、2022年からラリー1規定と呼ばれる新レギュレーションの下で開催されるWRCに登場するのが今回、ヤリ-マティ・ラトバラ代表のドライブによって会場に現れ、世界初公開されたGRヤリス・ラリー1だ。
その名のとおりベースとなる車種は5ドアのトヨタ・ヤリスから“WRCで勝つために開発された”3ドアハッチバックのGRヤリスに変わり、空力面で有利なボディを手に入れた。また、パイプレーム構造のマシンには、新規定の目玉であるハイブリッドシステムが搭載され、外部充電やブレーキング時の回生によって蓄えられた電気でモーターを回し最大100馬力のパワーブーストを得られるようになる。
このほか、サスペンションストローク量の減少やシーケンシャルシフトの採用といった変化がある新規定車両について、ラトバラ代表は「ドライバーにとってはこれまでよりもマシンのコントロールが難しくなるだろうが、より速く豪快になり、テレビ的にも観客的にもよりいいものになる」と説明した。
続けてGAZOO Racingの佐藤恒治プレジデントは、「来年からラリー1ということで、今年トリプルタイトルを獲ったとはいえ、また新しい挑戦が始まるわけです。とくにハイブリッドということなので、WECで我々がやってきたことが活きるんじゃないかと思っています」と述べた。
ハイブリッド車となる新型マシンに搭載されるエンジンは従来規定車からの持ち越しとなるが、1.6リットル直列4気筒ターボエンジンの動力源には100%持続可能な新燃料が用いられる予定だ。
チャンピオンチームとして引き続きラトバラ代表の下で世界選手権を戦っていくチームは、すでに来季のドライバーラインアップを発表済み。エルフィン・エバンスとカッレ・ロバンペラが新型マシンでフルシーズンを戦い、オジエとトヨタに復帰するエサペッカ・ラッピが3台目のGRヤリスをシェアしながらシーズンを戦っていく。
また、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加する勝田貴元も、GRヤリス・ラリー1での全戦参戦が予定されており、こちらは新チームTOYOTA GAZOO Racing WRT・ネクストジェネレーションから2022年シーズンのWRCに挑むことになる。
ラトバラとともに登壇した勝田は、「来年も今年に引き続き4台目でWRCにフル参戦させていただくことになりました。本当にトヨタの関係者の皆さまには感謝するとともに、これからもいろいろな面で、GRが行っているモータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりに少しでも貢献できるようにこれからも注力していきたいと思います。今年、ラリーサファリで2位表彰台に上がったことがあるので、あともう一歩、もう一段上に上がれるように、まだまだ足りない部分も多いですが、精一杯頑張っていきたいと思っています」と豊富を述べた。
■TOYOTA GAZOO Racing WRT 2022年参戦体制
号車/ドライバー/コドライバー:
33号車 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン
69号車 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン
1号車 セバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラ
4号車 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム
TOYOTA GAZOO Racing WRT・ネクストジェネレーション
18号車 勝田貴元/アーロン・ジョンストン
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