開幕戦を圧倒的な強さで制したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はこの週末について、「ライバルとの差は、もっと縮まるはず」と、語っていた。ジェッダ・コーニッシュ・サーキットは超高速で、タイヤへの攻撃性も低い。最高速で強みを見せるフェラーリを、特に意識したコメントだった。
一方、開幕戦をリタイアで終えたシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、10グリッド降格ペナルティを科せられた上に、初日はカルロス・サインツとともに10番手前後のペースしか見せられなかった。それでも「僕たちはロッカーのなかに、まだかなりのものを入れている」と、強気だった。
降格のルクレール「レッドブル以外は全員ペースが同じ。12番手から浮上するのは楽ではなさそう」フェラーリ/F1第2戦
実際、ルクレールは予選ではQ1からQ2、Q3と着実にペースを上げ、最後はポールポジションを獲得したセルジオ・ペレス(レッドブル)の0.155秒差に迫る2番手につけた。しかしこの勝負に、肝心のフェルスタッペンは不在だった。Q2の最初のアタックでドライブシャフトにトラブルが発生し、最下位15番手で予選を終えていたからだ。
だがこの週末のフェルスタッペンはフリー走行3セッションですべて首位に立ち、予選Q1でも2番手ペレスに0.483秒もの大差をつけるトップタイムを叩き出していた。ちなみにQ1でのルクレールは、フェルスタッペンから0.615秒差の5番手だった。そしてペレスとは0.167秒差と、Q3でのタイム差とほぼ変わらない。
もちろんこれをそのままQ3に当てはめることはできないにしても、もしフェルスタッペンがトラブルに見舞われていなければ、悠々とポールポジションを獲得していた可能性は高い。開幕戦バーレーンとはまったくコース特性の違うジェッダで、フェラーリが必死に「ロッカーのなかから」たくさんのものを引き出しても、レッドブルとの差はまだ厳然とあるということだろう。
ただしレッドブルも今回、信頼性の不安を露呈した。フェルスタッペンは特に高い縁石に激しくフロアを打ちつけたわけでもなく、ターン12からの立ち上がりでスロットル全開にした瞬間に駆動を失った。
実はレッドブルは初日終了後に、フェルスタッペン車のギヤボックス一式を交換している。クリスチャン・ホーナー代表はこの措置について、「あくまでシーズン全体を見据えての戦略の一環だった」と、信頼性の問題という見方は否定する。
だがその発言に嘘はなかったとしても、チームにとって想定外のトラブルだったことは確かだろう。オフテストが3日間しか行われず、実戦までに十分にトラブル出しができていなかった弊害が出てしまった印象だ。
とはいえフェラーリは今回のジェッダでも、一発の速さに限ればレッドブルに敵わなかったことは確かだ。ルクレールは予選後、「限界を出し切った走りには、本当に満足している。その点はハッピーだ」と語る一方で、「レッドブルは別の惑星にいる」と、吐き捨てた。
フェラーリはマシンコンセプト責任者のデイビッド・サンチェスを失ったばかりだが、上級エンジニアたちのさらなる離反の噂も絶えない。根底には技術陣から信頼の厚かったマッティア・ビノット前代表の更迭への不満があるようだ。その噂が実際に起きるようだと、フェラーリの巻き返しは、さらに難しくなるかもしれない。
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