シトロエンCEOインタビュー
text:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)
【画像】シトロエンC5エアクロス、ジャガーFペイス、アウディQ5、BMW X3【ライバル比較】 全28枚
リンダ・ジャクソンの後任として、今年初めにシトロエンのCEOに就任した、ヴィンセント・コビーに、ブランドの計画について、話を聞いた。
長期的な販売目標
――グローバルでの長期的な販売目標は何ですか?
「この危機から、いつ、どのように脱出できるかわからないため、今年、来年についてさえ、予測がつきません」
「2025、26年までに、ヨーロッパ市場全体で1600万台の需要が維持されるのであれば、弊社は100万台を販売できるでしょう」
「グローバルで150万台、ヨーロッパはその3分の2を目標としています」
「目標達成の可能性を残すため、すべてのモデルを生産までもっていき、販売に備えます」
「しかし、最近の状況を考えると、市場の状況は大きく変わる可能性が高いと思われます」
――クルマの販売以外のサービスが、ビジネスの大部分を占めるのはいつですか。
「配車サービスとカーシェアリングの新しいビジネスモデルは、わたし達のビジネスの1%にも満たない状態です」
「アミの場合、現金での売り上げは25%、リースは60%または70%、共有所有は10%となると予想しています」
「衛生管理の観点から、これまでと同様の公共交通機関が、受け入れられ続けるとは考えにくいでしょう」
「近い将来、人々が個々の都市交通手段を求めるようになると、想像しています」
モデルラインナップについて
――シトロエンのモデルラインナップの規模は適切だと思われますか?
「過去15年間は複雑でした。多くのメーカーは、A、B、Cセグメントのハッチ、C、D、Eセグメントのサルーンおよびスポーツクーペをそろえていました」
「その後SUVが追加され、ヨーロッパのすべての自動車メーカーはSUVとの二重のラインナップを管理する必要がありました」
「ボディタイプを、6つから13まで増やすメーカーも出てきました」
「パワートレイン・コストの増加、CO2排出に関する管理の複雑さ、競争力の高い価格付けへのプレッシャーが加わり、誰もが合理化を求めています」
「ほとんどの自動車メーカーにとって、もっとも安定を得られるモデル数は、5から10モデルでしょう」
「5モデル未満の場合、継続的な提供が難しく、カスタマーが購入を検討する際の第一候補とはなりにくい」
「8モデルを超えると、開発、規制対応、セールス、マーケティングの管理が難しくなります」
「シトロエンにとって理想的な状況は、6つまたは7つのグローバルモデルを持ち、ほとんどの国で5モデルを提供することです」
――C1シティカー後継モデルの計画は、ありますか?
「C1はこのセグメントで非常に競争力があり適切なクルマと言えますが、このセグメントは多くの課題にさらされています」
「規制上の問題に加えて、基本的な機器要件と、厳しい排出基準があり、これらすべてがコストを押し上げます。またこのセグメントは非常に価格に敏感です」
「わたし達はC1の将来について、明確な方向性を確定していませんが、アミで同様のニーズに部分的に応えることが、可能だと考えています」
「電動シティカーには、通常2人で乗ることが多く、平均的な移動距離は24kmと言われています。アミなら同じ価格でニーズを満たすことができるでしょう」
――C4 スペースツアラーの後継はありますか?
「端的に言うと、MPVはそのままでは継続が難しいでしょう」
「C4 スペースツアラーは、需要がある限り、現行モデルをアップグレードし、引き続き販売します」
「次世代モデルについては、SUVに続く、次のトレンドを探る必要があります」
「C5エアクロスは、人気の理由の1つである、3つの独立したシートを継続します」
WRC不参加の決定について
――ポスト・パンデミックにいて、シトロエンは中国からどのような教訓を学びましたか?
「最初に、インターネットベースの販売、または直接販売は、総売上高の大きな部分を占める可能性があります」
「第2に、在庫を増やした場合、業界は財政的に非常に危険にさらされます」
「通常の自動車メーカーは、2か月分の在庫を持っています」
「需要が消えた場合、会社全体の現金と同等か、それ以上の金額を表します」
「これが、フリーキャッシュフローに大きなリスクを抱えているOEMが、数多く見られる理由です」
「中国では、製品を絞って、在庫のための製造を行っています」
「10台のクルマ、5つのパワートレイン、3つのトリムがある場合、オプションを付ける前ですでに150の組み合わせができます。多くのOEMで、150ではなく10の組み合せで生産することを決定しています」
「これまでの標準的なビジネスプロセスは、平和時には有効ですが、現在の危機や戦争などの際には大きな負担となります。業界は、オーダーメイドから、作り売りにシフトしてゆくでしょう」
――シトロエンはWRCへの参加機会を逃していませんか?
「まず、シトロエンはモータースポーツにおける素晴らしい歴史を持っています」
「数々のチャンピオンシップやレースでの勝利、さらにはプライベートレースへの参戦、信頼性、経験、ラリーに関するノウハウなど、その業績を称えるべきです」
「詳細理由はわかりませんが、WRCを終了するという決定が2019年後半に行われました」
「おそらく、モータースポーツと、シトロエンの目指すところが異なっていたのでしょう」
「WRCとファンとのつながりが薄くなり、またシトロエンが求める宣伝が出来なくなっていました」
「合理的な決定だと思いますし、それを尊重しています」
「数年後、別の決定が下される可能性がまったくないとは言えませんが、当面はこのままでいいと思っています」
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