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驚嘆の二面性を生むW12 ベントレー・フライングスパー・スピードへ試乗 内燃エンジンの頂点

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驚嘆の二面性を生むW12 ベントレー・フライングスパー・スピードへ試乗 内燃エンジンの頂点

2024年の春で生産終了となるW12エンジン

ベントレーは、W型12気筒エンジンへ終止符を打つことに決めた。初代コンチネンタルGTに初搭載されてから20年後となる、2024年の春までに生産は完了する。それ以降は、ハイブリッド・パワートレインへシフトするという。

【画像】驚嘆の二面性 ベントレー・フライングスパー ベンテイガ EWBと競合モデルも 全126枚

もちろん、そっと幕引きはしない。最高出力750ps、最大トルク101.8kg-mを発揮する、過去最強の最終仕様を18基製造する計画を立てている。すべてが手作業で作り上げられる、壮観なベントレー・マリナー・バトゥール・クーペへ搭載するために。

購買層の方が、今その事実へお気づきになったとしても手遅れ。約200万ポンド(約3億2200万円)の特別なクーペは、すべて売約済みらしい。英国クルーの職人が仕上げる、コーチビルドの限定モデルは輝かしいフィナーレを飾るだろう。

ただし、W12エンジンはまだ1年間ほど作り続けられる。ベントレーといえば、荘厳なリムジンを思い描く方は多いはず。

初代フライングスパーが登場したのは2008年。610psを発揮するW12ツインターボをラグジュアリーなボディに搭載し、最高速度320km/h(時速200マイル)の壁を打ち破った。

今回ご紹介する、2代目フライングスパーにもW12エンジンが載っている。従来のフライングスパー W12から改称され、2023年仕様ではフライングスパー・スピードを名乗る。同時にフライングスパー V8は、フライングスパー Sへ改められた。

四駆システムで凍結路なら大胆なドリフトも

呼び方が変わっても、圧倒的なリムジンであることに変わりはない。635psの最高出力や、333km/hの最高速度へ変更はないが、バトゥール・クーペを購入できる富を持つオーナーをも満たすべく、僅かなアップデートが施されている。

スピードであることを示す新たなロゴが、シートには刺繍で、サイドシルのプレートにはエッチングで、ダッシュボードには上品なフォントで施される。装飾トリム類は、シルバーからブラック仕上げに変更された。

ステアリングホイール・リムはダイナミカ・ピュアと呼ばれる人工皮革で包まれる。聞き慣れたアルカンターラに代わるもので、リサイクル素材を73%用いているという。ダッシュボード中央のタッチモニターを、回転させて隠せることは従来どおり。

アルミホイールは、専用デザインの22インチが用意された。今回の試乗車は、雪深いアメリカ・コロラド州の山岳地帯を前提とした、スタッドレスタイヤに21インチという組み合わせではあったが。

部分的に凍結した早朝の路面は、知的な四輪駆動システムの能力を試す絶好の機会。ローレット加工が施されたダイヤルを回し、スポーツ・モードを選択すると、リアアクスル側へ69%以上のパワーが伝わるようになる。

長いホイールベースを持つフライングスパー・スピードは、大胆なドリフトを想像以上に容易に楽しませてくれた。もちろん、日常的なシチュエーションでの安定性も高い。

安楽で猛烈 驚くほどの二面性

シャーベット状になった2速や3速で回る低速コーナーでは、スタビリティ・コントロールが穏やかに介入しつつ、僅かなオーバーステアの素振りを見せる。だが、積極的に操っても4本のタイヤが確実に路面を掴み、落ち着いたマナーで前方へ進んでいく。

四輪操舵システムも搭載し、スポーツサルーンを真似るような走りも可能としている。車重2437kg、全長5316mmもある巨体でありながら、運転は驚くほど楽しい。快適性を重視したリムジンが、ドライバーへ一体感を与えることには感動すら覚える。

ドライブモードでベントレー・モードを選べば、高価格帯にふさわしい極上の安楽さを享受できる。それでいて、スポーツ・モードへ切り替えた時の特性の変化幅は、想像以上。驚くほどの二面性といっていい。

W12ツインターボ・エンジン自体の二面性にも唸らされる。ローンチコントロールで、猛烈な発進加速を楽しむことも許されている。高速道路の合流加速だけでも、興奮するような反応を引き出せる。0-100km/h加速は3.8秒がうたわれる。

アクセルペダルから力を緩めれば、とたんに平穏な移動空間が戻ってくる。洗練された、ZF社製の8速ATとの相性も素晴らしい。緩やかに流している限り、110km/hで走行時のエンジンは1500rpmも回転していない。

スポーツ・モードへ切り替え、マッピングがアグレッシブになっても車内は静か。8速でも6速でも、ノイズは殆ど響いてこない。何速で走っているのか忘れてしまう。

内燃エンジンの頂点に位置する完成度

ベントレーのW型12気筒パワートレインは、内燃エンジンの頂点に位置する完成度だといっていい。見事に洗練され、フライングスパー・スピード固有の二面的な特性を生み出している。

より軽量で軽快に回転する4.0L V8ツインターボを積むフライングスパー Sの方が、動的能力では勝るだろう。だが、ベントレーのリムジンとしての訴求力は、フライングスパー・スピードの方が一枚上手だと思う。

同社によれば、W12エンジンの今後の生産能力には限りがあるという。もし興味を抱いたのなら、早めに動かれた方が良いだろう。こちらも手遅れになる前に。

ベントレー・フライングスパー・スピード(北米仕様)のスペック

英国価格:20万8700ポンド(約3360万円)
全長:5316mm
全幅:1978mm
全高:1484mm
最高速度:333km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:6.8km/L
CO2排出量:337g/km
車両重量:2437kg
パワートレイン:W型12気筒5950ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:635ps/6000rpm
最大トルク:91.6kg-m/1350-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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