二輪レース界のレジェンドとして知られるバレンティーノ・ロッシは、MotoGP時代に培ったサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)の知識が、WEC世界耐久選手権で同トラックに復帰する際の大きなアドバンテージになると考えている。
2024年シーズン第6戦『ローンスター・ル・マン』の舞台であるアメリカ・テキサス州オースティンに位置するCOTAは、ロッシがMotoGPでのレース経験がある3つのWECサーキットのうちのひとつ。残るふたつはカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットと、ル・マンの常設サーキット部分であるブガッティ・サーキットだ。
僅差の争いでフェラーリが底力、F1経験者でワン・ツー。トヨタ可夢偉は9番手、GT最速はアストン/WEC第6戦予選
二輪の世界選手権で通算9度のチャンピオンに輝いた45歳のイタリア人は、2013年に行われた第1回『グランプリ・オブ・ジ・アメリカズ』に出場して以来、2021年にモーターサイクルレースから引退するまで毎年同レースのグリッドに立ち、表彰台にも複数回上ったが優勝は達成していない。
Sportscar365のインタビューに答えたロッシは、オースティンでの8年間の経験が実を結ぶと確信している。
おなじみのゼッケンナンバー“46”を掲げるBMW M4 GT3をアハマド・アル・ハーティ、マキシム・マルタンとシェアする彼は、「僕はバイクで知っているコースでは、いつも速くて調子が良いんだ」と語った。
「それは多くの経験をドライビングに持ち込めるからだ。コースやラインを把握していて、どこにバンプがあるのか、グリップはどうかなどすべて知っている」
「でも確かに、ある観点から見るとGTは大きく異なる。(コーナーで縁石を)たくさんカットできるので、さまざまなラインを作ることができるんだ。しかし結局のところトラックは同じだ。だから、モーターサイクルレースでコースを知っていることは大きなアドバンテージになる」
ロッシのチームメイトのひとりで、チームWRTのブロンズドライバーであるアル・ハーティは今回、COTAでの初レースに臨む。一方、もうひとりの僚友であるマルタンは2020年にWECがテキサスを訪れた際にこのサーキットを経験している。
「そう、マックス(マキシム・マルタンの愛称)はGTEでここでレースをしているから、とても似ていると思う」とロッシ。
「彼はすでに経験を積んでいるんだ。だからもちろん、僕は彼についていきレーシングラインなど、このサーキットを攻略するためのすべてを理解しようとしている」
■シーズン終盤に向けて目標をシフト
46号車BMWをシェアするロッシ、アル・ハーティ、マルタンのトリオは現在、LMGT3ドライバーズランキングで6位(46ポイント)につけ、チャンピオンシップをリードするマンタイ・ピュアレクシング(92号車ポルシェ911 GT3 R)のクルーから54ポイント差をつけられている。
ロッシたちのトリオは、チームWRTがワン・ツー・フィニッシュを達成した第2戦イモラで2位となった後、シーズン序盤はランキング4位につけていた。しかし、その後は順位を下げている。
第3戦スパ・フランコルシャンでのリタイアに加え、“ダブルポイント”となる第4戦ル・マン24時間でもクラッシュによりレースを諦めざるを得なくなったことで、46号車BMWのクルーはライバルに対し劣勢に立たされることとなったのだ。
マルタンは「もうチャンピオン争いはしていない」と認める。しかし彼は、これまでのところ唯一の表彰台となっているイモラでの2位を超える結果を求め、引き続き努力を続けていくと述べた。
「レースウイークが訪れるたび、優勝もしくは表彰台に上がるために努力をしている」とマルタンはSportscar365に語った。
「一般的に(チームの)両方のクルマでペースが足りていない状況は難しいと言える。イモラではいくつかある戦略の中で、かなりアグレッシブな方法を採ったので先頭に立つことができた」
「リタイアもあったが、多かれ少なかれレースペースが速ければ問題はない。つまり、目標はいつも同じなんだ」
「僕たちは表彰台に立ち、さらに勝利を手に入れようとしている。しかし間違いなく、すでにチャンピオンシップのために戦っているわけではない」
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