新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年は多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。この連載では、GT300のみならず、いまや世界各国のGTカーレースで使用されるGT3カーについて、不定期でご紹介しよう。超初心者向けだが、詳しい方も改めてお付き合いいただければ幸いだ。
(1)GT3の誕生から世界的な流行へ。まずは歴史をおさらい
まず、GT3とはなんなのか、どんなカテゴリーなのかをお伝えする前に、まずはGT3についての歴史を超おおまかにお伝えしておこう。
SRO EスポーツGT第2戦スパ・フランコルシャンはアウディ勢が両クラスとも制す
いまや世界中のさまざまなレースで使用されているGT3カーは、FIA国際自動車連盟の車両規定のなかでグループGT3と規定されている。初めて世の中にカテゴリーとしての『GT3』という言葉が出てきたのは、2005年、FIA GT選手権の一戦としてスパ・フランコルシャンで開催されていたスパ24時間レースでのプレスカンファレンスでのこと。FIA GTを運営していたSROモータースポーツ・グループのステファン・ラテルから、GT3という構想が語られた。
もともとGTカーレースは、グループ3などに規定されていたものの、1980年代にはGTレース自体が下火となり、スポーツカーレースの主役はプロトタイプカーのグループC/GTPとなっていく。アメリカのIMSAではGTカテゴリーは存在したが、完全な市販車ベースではなかった。
しかし1990年代初頭、FIAの失策や景気後退もありグループCは急速に台数を減らしていく。これに代わって1994年に生まれたのがBPR GTシリーズ。当初はさまざまなGTカーが集まったが、マクラーレンF1 GTRの性能の高さ、さらにポルシェ911 GT1やメルセデスベンツCLK GTRの登場、トヨタTS020の登場などカテゴリーの過激化もあり、GT1は消滅。GT2がGTへ変貌し、その下位カテゴリーとしてN-GTが設けられた。
2004年にはGTがGT1、N-GTがGT2と改められたが、BPR GT創設者のひとりで『R』のイニシャルをもつステファン・ラテルが、2005年のプレスカンファレンスのなかで提唱したのが『GT3』カテゴリー。この会見のなかでは、あくまで今後GT1/GT2を拡大していく目標が述べられており、GT3はあくまで「FIAによるまったく新しいクラスで、市販車に近いレース専用車」とされ、2006年からGT3ヨーロピアン選手権を立ち上げるために制定された。
初期のコンセプトの時点でのGT3は、チームスタッフ数、テストの制限、GT1で用いられたパワーウエイトレシオ等の性能平均化、シングルタイヤサプライヤー、ジェントルマンドライバーのみの参加がコンセプトとして導入されている。このコンセプトに加え、性能調整の厳格化、さらに車両販売価格の上限を定めたことが、後のカテゴリーの隆盛に繋がっていった。
また当初のGT3は、『カップ・オブ・カップ』とされており、ヨーロッパのスポーツカーメーカーが開催していたワンメイクレース用カップカーが基準とされている。この発表時には、フェラーリ430チャレンジ、ポルシェ997カップ、マセラティ・トロフェオ・ライト、ダッジ・バイパー・コンペティションカップとされている。
これらの車両は、2006年からスタートしたGT3ヨーロピアン選手権においてGT3カーとしてホモロゲートされたほか、アストンマーティンがDBRS9をGT3車両として投入することを発表した。
こうして2006年からスタートしたFIA GT3ヨーロピアン・チャンピオンシップでは、ポルシェやフェラーリ、アストンマーティン、ダッジらに加え、アスカリKZ1や、ドイツのライター・エンジニアリング製のランボルギーニ・ガヤルド、キャラウェイ・コンペティションのコルベットZ06.Rなどが参戦。初代チャンピオンはショーン・エドワーズが獲得した。
さらに2007年から、ドイツではGT3を使ったADAC GTマスターズがスタート。さらにオーストラリアGTでもGT2との性能調整でGT3車両が使用されはじめ、ブラジルなど世界各国で使用されていく。一方、FIA GT3ヨーロピアン・チャンピオンシップはFIA GT選手権のサポート的な意味合いが強かったが、2010年にFIA GTから発展したFIA GT1世界選手権が当初の目論見からはずれ参戦台数が伸びない一方で、2011年にスタートしたGT3の耐久レース、『ブランパン耐久シリーズ』は当初から50台以上のエントリーを集め盛況となっていく。
2012年からは、FIA GT1世界選手権の車両がGT3に変更される現象が起き、その後FIA GT1は『ブランパンGTスプリントカップ』へ。『ブランパン耐久シリーズ』は『ブランパンGTエンデュランスカップ』となっていった。日本では、2010年にスーパーGT GT300クラスにポルシェ911 GT3 Rが登場したほか、スーパー耐久にもアウディR8 LMSが登場。日本にもGT3の波が伝わっている。
次回は『GT3とはどんなレーシングカーなのか』について触れたい。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
日産『エルグランド』、15年目の大変身へ! 燃費倍増も、BEV化はおあずけ?
「なんで“鳴らした”!?」 後続車の「クラクション」に“イラ”っと! 一度は感じる「ブレーキ問題」! 見直すべき“ブレーキ技術”とは
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
新基準原付で125ccも原付扱いに!? 125ccのバイクには一体何がある?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント