「ポロ」クラスのボディに前輪を駆動する226psモーターと約450km航続できるバッテリーを搭載
フォルクスワーゲンのトーマス・シェーファーCEOフォルクスワーゲンのトーマス・シェーファーCEOは「ID.2all」の発表に際して、このように述べている。
「私たちは、フォルクスワーゲンを真の“Love Brand”(愛されるブランド)にするという明確な目標を持って、会社を迅速かつ根本的に変革しています。『ID. 2all』は、私たちのブランドが目指すべき姿を示しています。つまり、私たちはお客様に近い存在となり、最高のテクノロジーと素晴らしいデザインを備えたブランドになります。私たちは、eモビリティを民主化するために、変革を迅速に実行しています」
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ID.2allは、最新世代のモジュラー エレクトリック ドライブ(MEB)プラットフォームをベースとする、MEB Entryプラットフォームを用いて開発。ボディサイズは全長4050×全幅1812×全高1530mmで、ホイールベースは2600mm。現行の「ポロ」と比べてみると、35mm短く、約60mm幅広く、80mm高い一方で、ホイールベースは50mm長い。
MEBプラットフォームの高い柔軟性は、同社初となる前輪駆動EVも容易に実現する。前輪駆動を採用した効果で、コンパクトサイズのボディながら荷室容量は490~1330ℓを確保する。
フロントに搭載されるモーターは226psを発揮し、0-100km/h加速を7秒未満でこなす加速性能が与えられた。最高速は160km/hだ。バッテリーの容量は明かされていないが、一充電走行距離はWLTPモードで約450kmをマークする。なお、バッテリーは急速充電なら約20分で10%から80%まで充電できる。
量産モデルでは、より上位の「ID.」モデルに搭載されている数多くの最先端テクノロジーが組み込まれる予定で、これには部分的な自動運転を可能にするトラベルアシストの最新モデルも含まれている。その他では、LEDマトリクスヘッドライト“IQ.LIGHT”、水平なLEDストリップでつながれた左右の3D LEDテールライトクラスター、メモリー機能付きPark Assist Plus、ID.Light(ドライバー向けの直感的なライトシグナル)、マッサージ機能付き電動シートなどが挙げられる。大型のパノラミックサンルーフは、インテリアに広々とした開放感をもたらす。
インフォテインメントシステムの12.9インチタッチディスプレイ (対角32.7cm)は、新しいメニュー構造を備えている。その下には、新開発された左右独立式の空調コントロールパネルを設置。ここでは、照明付きのボタンを使用して、主要な空調機能を操作することができる。運転席と助手席の両方から簡単にアクセスできるエアコンディショナー操作パネルの中央には、インフォテインメントシステムの音量を調整するための、実用的で小さなロータリーコントロールがある。さらにその下には、スマートフォン用のふたつの大型ワイヤレス充電インターフェースが設置され、スマートフォンは磁石で所定の位置に固定される。
その他の機能は、センターコンソールのメニューコントロールを使用して操作。このメニューコントロールを使用して、デジタルメーターのグラフィックを変更することも可能だ。新しいマルチファンクションステアリングホイールは明確でわかりやすいように設計されており、左右にふたつのロータリーコントロールと、それぞれにふたつのボタンのみで構成されている。ドライバーは、10.9インチのデジタルコックピットディスプレイとヘッドアップディスプレイによって、すべての重要な情報を同一視線上で確認することができる。スマートフォンには、車内のさまざまな場所に設置されたUSB-Cポート(45W)と、フロントシートのバックレストに設置され、ワイヤレス充電機能を備えたマグネット ホルダーを使用して充電することができる。車内で使用することが考えられるすべての大型デバイス用に、230V電源ソケットも用意されている。
室内は最大限のスペース効率が追求された。一例としては、折り畳み式の助手席シートバックが挙げられる。これにより、40:60の比率で折り畳むことができるリヤシートバックレストと組み合わせて、長さ2.2mの長尺物を積載することが可能になった。後席使用時で490ℓの容量を誇る荷室は2重構造で、そのハイライトは、例えばスーパーマーケットからの買い物袋を数個収納できる、フロア下の長方形の収納ボックスだ。
一方、リヤシート下には50ℓの収納スペースを設置。この収納スペースは、バッテリー充電ケーブル、救急セット、蛍光色のジャケット、故障時の工具セットなどのアイテムが収納できる。施錠できるこの安全なコンパートメントには、ノートPCやタブレットなどの大型デバイスを収納可能なスペースがあり、そこで充電することもできる。
ID.2allのデザインについては、フォルクスワーゲンの新しいデザイン戦略が策定された。デザイン責任者のアンドレアス・ミント氏はこのように説明している。
デザイン責任者のアンドレアス・ミント氏「私は、Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)の3つの主要な要素に焦点を当てています。
フォルクスワーゲンのデザインにとって最も重要な側面は『安定感』です。これには、安定した価値、安定したフォルム、信頼性、認知度が含まれます。
2番目のコア要素は『好感度』です。それは、ビートルやワーゲンバス、新型ビートル、ID. Buzzにも明確に表れており、安定感と好感度というこのふたつの価値をあらゆる点で達成する必要があります。
しかし、フォルクスワーゲンの成功にとって、それだけでは十分ではありません。私たちはお客様を『感動』させたいのです。例えば、優れたダイナミクス、操作性の向上、またはID. Buzzまたはゴルフに代表される、“形態は機能に従う”という考え方です。フォルクスワーゲンを魅力的なクルマにしているのは、テクノロジー、フォルム、コンセプトです。そして、フォルクスワーゲンならではのデザイン、フォルクスワーゲンならではのフィーリングの典型的な特徴が、Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)なのです」
ミント氏は、これら3つの価値のそれぞれに、3つのデザイン要素を割り当てた。それらはすべてID. 2allに反映されている。ミント氏のコメントをまじえながら見ていこう。
「ID. 2all」のデザイン “3つのブランドバリュー、9つのデザイン要素”
●Stability(安定感)
安定感の代表的なデザインは、初代ゴルフのCピラーに見て取ることができる。このピラーは、進行方向に向けて引きしぼられた弓の弦を見る者に思い起こさせる。ミント氏は、コンパクトなフォルクスワーゲン車の特徴として、この要素を新たに解釈したデザインを採用した。ID. 2allは、この新しいCピラーシグネチャーを備えた最初のフォルクスワーゲンだ。
「Cピラーはフォルクスワーゲンデザインの背骨としての役割を果たしているます。ID. 2allでは、この特徴的なCピラーの安定感が背骨からサイドボディエレメントへと流れていきます」
Cピラーはサイドシルエットの輪郭に溶け込み、7代目ゴルフなどで示されたように、まったく新しく、しかし典型的なフォルクスワーゲンデザインを形成。このデザインは、意図的にショルダーラインを排除することで、車両のサイドボディ全体に力強いボリューム感と際立った個性的な外観を与えている。
2番目の安定化要素は、A~Cピラー間を完全な直線で結ぶサイドライン。
「ウインドウショルダー、その下のフィーチャーライン、そしてサイドシルは、フロントエンドとともにポジティブな緊張感を生み出す必要があります。それはまさにID. 2allで実現しています」
この直線的なウインドウラインは、何十年にもわたってフォルクスワーゲン車の特徴的なスタイル要素となってきた。
3番目の要素は、デザイナー用語でスタンスと呼ばれるもの、つまり視覚的な安定感。
「車両のスタンスが安定して見えるように、ホイールから上の部分のボリュームを減らす必要があります。ID. 2all」を見ていただければご理解いただけるでしょう」
その力強いスタンスは、ハンドルを切って、フロントタイヤが斜めを向いたときに、特に好印象を与える。ID. 2allの場合、安定感は、力強くサイドに流れ込むCピラー、サイドシルエットの緊張感、自信に満ちたスタンスの相互作用によって生み出されている。
●Likeability(好感度)
自動車デザインは芸術とも言えるが、そこには黄金比をはじめとする明確な法則が存在する。
「好感度は黄金比でつくられます。これはごく単純に、5分の3と5分の2の比率です」
レオナルド・ダ・ヴィンチはモナリザなどの作品で、すでにこの幾何学的原理を採用している。
「ウインドウショルダーの下を走るフィーチャーラインは、ID. 2allの黄金比の線上に正確に位置しています。ビートルもゴルフも、常に黄金比の原則に従っていました」
人は、自然が作り出したこの黄金比による分割を、心地よく好感が持てると感じるものだ。
好感度を左右するふたつ目の決め手は、フロントエンドのデザイン。
「ID. 2allのフロントは、上に向かって盛り上がっているのが特徴です。これらの要素を注意深く採用することで、自信に溢れた笑顔が生まれます」好感度の3番目の要素、つまり人間性も、このフロントエンドに完全に表現されている。
「フォルクスワーゲンのフロントが、まるで人間のような表情を見せることは、私たちにとって重要です。まさにID. 2allのように」
●Excitement(感動)
感動を呼び起こす最初の要素はダイナミクス。ID. 2allは、よりスポーティなバリエーションも容易に導入できるようにデザインされている。これは、このクルマにダイナミックなキャラクターが本質的に備わっていることを意味している。高品質は、感動を呼び起こす2番目のデザイン要素だ。
「このコンセプトカーのインテリアには、高品質な素材で作られ、正確な操作を可能にするドライビングモード セレクタースイッチが配置されています。これは、この価格クラスの車両には通常装備されていない機能です」
3番目の要素はエレガンス。これは、フォルクスワーゲンのデザインを、時代を超越するものにして、その価値を維持する重要なスタイル要素。ID. 2allは、ボンネットとこのコンセプトカーの全長を、より長く見せる直線的で自信に溢れたシルエットの相互作用によって、エレガンスを表現している。
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