現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【ほぼ、世界最高のFRマシン】BMW M2 CSへ試乗 F87型最後を飾る限定モデル 後編

ここから本文です

【ほぼ、世界最高のFRマシン】BMW M2 CSへ試乗 F87型最後を飾る限定モデル 後編

掲載 更新 7
【ほぼ、世界最高のFRマシン】BMW M2 CSへ試乗 F87型最後を飾る限定モデル 後編

コーナーで実感するコンペティションとの差

text:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】BMW M2 ケイマンGT4とA45 S 全136枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


BMW M2 CSの少し硬めの乗り心地と、ガッシリとしたステアリングホイールの操舵感が組み合わさり、ドライビング体験の刺激度は高い。ステアリングやエンジン、サスペンションの設定が、最も快適側の設定でも。

一方で、M2コンペティションとの違いが、大きいわけでもない。その差を感じるには、少し長めに高速でドライブする必要がある。

M2コンペティションは、ソリッドマウントされたリア・サブフレームとボールジョイントのサスペンションによって、アクティブなリアタイヤの挙動を引き出していた。さらにM2 CSでは、リア周りの安定性が高められている。

M2 CSで、サルーンのように背の高い箱型ボディの存在を感じるのは、相当な速度域でチャレンジングな道を攻めたときくらい。路面の隆起部分などを通過した際、ポルシェ・ケイマンGT4より、サスペンションがボディをなだめるのに若干の時間を要するようだ。

あくまでも限定的な場面で、残りの道は、周囲を驚かせるような速度と処理力で突き進む。M2 CSの違いを明確に感じられるのは、コーナーへの進入時だろう。

アクティブMディファレンシャルによって、驚異的な精度と機敏さで、フロントノーズの向きを変えていく。リアタイヤが不安定になるほどシャープではない、絶妙のバランスだ。ミシュラン製のタイヤと、徹底的に引き締められた姿勢制御もそれを支えている。

世界最高に仕立てられたFRモデル

コーナリング中も、M2 CSの素晴らしさを楽しめる。常に予測可能な挙動で、いつまでも美しい姿勢で、テールスライドを許してくれる。なんと楽しいのだろうか。

ESPのMダイナミック・モードの設定も絶妙。ドライバーが望めば、不満を感じないだけの自由度を与えてくれる。

豊かなパワーとトルクが、常にリアタイヤへ伝わるという一貫性、軽快なステアリングフィールと、シャシーバランス。すべてが融合し、シンプルにクルマの運転を楽しむ、という喜びに浸っていられる。

ケイマンの方が、オフスロットル時に微妙なライン調整が可能で、硬いサスペンションに対する依存度は低い。それでも、パワフルなフロントエンジン・リアドライブというパッケージングを、世界最高に仕立てているのは、BMW M2だといえる。

ただし、F87型のM2コンペティションとミシュラン・パイロット・スーパースポーツとの組み合わせが、ベストだったとも思う。そこがネックだ。

BMWがポンとM2 CSを持ってきて、価格は7万5320ポンド(1016万円)ですと発表したのなら、なるほどと感服したに違いない。一般道での走りはセンセーショナルと呼びたくなるほど素晴らしく、サーキットでも充分に攻め込める。

しかしわれわれは、M2コンペティションを知っている。価格差を無視することはできない。ハードコアな威圧感や機敏性は多少劣る。でも、楽しさと満足度でいえば、引けを取らないのだ。

もし、さらに軽量に仕上がっていれば

むしろ一般道では、BMW M2コンペティションの方がドラマティックで扱いやすい。より好感度の高いマシンになってくれる。40ps劣るとしても、高水準で開発された同じS55型エンジンを搭載している。

定期的にサーキット走行を楽しむドライバーなら、違う見方をするだろう。BMW M2 CSが俊足と痛快なパワースライドを存分に発揮できるのは、サーキットだからだ。

もしBMWが、技術力を結集して110kgをダイエットしたE46型M3 CSLのように、軽量に仕上げることができていれば。M2 CSより速く、懐が深く、2万3000ポンド(310万円)の価格差を正当化できる、特別なモデルが生まれていただろう。

いうなれば、M2 CSLと呼べるようなモデルだ。

F87型最後を飾る、最新のBMW M2 CSは素晴らしい。その期待の大きさが故に、煮え切らない気持ちも拭えないのだった。

BMW M2 CS(英国仕様)のスペック

価格:7万5320ポンド(1016万円)
全長:4460mm
全幅:1872mm
全高:1415mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:4.0秒
燃費:10.9-11.1km/L
CO2排出量:206-209g/km
乾燥重量:1550kg
パワートレイン:直列6気筒2979ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/6250rpm
最大トルク:56.1kg-m/2350-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

こんな記事も読まれています

スーパーカーはもちろん実用車でも才気煥発! 鬼才ガンディーニがデザインした4台の傑作
スーパーカーはもちろん実用車でも才気煥発! 鬼才ガンディーニがデザインした4台の傑作
WEB CARTOP
アウディが急速充電拠点「Audi charging hub紀尾井町」を東京都心に開設---その意義とは?
アウディが急速充電拠点「Audi charging hub紀尾井町」を東京都心に開設---その意義とは?
レスポンス
スバル「新型SUV」発表! スポーティ&ブラックな内外装がカッコイイ! オシャブルー新設定に販売店でも称賛の声
スバル「新型SUV」発表! スポーティ&ブラックな内外装がカッコイイ! オシャブルー新設定に販売店でも称賛の声
くるまのニュース
ヒュルケンベルグ、ザウバー加入決定で2026年からはアウディF1ワークスドライバーに「ドイツ製PUと共に戦うのは名誉」
ヒュルケンベルグ、ザウバー加入決定で2026年からはアウディF1ワークスドライバーに「ドイツ製PUと共に戦うのは名誉」
motorsport.com 日本版
中嶋一貴TGR-E副会長が分析する宮田莉朋のFIA F2での現状と今後の可能性「個人的な感想では期待以上」
中嶋一貴TGR-E副会長が分析する宮田莉朋のFIA F2での現状と今後の可能性「個人的な感想では期待以上」
AUTOSPORT web
たった6人で全国大会決勝進出! 奇跡の実話を映画化した感動青春ムービー『リバウンド』
たった6人で全国大会決勝進出! 奇跡の実話を映画化した感動青春ムービー『リバウンド』
バイクのニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
トヨタから新しいSUV、bZ3Xが出た!──GQ新着カー
トヨタから新しいSUV、bZ3Xが出た!──GQ新着カー
GQ JAPAN
ニコ・ヒュルケンベルグ、今季限りでハース離脱。来季はザウバーから参戦へ
ニコ・ヒュルケンベルグ、今季限りでハース離脱。来季はザウバーから参戦へ
motorsport.com 日本版
「デロリアン」から「大門軍団」そして「ステップワゴン」も!8月発売のアオシマ新製品情報【CARSMEETモデルカー俱楽部】
「デロリアン」から「大門軍団」そして「ステップワゴン」も!8月発売のアオシマ新製品情報【CARSMEETモデルカー俱楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
マツダが「新型SUV」世界初公開! 次期型「CX-5」登場か!? 新次元の「魂動デザイン」採用した圧倒的“造形美”実現し北京登場!
マツダが「新型SUV」世界初公開! 次期型「CX-5」登場か!? 新次元の「魂動デザイン」採用した圧倒的“造形美”実現し北京登場!
くるまのニュース
日産の謎解きイベントが話題! 「眠っていたブループリント」は5月6日まで。GWは本社ギャラリーに行こう。
日産の謎解きイベントが話題! 「眠っていたブループリント」は5月6日まで。GWは本社ギャラリーに行こう。
くるくら
BMW X5の燃料電池車をゼロエミッションカーに位置付け、実証実験の継続を決定
BMW X5の燃料電池車をゼロエミッションカーに位置付け、実証実験の継続を決定
Auto Prove
トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開
トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開
レスポンス
新星アコスタは、”MotoGPのフェルスタッペン”になるか。シーズン途中のKTM昇格はある?
新星アコスタは、”MotoGPのフェルスタッペン”になるか。シーズン途中のKTM昇格はある?
motorsport.com 日本版
【ストリーモ】5/4~6に開催される「GINZA SKY WALK 2024」にてストリーモの試乗体験を実施
【ストリーモ】5/4~6に開催される「GINZA SKY WALK 2024」にてストリーモの試乗体験を実施
バイクブロス
ホンダ新型「ヴェゼル」登場! 3年ぶり“刷新”で何が変わった?  オシャグリーンな「ハント」も新設定の「小さなSUV」約265万円から
ホンダ新型「ヴェゼル」登場! 3年ぶり“刷新”で何が変わった? オシャグリーンな「ハント」も新設定の「小さなSUV」約265万円から
くるまのニュース
ホンダが新型EVの『e:NP2』を発売
ホンダが新型EVの『e:NP2』を発売
レスポンス

みんなのコメント

7件
  • ちょうどいいサイズのクルマとは、
    こういうクルマのことを言う。
  • 少し形がマッチョすぎる。
    次期モデルもクーペはFRで残る
    みたいなので、次期モデルに期待。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

958.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

294.9938.0万円

中古車を検索
M2 クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

958.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

294.9938.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村